Parchie、ミレニアル向けコストコ「Pantrii(パントリー)」をローンチへ

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「Pantrii(パントリー)」
Image credit: Parchie

Parchie は11日、会員限定通販サイト「Pantrii(パントリー)」を発表し、ユーザの事前登録を開始した。現時点で具体的なサービス開始日は未定。若い世代を中心に百貨店やブランド離れが進む中、プレミアムアウトレットのコンセプトをオンラインに取り入れ、手に届く価格で提供しようというものだ。原価は高くないものの、流通チャネルが複雑だったり、販売プラットフォームのコストが高かったりすることで、最終的な売価が高くなってしまう日用品の取り扱いに焦点を当てるという。

会員制による安価な商品販売の仕組みは、コストコなどでもおなじみだ。一商品ごとのバリエーションの幅を絞り込み、少品種を大量発注することで安さを実現している。会費収入があるため商品ごとの利益マージンを薄くすることができる上、会員制で直接の顧客リテンションが可能になるためマーケティングコストを抑えることができる。Pantrii ではさらにオンラインならでは仕組み、精密な需要予測をしてから商品を仕入れる、というアプローチが可能になり、店頭も不要なのでさらにコストを圧縮できるという。

さらに興味深いのは、Pantrii のユーザ体験だ。Pantrii には、商品名などキーワードを使った検索機能はつかない予定。これにより、百貨店の商品を見ながら選んで購入するような偶然発見の体験が楽しめるという。以前、グルメアプリの SynchroLife が店舗を検索する機能を廃止し、ユーザの好みに応じた店を AI がレコメンドする仕様に変更したことを伝えたことがあるが、これと同じく、ピンポイントで欲しいモノがあるなら、他の既存 e コマースアプリを使ってほしい、というメッセージと捉えることができる。

オンラインホールセールクラブの考え方は、Pantrii が初めてではない。アメリカのミレニアル向けコストコと評された Jet については BRIDGE でも何度か取り上げているが、2016年に小売大手の Walmart が30億米ドルで買収した。Walmart は以前から、コストコに次いで2位のシェアを持つホールセールクラブ Sam’s Club を運営していて、Jet の機能は結果的に Sam’s Club に統合された。新たなミレニアル向けコストコと呼ばれる Boxed は SPAC 経由での上場決定が明らかになっている。

日本でもまた、少しコンセプトや取り扱う商品内容に違いはあるが、「トクポチ」というサービスがローンチし話題を呼んだ。会費で収益を確保し、商品ごとに利益マージンを薄くすることで価格を下げるアプローチは似ている。

Parchie は、2019年9月の創業。以前は、インフルエンサーのブランドショップが集まった SNS ショッピングサービス「Recosho」を展開していた。同社はこれまでにシードラウンドで、サイバーエージェント・キャピタル、F VENTURES、Gazelle Capital から資金を調達した(調達額不明)。10月4日から開始した Pantrii のクラウドファンディングでは、本稿執筆時点で、80人から233,600円を集めている。

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