アメリカ・フィラデルフィアを拠点とするオンデマンドデリバリ・スタートアップの Gopuff は7月30日、10億米ドルの調達を明らかにした。これは同社にとって、今年3月に実施した11.5億米ドルの調達(シリーズ G ラウンド)に続くもので、今回の調達を受けて時価総額は150億米ドルに達した模様。フィラデルフィア発の新参ユニコーン3社の中で先頭を走る存在となった。
本ラウンドに参加したのは、Blackstone の新規事業系投資プラットフォーム「Horizon」、Guggenheim Investments、Hedosophia、MSD Partners、Adage Capital らが新規に参加、既存の投資家である Fidelity Management and Research Company、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1、Atreides Management、Eldridge に加わった。
Gopuff は2013年、共に地元ドレクセル大学の卒業生である Rafael Ilishayev 氏と Yakir Gola 氏により創業。昨年、イギリスのラストマイルデリバリ Fancy、企業向け物流ソフトウェア rideOS など複数企業をを戦略的買収し、移動式キッチンで食事を料理・提供する「Gopuff Kitchen」をローンチした。この分野では、日本ではレキピオが累計2億円超を調達している。
<ピックアップ> Class Technologies is eyeing unicorn status with a $105M, SoftBank-backed Series B ワシントン拠点のスタートアップ Class Technologies は、ソフトバンクの支援を受けた1億500万ドルのシリーズ B ラウンドを発表した。昨年の創業以来、同社は1億6,000万米ドルを調達しており、今年…
ワシントン拠点のスタートアップ Class Technologies は、ソフトバンクの支援を受けた1億500万ドルのシリーズ B ラウンドを発表した。昨年の創業以来、同社は1億6,000万米ドルを調達しており、今年に入って、春以降2回目の調達となる。同社は、教師が Zoom を使って出席を取ったり、試験を監督したり、生徒と1対1で話したりする作業を可能にするエドテックプラットフォームだ。
このラウンドは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2 がリードインベスターを務め、GSV Ventures、Emergence Capital、Maven Partners、Owl Ventures、Insight Partners、SWAN & Legend Venture Partners、Revolution’s Rise of the Rest Fund、Learn Capital、Reach Capital、Slow Ventures、Sound Ventures、Chimera Investment、Daher Capital、マドンナや U2 の元マネジャーとして知られる Guy Oseary 氏、Zoom の初期投資家として知られるベンチャーキャピタリスト Bill Tai 氏、有名フットボール選手の Tom Brady 氏らが参加した。
CEO の Michael Chasen 氏は、同社が前四半期比で約4倍の成長を遂げ、今回の増資で時価総額は8億4,400万ドルに達し、ユニコーンの地位に近づいていることを確認した。今夏の調達では、ヨーロッパ、中東、ブラジル、カナダ、日本、中国など、拡大したい地域に Class のメンバーを増やすことが第一の目標だとしている。また、将来的には市場や国に特化した製品を提供する可能性もあると Chasen 氏は語っている。
Animoca Brands は、契約一時金として900万豪ドル(約10億円)を支払う。400万豪ドル(約4.4億円)が現金で支払われ、残りは相当の株式が提供される。Blowfish Studio の創業者 Benjamin Lee 氏と Aaron Grove 氏が買収後2年間働き続ければ、さらに100万豪ドル(約1.1億円)の現金と500万豪ドル(約5.5億円)相当の株式が提供される。
スーパーマーケットでおもちゃを買ってもらうのが楽しみだった体験は、多くの人にとって、子供の頃の懐かしい思い出です。しかし、おもちゃ売り場にも e コマースの波は押し寄せています。STEM やデジタルリテラシーの教育も求められるようになる中で、子供たちに提供するエンターテイメントのカタチや届け方も変化してきています。
プレースホルダは2016年に設立された、プロジェクションマッピングや AR を使った体験型アトラクションを企画・開発するスタートアップです。これまでに、KDDI Open Innovation Fund のほか、TBS テレビを傘下に持つ東京放送ホールディングス、みずほキャピタル、インキュベイトファンド、映像大手 IMAGICA GROUP の OLM Ventures から資金を調達しています。
イトーヨーカドーは2021年4月、大和鶴間店(神奈川県大和市)で子供関連売り場をリニューアルし、コンセプトフロア「TOYLO PARK(トイロパーク)」を誕生させました。ここでは、プレースホルダが「リトルプラネット」で培ったノウハウを生かし、デジタルキッズパーク「TOYLO PARK powered by リトルプラネット」をおもちゃ売り場に融合させるという、新たな試みが行われています。このプロジェクトに関わられた、イトーヨーカ堂の山幡耕司さんと、プレースホルダの鈴木匠太さんにお話を伺いました。
公園の他に、子供たちの大好きなものといえばおもちゃです。おもちゃと公園がある空間は、必然的に公園を超えるものになるはず。TOYLO PARK は、おもちゃ売り場と「リトルプラネット」を掛け合わせる形で誕生した、近未来のファミリー向けコンセプトフロアです。「モノ」だけでなく「コト」を提供することで、子供たちが体験のできる環境を用意。この体験の提供でマネタイズにも成功しています。
TOYLO PARK として、子供関連売場の面積を1.3倍拡大しましたが、それに対し売上は3倍へ伸長。オープン後は、業界関係者、特に同業者の視察が後を絶たない状態が続きました。お客様からは、「楽しい!!」「大人も楽しめる」といった声を非常に多くいただいています。(イトーヨーカドー 山幡さん)
ここで、山幡さんに聞いた興味深いエピソードをご紹介したいと思います。スーパーマーケットで親におもちゃを買ってもらった子供は、おもちゃを開封して遊びたい一心で、早く家に帰りたいと親にせがみます。一方、TOYLO PARK内のキッズパーク を体験した子供は、家に帰りたくないと言うそうです。滞留時間が延びれば、親は他の売り場で買い物を続けるかもしれません。子供が「また、TOYLO PARK へ行きたい」と言えば、その親子にとって、他のスーパーよりイトーヨーカドーに足を運ぶ、強いインセンティブになります。
共創から生まれた、「モノ(物販)」と「コト(体験)」の融合
イトーヨーカドーが TOYLO PARK の構想を具現化する中でプレースホルダが手を組むきっかけとなったのは、プレースホルダが全国8 ヶ所(2021年7月時点)に常設展開する「リトルプラネット」のキラーコンテンツ「SAND PARTY!」の存在です。「従来の公園を超える、未来の公園」を探していた山幡氏は、この AR を使った砂場を初めて紹介された時に「これだ」と確信を得たそうです。
対照的に、TOYLO PARK はイトーヨーカドーが新たな事業形態を模索するコンセプトフロアで、すでに定められた空間の一部にパークとして設置するという初めてのモデルケースでした。直営パークでもライセンスパークでもない初の試みに、共創ならではの難しさと可能性を感じたと、プレースホルダの鈴木氏は昨年の出店準備を振り返ります。
TOYLO PARK のデザインやコンセプトを壊さずに、多くの関係各社とも連携しながら、リトルプラネットの魅力を来店者に伝えるという挑戦は難しいものでした。ただ、こうしたコンセプトフロアの中で自社のコンテンツを最大限に活かすという経験は滅多にできることではありません。設計やデザイン、運営面において貴重な経験になりました。(プレースホルダ 鈴木さん)
「TOYLO PARK powered by リトルプラネット」は、初拠点がオープンしてまだ数ヶ月であることやコロナ禍にあることなどから、イトーヨーカドーとプレースホルダ両社にとって事業的成果を評価をするには時期尚早です。うまくいけば、この構想は横展開され、日本中のイトーヨーカドーで、子供たちが「AR 砂場」に目を輝かせ歓声をあげている姿を目にできるようになるでしょう。