ラクスル、コーポレートITをクラウド化・アウトソースできる新事業を発表——その名も「ジョーシス」

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Image credit: Raksul

ラクスル(東証:4384)は1日、同社4番目となる新たな事業として、企業におけるコーポレート IT 業務の一部をクラウド化・アウトソースできるサービス「ジョーシス」を発表した。印刷・集客支援「ラクスル」、物流「ハコベル」、広告「ノバセル」に続く4つ目の事業の柱に育てあげたい考えだ。同社がこれまでに立ち上げてきたサービスは、いずれも彼らが自ら日々の事業運営で感じたペインをもとに、解決手段として広く他の企業にも提供することを念頭に開発された。ジョーシスも同じ経緯で生まれたサービスだ。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、マイナス影響を被った企業は少なくない。こんな時、経営者なら誰でも間接費や固定費を下げる努力を怠らないわけで、ラクスルもその例外ではなかった。同社では3月26日以降、開発業務委託費を半分に、マーケティング費用を3分の1に下げたが、従業員はテレワークにシフトしながらもコーポレート IT のコストだけは減らせなかったという。コーポレート IT——すなわち、社員向けにアカウント管理やデバイス管理を世話してくれる通称〝情報システム部門(情シス)〟だ。

多くの企業で情シスは疲弊している。SaaS の採用が増えアカウント管理が煩雑になっており、パソコンのキッティングや各種デバイスの棚卸し作業といった〝アナログ作業〟も多い。その結果、統計によれば企業の一般的な職種で離職率で9%なのに対し、情シスのそれは21%にも達している。そんな理由もあって、情シスの人員は外部協力会社に委託や派遣を依頼している場合も多く、それでも手が足りなかったり、また、中小企業の3分の1では、担当者1名しかいない〝ひとり情シス〟が日常化している。

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情シスの課題は他にもある。業務や対応の詳細が共有されにくく、環境や作業のノウハウは属人的なものとなってしまう。情シスで誰かが辞めるときには新任者への引き継ぎに必要以上に時間がかかってしまい、結果として、コーポレート IT のコストが大きなものとなる。そして何よりも大きな問題は、情シスの担当者は、全社各部署からやってくる日々のアドホックな依頼に忙殺され、クリエイティブな仕事に時間が割けない点。会社のために、より便利で新しい IT システムを考察する時間さえ奪われてしまうのだ。

これらの問題を解決する仕組みとして、ラクスルが開発したのがジョーシスだ。SaaS の社員アカウント管理ができるプラットフォーム、パソコンのキッティングをはじめとする BPO、パソコンや IT デバイスを購入できる e コマースの3つの要素で構成されている。アカウント管理プラットフォームはラクスルのインドのチームが開発、将来はジョーシスの日本以外の国への展開も念頭に置いている。パソコンのキッティングは業界大手の Too と提携、全国でのサービス提供が可能となっている。

ラクスルでは、ジョーシスを導入することで、企業のコーポレート IT 部門が全業務の4分の1程度をクラウド化またはアウトソーシングにより圧縮できると考えている。社員数の多い企業の方がインパクトは出やすいが、ジョーシスは現時点で PMF(プロダクトマーケットフィット)前のプロダクトであるため、料金体系については今後詳細が決まっていく模様だ。社員数が少ない企業には一部機能が無料で提供されるほか、ユーザからの要望をみながら、今後、パソコンや IT デバイスのリース対応も検討するとしている。

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本日現在、ユーグレナ、ベルフェイス、dely、Rentio、リチカ、ユニラボ、iYell、BitStar、マイベスト、PrivateBANK、ダンボールワン、ペライチといったスタートアップがすでにジョーシスを使い始めている。ラクスルの代表取締役社長 CEO で、ジョーシスのサービスオーナーでもある松本恭攝氏は、BRIDGE の取材に対し、「直近でまず50社くらいを目標に、使ってもらえるようにしていきたい。(コロナで落ち込んだ売上を)補完するサービスではなく、20年30年と使い続けてもらえるサービスに育てたい」と語った。

この分野では、企業における SaaS の社員アカウント管理に特化したサービスとして、先週、「マネフォーワード IT 管理クラウド」をローンチしたのは記憶に新しい。ユーザベース(東証:3966)出身の竹内秀行氏らが2018年9月に立ち上げた「YESOD(イエソド)」は2020年8月にプレシリーズ A ラウンドで2億円を調達、先週には契約ライフサイクルマネジメントシステム(CLM)を提供する ContractS との業務提携を発表している。

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