
本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載
グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
今週の注目テックトレンド
ここ2、3年に渡り、生産性文脈で多くのツールが登場し、中でも大手プラットフォームの体験を最適化して提供するサービス形態に注目が集まりました。
その最右翼が「Superhuman」です。
Gmailと連携して、あらゆるタスクを数秒で終わらせられる高速メールツールで、基本的にはGmailのデータをそのまま活用しており、インターフェースだけを自社サービスとして調整・提供しています。
特徴は「プロコンシューマ」という、極めて特定のターゲット層を狙い撃ちした点です。
プロシューマーとは市場にオープンにされているツールを誰よりも長く使い込み、ものすごい早いスピードで仕事をこなせる「プロの仕事人」で、Superhumanは毎日Gmailを3時間以上使っているようなトップ層を狙っています。
同じトレンドがZoomにも起きています。
2020年7月に430万ドルの調達を発表した「Macro」はZoom SDKを採用したネイティブアプリ(デスクトップ)を展開しているスタートアップです。Zoomの使い勝手を向上させ、簡単な分析要素も追加させています。
ここには2つのモード「ディスカッション」「コラボレーション」が用意されています。ディスカッション・モードでは会議中に合計でどれだけの参加者が発言したのかを表示したのかを示すエアタイム機能や、参加者が通話中の質問、テイクアウェイ、アクションアイテム、インサイトを入力するテキスト入力欄が用意されています。
記録データはGoogle Docに転送して出席者に後日シェアができ、コラボレーション・モードではスクリーン上にZoom参加者の映像が円形状に表示されます。共同作業をする際に便利なように、スクリーンシェアをしながら話し合えるモードもあり、8月25日に発表したユーザーの自己表現に重きを置いた機能リニューアルのリリースも、コラボレーションを強化する文脈のものになっていました。
Macroを使いこなすのは、一定時間・頻度以上Zoomを利用するユーザー層だと考えられます。Superhumanがそうだったように、ターゲットを特定サービス(Zoom)を高頻度に利用する層に絞るサービス開発を行っていることから、学習コストの発生を嫌がる一般ユーザーは対象外です。
本当に価値を感じてくれるビジネスインフルエンサーに特化することでサービスの高級感も演出できるのはこの層に注力するメリットのひとつかもしれません。
ビジネス用映像コミュニケーションツールは、決してZoomだけの専売特許ではなく、Add-onサービスや、代替サービスなどが多種多様に登場しています。市場が大きいからこそ、レッドオーシャンでも長く生きてはいけますし、成長余地は常にあります。これからもMacroのようなツールは多く登場するのではないでしょうか。
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