Facebook Gaming はストリーマー(ゲーム配信者)が利用できるライセンスされた音楽ライブラリを拡大し、ストリーミング時に曲を演奏できるようになる予定だ。音楽会社からの配信取り下げ要求に悩まされることはなくなる。
GamesBeat のインタビューで Facebook Gaming がストリーマーに代わって音楽のライセンスを取得していると、Luis Renato Olivalves 氏(同社のグローバルゲーミングクリエイターパートナーシップ担当ディレクター)は語った。しかし、Facebook Gaming は著作権ルールを守らなければならない。ストリーマーが偶然制限付きライセンスの楽曲を選択した場合、ストリーマーにフラグを立て警告する予定だ。
このプログラムは昨年、約1,000人のストリーマーに音楽ライブラリへのアクセスを提供する実験から始まった。現在、Facebook はこのプログラムを10万人以上のストリーマーに拡大している。
音楽は必要不可欠なものであり、コンテンツを作成している人だけでなく、より多くのコミュニティに参加してもらうためにも、より良い体験を提供します。我々は今、このシステムが数千のパートナーからすべてのパートナーへと拡張可能であると確信しています。(Renato Olivalves 氏)
また、Facebook Gaming での音楽の成長を記念して、Facebookは「Play Loud」と呼ばれる一連のセレブリティ DJ ストリームを、厳選されたゲームクリエイターと組み合わせて開催する。Diplo と DJ Khaled がヘッドライナーとして参加する。
配信取り下げの疲れ
Facebookと音楽業界の仲間たちは、BGM がストリーミングを補完する役割を果たすことができると考えている。しかし、ライセンシング、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)による配信取り下げ要求、著作権のある音楽ポリシーに違反した場合に厳しい処罰を強いられるプラットフォームなど、現状ではまだ多くの問題が存在する。
プレイ中に音楽が流れているゲームの動画を YouTube に投稿するとテイクダウンの通知を受けることがある。YouTubeは自動処理で海賊を捕まえるため、正規のゲームをプレイしている人も網にかかってしまうのだ。
Renato Olivalves 氏は、ゲームクリエイターは、音楽の権利を気にすることなく、ストリーミングやコミュニティとのつながりに集中すべきだと述べた。Facebook Gamingでは、ゲーム配信のBGMを、パートナークリエイター(配信者の中でステータスの高い人)でテストを行った。パートナークリエイターは、音楽著作権を侵害されることなく、膨大な数の人気音楽をストリームで使用することが可能だ。
現在ではFacebookのパートナー・クリエイターとレベルアップ・クリエイターのすべてが、Facebook Gamingでゲームのライブストリーム中にBGMを流すことができるようになっている。(ライブストリームから作られたクリップやライブストリームのVODバージョンも含む)
また Renato Olivalves 氏は、これはエレベータ・ミュージックではないと述べている。Facebook は、Universal Music Group、Warner Music Group、Sony Music Entertainment、Kobalt Music Group、BMG、Merlin など、何百ものレーベル、出版社、ソサエティと契約を結んでいる。
昨年の9月からテストを行ってきましたが、音楽業界が求めているものに適合しています。これは、コミュニティがライブコンテンツをストリーミングし、音楽をコミュニティとのライブエンゲージメントの重要な一部として使用することを可能にするものです。
希少な制約
Renato Olivalves 氏は、制限されている楽曲の範囲については語っていない。
Facebook Gaming は、クリエイターが好きなときに好きな音楽を再生する自由を与えているので、クリエイターは事前に選択されたプレイリストに制限されることはありません。
ストリーマーが制限される音楽は非常に少ないです。非常に珍しいことです。ポピュラーな音楽の100%近くは音楽業界とのこうした取引でカバーされています。制限された音楽に出くわすとラグが立てられます。これまでは追加の情報を得ることができませんでした。私たちはリアルタイムでフィードバックを提供することができます。
しかし今では、Facebook はより高い透明性のために、曲とアーティストを特定することができる。制限された楽曲を検出した場合、Facebook はストリームを停止しないが、ストリームの配信を制限する。
この取引には Facebook にとってかなりのコストがかかっているが、同社はその金額を明かしていない。しかし、BGM はストリームの人気を高めるので、より多くの収入を得られ、この努力は報われるという。
使用しているデバイスやストリーミングソフトウェアに関係なく、ストリーマーに提供される。PC、Mac、コンソール、OBS、Streamelements OBS、Streamlabs OBS などだ。
制限されたトラックに遭遇した場合、Facebook はアーティストとタイトルを特定する製品内通知を表面化させる。そのため、ストリーマーは将来の中断を避けるためにプレイリストを調整することが可能だ。
Facebook は BGM の検出機能の改善に取り組んでいる。つまり、ゲームプレイやナレーションが同時に行われているようなゲームストリームの背景にある音楽(許可されている)と、ラジオ番組のようなライブストリームの中心となる音楽(許可されていない)の違いを見分けるのが格段にうまくなっている。これは機械学習の恩恵といえる。
お祝い
記念すべき日を「#PlayLoud」と名付けている。Facebookクリエイターによるライブゲーミングをバックに、DJがダイナミックにサウンドトラックを回す予定だ。
Rachel De Mita がホストを務める「#PlayLoud」は、音楽とゲームの融合を祝う。DJ Khaled、Diplo、LP Giobbi、Angel + Dren などのタレントが登場。ゲーム面では、ファンに人気の MissesMae、QueenEliminator、StoneMountain64、King Bach が登場する予定。
この#PlayLoud シリーズでは、今後3つのエピソードが Facebook Gaming でライブストリーミングされる。スケジュールは、9月10日午後1時から Stone Mountain 64 と DJ Khaled が、9月22日午前11時から King BachとDiplo が、9月28日午後1時から Queen Eliminator と LP Giobbi が 登場する(時刻はいずれもアメリカ太平洋標準時夏時間)。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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