話題のNFT、ビジネスにどう活かす?【業界解説・コインチェック天羽氏】(後半)

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

前半からの続き

全産業デジタル化の流れが不可避と認識される中、大きな構造の変化がいろいろな場所で発生しています。MUGENLABO Magazine編集部では業界のダイナミックな変化をゲームチェンジャーたちの解説と共に紐解くシリーズを開始しています。

前回に引き続き、コインチェック執行役員、コインチェックテクノロジーズ代表取締役の天羽健介さんにNFTについて解説いただきます。

編集長
では前回に引き続き天羽さんにNFTの解説をお願いしたいと思います。コインチェックさんでは実際に事業として提供開始されてるんですよね。
天羽
はい、まず、暗号資産取引サービスCoincheckについてご説明しますと、アプリが370万超のダウンロード、本人確認済みの口座数は132万口座です。5月末現在で約4,000億円の暗号資産をお客様からお預かりしている状況です。

編集長
約4,000億円・・・・人気ですね。
天羽
ありがとうございます。それでNFTのマーケットプレイスに関しては現在2つ運営しています。1つが国内向けのユーザーを対象とした「Coincheck NFT(β版)」で、開始2カ月で約2.5万人のお客様にご利用いただいています。もう1つが「miime」というサービスで、こちらは株式会社メタップスから買収したマーケットプレイスです。miimeはグローバルユーザー向けと位置付けており、コインチェックでは国内と海外の両方に向けてアプローチすることが可能になります。
編集長
NFTは確かにグローバルでの展開が見込めますよね。
天羽
国内向けの「Coincheck NFT(β版)」の特徴のひとつをご紹介します。世界全体として、基本的にはイーサリアムというブロックチェーンを使って取引が行われていまして、出品するのも購入するのもすべて「ガス代」と言われる通行手数料がかかります。現在イーサリアムの価格がとても上がっていることから、都度費用が発生するとユーザーのアクションを減速させることになるので、Coincheck NFT(β版)ではCoincheckの中で行っていただくアクションに関しては一切ガス代が発生しない仕組みにしています。

編集長
確かにガス代の話とかはブロックチェーンならではのポイントですからサービス化の時に差別化しやすいですね。
天羽
また、私たちは暗号資産の取り扱いが国内では最多の16通貨となっています。通常、NFTの購入決済はイーサリアムという通貨を使うことが多いんですが、Coincheckではこの中の14通貨で決済することが可能です。
編集長
なるほど、Coincheckで暗号資産を持っていたらNFTにも換えられるってことですね
天羽
毎日IP事業者様からお問い合わせをいただく中で、もっともご支持をいただいているポイントとしては、4,000億円のお預かり暗号資産がありそれをすぐにNFTに変えられるユーザーをたくさん抱えている状況にある点です。IP事業者様のNFTのビジネスを一気に加速させることができる点を魅力に感じていただいています。
編集長
確かに魅力的です。海外はどのような展開を考えているのですか。
天羽
「miime」に関しては、2月に買収した後、いろいろと取り組んでいますが、今後に関しては日本発のコンテンツを海外に輸出していくプラットフォームとして発展させていきたいと考えています。

編集長
国内はゲームやアニメなど世界に通用するIPがありますからね。ここを通じて海外に販売できるのはIPホルダーの方々にとって新しいビジネスになりそうですね。
天羽
これに加えて7月1日より、暗号資産版のIPOと言われるIEOというしくみを、日本初の取り組みとして開始しました。NFTも一次流通と二次流通と、合計4つの機能を有する形になります。世界全体でいうとNFTのプロジェクトというものは、NFTと暗号資産を両方発行し、価格や機能面において相互に影響を及ぼし合うような設計になっています。Coincheckのプラットフォームの中で、暗号資産・ブロックチェーンのプロジェクトの成長を総合的に支援することができるしくみを作ろうとしています。このような取り組みを通して当社では新しいデジタル経済圏を支えていきたいと思っています。
編集長
前回ご解説いただいたNFTのマーケットや仕組み、注意すべきポイントに加えて、今回は実際にサービス化されているお話をうかがい、どういった展開が見込めるのかがよく分かりました。ありがとうございました!

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