会社を分けた理由
(前回からのつづき)國光氏は上場企業であるgumiがThirdverseの VR事業を子会社として続けることは、投資家の利益を考える上でもなかなか難しかったと振り返る。というのも、VR事業の成長には長い時間が必要なので、上場企業の投資家を気にせずにリスクを取ることができる、独立した民間企業として分離した方が何かとよいのだという。
「2015年からVRをやっていたのですがようやく今、成長に手応えを感じています。この新しい挑戦に全力を注ぎたいと思いました」。
彼は2015年、2016年とひとつずつ年を数え、7年目にしてようやく事業成長しはじめたと語る。特に彼は昨年秋にデビューしたFacebookのワイヤレスVRヘッドセット「Oculus Quest 2」が300ドルという低価格でスタートしたことを高く評価している。その後『Sword of Gargantua』の売上が再び伸び始めたのだ。
NFTとブロックチェーン

Image Credit: Gumi
國光氏はThirdverseに加えて、Gumi Cryptosというベンチャーファンドを通じてブロックチェーンゲームに投資している。Gumi Cryptosは暗号資産ゲームと、透明性が担保されたブロックチェーン台帳を利用し、デジタルアイテムの唯一無二を保証するノンファンジブル・トークン(NFT)事業への投資に特化したファンドだ。
NFTはゲームアイテムの希少性を認証することで、より高い価格での販売を可能にしてくれるため、ゲーム収益化の新たな手段となる。
またNFTはプレイヤーがアバターやその他のアイテムをあるゲームから別のゲームに移動させることを可能にしてくれる。これはメタバースの鍵となるものだ。國光氏はNFTがゲームの報酬として提供されることで、ゲームユーザーがゲームで稼ぐことができる(プレイ・トゥ・アーン)世界を期待しているのだ。
彼は度あるごとに「ゲームは時間の無駄だ」とプレイする親に言われ続けてきた。確かにゲームでお金を稼ぐ子供もいるにはいるが、eSportsの壁は高くて厚い。eSportゲームでお金を稼ぐチャンスは、野球選手やサッカー選手になるのと同じくらい難しいのだ。
しかし、だ。このNFTを使えば、ゲーム会社は仮想世界の中に現実の経済を作ることができる。より多くの人がゲームで生計を立てられるようになる可能性があるのだと彼は力説する。國光氏はブロックチェーンスタートアップ「Financie(フィナンシェ)」を立ち上げたほか、大ヒットしたブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」を制作したDouble Jump.Tokyoの主要な投資家であり、ボードメンバーでもある。
ビジョン

國光氏はThirdverseが現在、2つのVRゲームを開発中であり、今回の投資金を使ってゲームを市場に投入する計画だと語っていた。ゲームプレイでは、VR環境下でのマルチプレイを予定しているそうだ。
VRとNFTの組み合わせは、メタバースの未来だ。彼はそうビジョンを語る。
このThirdverseのビジョンは昔から変わっていないという。家庭や職場に加えてメタバース上に第三の居場所を作り、人々が楽しめるようにすることだ。そしてそれを実現するためにも、大ヒットするゲームを作らなければならない、彼はそう語っていた。
「これがゲームとインターネットの未来なんだ。この瞬間にものすごく興奮している」。
彼はモバイルゲームがようやく軌道に乗ってきたgumi立ち上げの頃にThirdverseの姿を重ねる。メタバースにはゲームとソーシャルネットワークが含まれると考えている。Facebookがメタバースに投資することに対して興奮を抑えられないとしつつ、そのビジョンのある部分は非常に異なっていると考えているようだ。というのも、Facebookは実在の人物を必要とするからだ。彼はメタバース上では自分自身ではなく、もう一人の自分を創造したいのだという。彼はこう未来を語った。
「私がなりたいのは自分ではない、別の何かなのです」。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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