韓国コンビニ最大手ら、フードデリバリDeliveryHeroの国内事業買収など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(8月9日~8月13日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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8月9日~8月13日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示されたものの総額は1372.5億ウォン(約129億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • モビリティスタートアップ 42dot(포티투닷)が Lotte Rental から250億ウォン(約23.5億円)を調達。42dot は自動運転レベル4技術を研究する技術企業として、Lotte Rental と協力して、将来のモビリティプラットフォーム事業を共同で推進する計画。
  • スマート物流会社 WeKeep(위킵)が250億ウォン(約23.5億円)を調達。中小 E コマースに特化したフルフィルメントサービスで、従来型 3PL 物流業界にフィンテック、ITソリューション、流通などを含む統合ソリューションを提供。今回の投資で、韓国国内フルフィルメントセンターの拡大と、中​​国やアメリカなどのグローバル市場への進出を計画。
  • AKUODIGITAL(악어디지털)は AI を利用してさまざまな文書を電子ファイルにするサービスを提供、200億ウォン(約18.8億円)を調達した。今回の投資で日本などの海外市場に進出し、同社は今後、日本のマザーズに上場する計画だ。…… 関連記事
  • ロボットメーカー NeuroMeka(뉴로메카)が140億ウォン(約13.2億円)を調達した。パートナーロボット、デルタロボット、自律移動ロボットなどをベースに、さまざまな製造工程における自動化サービスプラットフォームを備え、成長が期待される。今回の調達で積極的な事業拡大に乗り出す計画。
  • スマート物流 Motion2Ai(모션투에이아이)が国内外から140億ウォン(約13.2億円)を調達した。物流倉庫フォークリフト、カート、ロボットの位置と作業状態を把握した動線の最適化、安全管理ソリューションを提供。今回の調達で、韓国国内市場やアメリカなどに積極的な事業拡大計画。
  • 資産管理フィンテック企業 BankSalad(뱅크샐러드)が起亜自動車から100億ウォン(約9.4億円)を戦略的資金調達。起亜自動車はマイデータ(韓国政府が主導、情報の主体である個人が開示を要請すると、その個人に関して企業が保有するデータを個人や第三者に開示しなければならないスキーム)事業者である BankSalad とモビリティの分野で、データプラットフォームの構築などのデータ技術協力に乗り出す予定。現在 BankSalad は1,000億ウォン(約94.1億円)の調達を進行中。
  • Mico に買収された医療診断専門企業 Speclipse(스페클립스)が90億ウォン(約8.5億円)を調達。レーザー分光技術と AI で皮膚癌の疑い部位をリアルタイムに非侵襲診断する診断機器「Spectra-Scope」を提供。
  • 培養肉スタートアップ SeaWith(씨위드)が55億ウォン(約5.2億円)を調達。DGIST(大邱慶北科学技術院)出身の学生が創業した企業で、温室効果ガスを吸収する藻類をベースに、培養液・構造体などを開発、地球温暖化に対応できるというのが特徴。
  • フードデリバリアプリ「ヨギヨ(요기요)」を運営する DeliveryHero の韓国事業が PE ファンド各社と GS Retail(韓国コンビニ大手「GS25」を運営)により8,000億ウォン(約753億円)で買収された。DeliveryHero の株式100%が買収され、GS Retail が株式30%に相当する3,000億ウォン(約282億円)、残りを PE ファンドが拠出した。(編注:DeliveryHero  にとって、「ヨギヨ(요기요)」の売却は、同業「配達の民族(배달의민족)」買収の条件とされている。…… 関連記事

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トレンド分析

20代の創業者なら、注目に値する起業支援事業6つ

起業支援プログラムの対象年齢が徐々に低くなっている。ほとんどの青年創業支援プログラムが満39歳以下を対象にしていたが、最近では20代だけのためのプログラムが新設されている。創業支援はもちろん、賃貸住宅入居優遇など住宅解決まで支援する政策も推進中だ。就職ではなく創業に目を向ける青年に、より多くの機会が与えられている今日、参考に値する主な事業を集めてみた。

1. 生涯で初めて創業する青年のための創業支援(생애 최초 청년창업 지원

今年初めて実施される事業で、生涯初の創業に挑戦する20代の青年500人を選んで、事業化資金最大2,000万ウォン(約190万円)を支援する。 20代の創業者が経験不足で、高い競争率のメイン創業支援事業を勝ち抜けない、いう問題を解決するために特別に用意された事業だ。対象は満29歳以下の予備創業者(400人)、初期の創業者(100人)で創業後1年が経過していない場合サポートが受けられる。創業の基礎能力の教育とカスタムメンタリングなどの支援を受けることができ、優れた創業者に選ばれると2022年の予備創業パッケージ書類評価免除も与えられる。

2. スタートアップ-青年人材 Year-Dream スクール(스타트업 청년인재 이어드림 스쿨

AI 分野の開発人材を養成するプログラムで、今年初めて実施される。29歳以下の青年100人を対象に、AI 関連学科4学年課程と実戦プロジェクトを4段階に分け1年間で集中教育し、スタートアップ就業機会も提供する。すべての過程が無料で提供され、NHN や Google Cloud などの現場の専門家と KAIST(韓国科学技術院)の教授らが講師として参加、実務型人材を育てるプロジェクトだ。今年は新型コロナの影響で8ヶ月のコースで試験運用され、来年からは1年のコースで運営される。

3. 学生創業有望チーム300(학생창업유망팀300

潜在力が大きい学生創業チーム300を選抜して、体系的な教育、メンタリングを通じてスタートアップの成長を支援するプログラムだ。小・中・高、学校のほか、若者、大学(院)生などが対象であり、アイデアを事業化してステップバイステップの創業教育を受けられるメリットがある。民間アクセラレータが事業化と投資を支援し、教育後は、国内最大の学生創業コンクールに連携されており、ここで優秀チームに選ばれると、政府省庁創業コンクール「挑戦! K-Startup 2021(도전! K-스타트업 2021)」の参加資格も与えられる。

4. 青年リーグ(청년리그

29歳以下の予備創業者または1年以内に創業者を対象に、事業化資金とメンタリングを提供するコンテストだ。 2020年に、6大非対面分野創業に挑戦する青年起業家を先輩起業家がメンタリングする「青青コン(청청콘)」という名前で始まったが、今年は青年リーグに名前が変わった。優秀成績を収めた2チームは、政府省庁創業コンクール「挑戦! K-Startup 2021(도전! K-스타트업 2021)」キングオブキング戦に進出する資格を得ることになる。

5. 青年創業士官学校(청년창업사관학교

アーリー創業者(または創業者候補)に最も有名なサポートプログラムだ。創業教育から専門家の指導、入居スペース、事業化支援金1億ウォンまで創業全過程をサポートしている代表青年CEO育成事業では、Toss(토스)、Zigbang(직방)、BankSalad(뱅크샐러드)などが青年創業士官学校を修了した。全国から募集しており、申込者が39歳以下で、創業3年以内の企業であれば誰でもサポートを受けられる。

6. グローバル創業士官学校(글로벌 창업사관학교

AI 分野特化育成プログラムで、昨年新設された。教育、育成、事業化資金(最大5,000万ウォン=約470万円)をサポートする。NVIDIA、インテル、マイクロソフトなどのグローバル企業や 500 Startups、Plug and Play などアクセラレータが参加し、ビジネスアイデアの検証、グローバルネットワークのサポートなどを提供するのが特徴だ。年齢制限なしで創業3年未満の企業であればサポートが受けられる。今年は AI だけでなく、D.N.A.(データ、ネットワーク、AI)にサポート分野が拡大した。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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