スタートアップ投資に本腰を入れ始めた大企業、協業しなければ明日は無い——韓国スタートアップシーン週間振り返り(8月16日~8月20日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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8月16日~8月20日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示されたものの総額は3,778億ウォン(約355億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • Carrot Market(당근마켓)が1,789億ウォン(約168億円)を調達。時価総額は3兆ウォン(約2,800億円)に達し、ユニコーンクラブ入りした。中古取引プラットフォームから着手し、地域の零細事業者と住民をつなぐ生活密着型サービスに成長した。清掃、教育などの地域 O2O プラットフォームと協力してサービスを拡大。調達した資金は、技術高度化、海外市場進出、マーケティングに使用する予定。
  • 仮想通貨の投資運用会社 Hyperithm(하이퍼리즘)が130億ウォン(約12.2億円)を調達した。アメリカ最大の仮想通貨取引所 Coinbase が韓国ブロックチェーン企業に投資した最初のケ​​ースだ。機関投資家や適格投資家を対象に、仮想通貨の投資信託との取引仲介を提供。50顧客を獲得した。
  • 次世代メタバースプラットフォーム「DotDotDot(닫닫닫)」が27億ウォン(約2.5億円)を調達。ゲーム業界の重鎮が設立したスタートアップで、ユーザが直接 3D 背景やキャラクターの感情を付与し、ストーリー性のある映像トゥーン形式で作成・共有できる SNS 型メタバースプラットフォームを開発中。
  • 偽造商品を AI で摘発する Marqvision(마크비전)が24億ウォン(約2.2億円)を調達、合計60億ウォン(約5.6億円)のシードラウンドをクローズ。製品の競争力を高め、IP 事業領域の拡大に投資予定。アジア太平洋支社を香港と日本に拡大し、中国には別途チームを新設するなどアジアを市場集中攻略。
  • CoolJamm Company(쿨잼컴퍼니)が、映像編集者マッチングプラットフォーム「EditMate(에딧메이트)」で20億ウォン(約1.9億円)を調達。単純なマッチングではなく、顧客が望む結果を得ることができるよう運営マネージャーがプロジェクトを管理する。映像編集履歴管理システムを開発予定。

トレンド分析

スタートアップ投資に本腰を入れ始めた大企業、協業しなければ明日は無い

世界的にスタートアップ投資が急増している。韓国国内スタートアップにも、毎月1兆ウォン(936億円)以上の資金が流入している。今ではスタートアップ側から求める投資会社を選べるほど、スタートアップの地位も向上した。このような投資トレンドの中、大企業もスタートアップ投資や買収で新技術分野への進出の機会と未来成長の力を得ているが、最近はより積極的に歩み寄っているようだ。

Naver は2015年、スタートアップインキュベータ D2SF を通じ、アーリーテックスタートアップを発掘し、Naver と技術の接点を作ることができる企業に積極的に投資している。 D2SF だけでも過去6年間でスタートアップ70社に投資が行われた。AI 半導体から自動運転、ファッションプラットフォーム、フード、税務管理サービスまで、分野を問わず、Naver とシナジーを出せる可能性があるスタートアップが投資対象だ。

特に Naver は、スマートストアを中心に E コマースの分野でスタートアップとの協業事例を拡大している。ファッションプラットフォーム「BRANDI(브랜디)」に合計300億ウォンを出資し、BRANDI の物流システムを活用してスマートストアの海外進出を計画しており、最近では、物流スタートアップ OurBox(아워박스)や WeKeep(위킵)などに投資し、NFA(Naver Fulfillment Alliance)を構築して、保管から迅速配送サービスまでをスタートアップと協力し技術シナジーを作り上げた。

Kakao(카카오)は、投資に加え、積極的な買収でスタートアップを吸収し、既存の事業を強化したり、拡張したりしている。去る4月には、コマース分野を強化するためファッションプラットフォーム「Zigzag(지그재그)」の運営会社 Croquis.com を買収、Kakao Style を立ち上げたコンテンツ IP 事業のグローバル展開のために、海外で頭角を現しているウェブトゥーンサービス「Tapas Media」や Web 小説プラットフォーム「Radish」を同時に買収した。

また、Kakao Ventures(카카오벤처스)と Kakao Investment(카카오인베스트먼트)を通じて、今年、MustIt(머스트잇)、FastFive(패스트파이브)、生活研究所(생활연구소)、LemonBase(레몬베이스)、RapportLabs(라포랩스)、Rebellions(리벨리온)など、e コマースプラットフォームからスペース、AI半導体、ライフスタイルまで、さまざまな分野のスタートアップにシナジーに基づいた投資を進めている。

投資や協業を超えて、大企業の新事業をスタートアップが主導する場合もある。現代自動車は、全車のモビリティ機能を統括するTaaS(Transportation-as-a-Service)本部を新設、本部長にモビリティスタートアップ 42dot(포티투닷)代表のソン・チャンヒョン(송창현)氏を任命したが。現代自動車は 42dot 設立当初から100億ウォン(約93.9億円)以上を投資し新事業まで預けるなど、42dot と未来のモビリティサービスを共に構築するための戦略を推進している。42dot は現代自動車だけでなく、LG 電子、新韓金融グループ、SK テレコム、ロッテレンタルなどいくつかの大企業から戦略的投資を受け、革新的な技術分野のスタートアップに大企業からラブコールが殺到している代表例と見ることができる。

GS Retail は、オフライン流通市場の先取りにスタートアップを積極的に活用している。最近フードデリバリアプリ「ヨギヨ(요기요)」を運営する DeliveryHero を共同買収、「Vroong(부릉)」を運営する MeshKorea(메쉬코리아)の投資に着手、クイックコマース分野の事業強化に乗り出しており、3回の投資を行ったペット専門モール運営 Pet Friends(펫프렌즈)を買収、ペット市場の先取も展望する。KT は KT Investment を通じ、韓国信用データ(Korea Credit Data/한국신용데이터)、BankSalad(뱅크샐러드)などに戦略的投資を行っており、今後のデータベースビジネスの推進にシナジーが期待される。

大企業がスタートアップ投資と協業に積極的に乗り出す中、大企業とスタートアップを接続するオープンイノベーションプログラムも人気だ。ソウル創造経済革新センターが運営するオープンイノベーションプログラムに大企業の参加が増えており、新韓金融も「新韓オープンイノベーションプログラム」を通じて、大企業とスタートアップの連携を拡大サポートしている。また、民間の創業支援機関 D-Camp が外部機関との共催する IR イベント「D.Day」にも、既存参加者の公共機関だけではなく、大企業や中堅企業の参加が増えており、スタートアップに対する大企業の関心はさらに大きくなることが予想される。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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