コロナ禍が追い風、日本のオンライン診療はどう変わるか?【業界解説・MICIN 原聖吾氏】(前半)

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

全産業デジタル化の流れが不可避として認識される中、大きな構造の変化がいろいろな場所で発生しています。単なるデジタルツール・インターネットへの置き換えではなく、業界構造自体が変わり、認識の変化に追いつけないプレイヤーは否応なく淘汰されてしまいます。

MUGENLABO Magazine 編集部では、このダイナミックな変化を業界のゲームチェンジャーたちの解説と共に紐解くシリーズを開始しています。

2回目の NFT ビジネスについて解説いただいたいたコインチェック執行役員、コインチェックテクノロジーズ代表取締役の天羽健介さんに続き、3回目は MICIN 代表取締役の 原聖吾さんに登場いただき、広がりゆくオンライン診療の最前線についてお話を伺います。

編集長
今日はよろしくおねがいします。まずは、MICIN の事業について教えてください。
2015年に創業し、医療機関と患者をアプリケーションでつなぎ診療するサービス「クロン(curon)」を提供しています。医療機関の予約、事前の問診、ビデオ通話による診察、決済、最後に医薬品を送るといった一連の流れを実現します。この curon から派生する形で、製薬企業の医薬品開発、オンライン診療と併せて使うデジタルで診断したり治療したりするものの開発も進めています。

編集長
創業から6年が経ちました。日本のオンライン診療は進んでますか? どう変わりましたか?
ちょうど6年前の夏、当時は遠隔診療と呼ばれていましたが、オンライン診療が初めて実質的に地域に制限なくできるようになりました。もともとは離島や僻地に限定されていたんですけれども、地域に限らずできるようにしましょうということになり、ほどなく我々も「クロン」の開発を始め、2016年からサービスの提供を開始しました。

2018年に診療報酬が改定され、健康保険でカバーされる部分に様々な診療報酬点数が付いて、オンライン診療も初めて公的な保険でカバーすることができるようになりました。しかし、その後もオンライン診療は使われていませんでした。多くの医師が「診療って対面でやるものだよね」「オンラインじゃ診察できないから」と言い、普及しない状況が続きました。

編集長
オンライン診療が身近に使える状況が整備されつつあったのに、それでも普及を阻んだ理由は何でしょう?
大きく3つあると考えています。オンライン診療が使える病気の数が限られること。また、診療報酬点数が低く、対面で診療をした時と比べると、医者が得られる金額が少なくなってしまうこと。そして、いろんな厳しい実施の要件で、初診は対面を求められたこと。スタートアップである我々は、制度が動かないことを嘆いても事業が進まないので、政策をいかに動かしていくのかという取り組みを、これまでも、そして今もやっています。

たとえば、2018年にはサンドボックス制度(※)に1号案件としてエントリーし、インフルエンザ診療にオンライン診療を使ってもらう取り組みをしました。インフルエンザ患者が診てもらおうと医療機関に出向けば、待合室で人に感染したり、人から感染させられたりするリスクもある。検査は鼻をかんだ時の液でもできるので、検査キットを予め自宅に置いておいてもらって、必要な時に検査し、医師がオンライン診療し、薬を自宅へ送るという実証を行いました。

(※革新的技術・サービスを事業化する目的で、地域限定や期間限定で現行法の規制を一時的に停止する制度)

編集長
ありがとうございました。さて、この後、2020年からは新型コロナウイルスの感染拡大がオンライン診療には大きな追い風となります。後半では、医療の最前線で MICIN の仕組みがどう取り入れられていったか、原さんに詳しく語っていただきます。ご期待ください。

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