介護まるごとSaaSに商機を見た「Cariloop」のアイデア/GB Tech Trend

1,500万ドルの調達を果たしたCariloop。Image Credit: Cariloop。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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米国シニア向けのケア市場は2016年時点で1,000億ドル(10兆円超)で、2024年には2,250億ドル(23兆円超)にまで成長するという予測があります。

一方、日本の介護市場はDeloiteeの調査によると、2014年時点で8.6兆円。2025年には18.7兆円程度まで拡大するそうです。日本との人口比では3倍ほどある米国市場ですが、この領域については30%ほどの差に留まるようです。

米国のシニア市場は大きく「マーケットプレイス」「介護士派遣」「支援ツール」という3つの分野に分かれます。

マーケットプレイスモデルの大手としては「Care.com」が挙げられます。介護士と介護者(家族)をマッチングするサービスで、バックグラウンドチェックを徹底的に行い、一定クオリティ以上の人材をマーケットプレイス上に載せることで質の高い人材のマッチングを行っています。

介護士派遣まで手がけるスタートアップで有名なのは、Andreessen Horowitzが出資する「Honor」があります。単なる派遣事業だけではマーケットプレイスに勝てないため、Honorが得意とするのがパーソナライズ体験です。たとえば利用者が中国系であれば、中国語を話せる介護士を自社契約人材の中から高速でマッチングするなど、サービス精度の高さを維持しています。

加えて、家の中でどんなサービスが提供されているかというモニタリングまで実施する、まさに川上(プロバイダー選定)から川下(サービス提供)までを押さえるサービスモデルです。全米600の訪問介護サービスのエージェントが全くIT化されていない、という問題のブレークスルーを狙っているようです。

Care.comは個人で活躍する介護士をエンパワーする提供価値を持っています。一方のHonorは自社で介護事業を完結し、既存プレイヤー市場をディスラプトする姿勢を持っています。

ただ、彼らはあくまでも「介護」にのみ徹しています。先日1,500万ドルの調達を発表した「Cariloop」は、介護に止まらず関連タスクも請け負う総合ケアサービスを提供しています。同社は遠隔シニアケアコーチとクラウドプラットフォームを使い、介護利用者のタスク管理を支援しています。

介護利用者の悩みは、一時の介護サービスで解決できるものではありません。日々、健康・資産管理などのタスクが発生します。しかし介護士は財務系のタスクを助けてくれるわけではありません。こうしたタスクを、家族全員で確認しながら、優先順位をつけて取り組む場が必要でした。

Cariloopは遠隔のオペレーターが映像もしくは音声電話で相談に乗ってくれながら、シニアケアに関するあらゆるタスク管理をしてくれます。介護プロバイダーの選択から相談に乗ってくれる支援ツールとしての市場ポジションを確立しているのです。

また、既存の介護サービス提供者がCariloopを一緒に使うことでさらに幅広く顧客ニーズに応えられます。いわゆるシニアケア市場における“Add-on”や“Extension”サービスとして、バックエンドタスクの管理・支援も果たしています。

料金は6カ月で599ドルほど。すでに市場で活躍するプロバイダーと利用家族の両方に導入してもらえる可能性があるため、スケールは比較的しやすい印象です。こうした支援型SaaSは日本でも続々と導入される市場機会があるかもしれません。

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