キャリアSNS「YOUTRUST」、シリーズBで4.5億円調達——「人材流動化は経済発展に寄与」と南場氏らが後押し

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キャリア SNS「YOUTRUST」を運営する YOUTRUST は30日、シリーズ B ラウンドで4.5億円を調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターはデライト・ベンチャーズで、STRIVE、W ventures、ANRI が参加した。これは、同社にとって、2020年1月に実施したプレシリーズ A ラウンドに続くものだ(シリーズ A ラウンドは事実上スキップ)。デライト・ベンチャーズ、STRIVE、W ventures は以前のラウンドに続くフォローオンでの参加。同社では調達した資金を使って、マーケティングと採用、キャリア SNS としての改善・サービス体験向上に調達資金を充てるとしている。

YOUTRUST の創業は2017年12月。ディー・エヌ・エーで採用業務を経験した岩崎由夏氏らが手掛ける。「友人の友人」までのつながりがある人物の副業や転職意欲が可視化されるソーシャルネットワーク「YOUTRUST」を2018年4月にローンチした。サービス開始から3年経過した今年4月には、累計登録者数が5万人を超えたことを明らかにしている。

伝統的な日本の終身雇用制は崩れたとはいえ、主要先進国と比べ日本の人材流動性はまだ低い。国の潜在成長性と人材流動性の間には相関関係が認められており、人材流動性の向上は国の経済発展や市場成長に寄与する。このことは、南場智子氏(ディー・エヌ・エー創業者、代表取締役会長)が年初記事(週刊東洋経済)でも語っており、岩崎氏は南場氏と意気投合し、南場氏がマネージングパートナーを務めるデライト・ベンチャーズが今回リードインベスターを務めることとなった。なお、南場氏は2021年6月に経団連副会長に就任、成長戦略に「スタートアップのエコシステムの強化」と「大企業人材の徹底的な流動化」(日経ビジネス)を挙げている

世の中にはいくつかのソーシャルネットワークが存在するが、特にミレニアルを中心として Facebook や Twitter 離れが顕著であるように、ソーシャルネットワークはテーマに応じて使い分けが進んでいるようだ。もはや、多様な経験を積む観点では一つの会社で一生働き続けるのが評価される時代でないし、特に若い世代にとっては、常々から転職を意識しているわけではないけど、自分のキャリアパスの方向性を意識している人は多い。そんな人々に、日常からの気づきを投稿・共有するソーシャルネットワークとして、YOUTRUST は絶妙な最適解を提示したと言えるだろう。

一方で、YOUTRUST は優秀な人材を獲得したい企業に対して、既存の転職プラットフォームとは一線を画した、ユニークなユーザプールを保有していることが評価を受けている。岩崎氏によれば、YOUTRUST 上での投稿者には「仕事で少し自信があり、学びを共有したい人」が多く、一方、閲覧者には「情報の収集や、自分たちの先輩が考えていることを知りたい人」が集まっているという。俯瞰的にキャリアパスを考えている人の方が、企業にとっても人材とのミスマッチが少なかったり、もともと意図してなかったような興味深い人材に出会えたり、といったメリットがあるのだろう。

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