スマホで建築家に間取り作成依頼「madree」運営、プレシリーズAで1.3億円を調達——AIで設計精度・効率向上を目指す

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スタジオアンビルトの皆さん
Image credit: Studio Unbuilt

注文住宅の間取りをスマートフォンで依頼できる「madree(マドリー)」と、建築家が集まるクラウドソーシングプラットフォーム「STUDIO UNBUILT(スタジオアンビルト)」を運営するスタジオアンビルトは13日、プレシリーズ A ラウンドで1億3,000万円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、マネーフォワードベンチャーパートナーズが運営する HIRAC FUND、名前非開示の個人投資家1名。

名古屋を拠点とする同社は2017年5月、共に建築家である森下敬司氏(代表取締役)と、山川紋(あや)氏(取締役)により創業。今回の調達は同社にとって、2018年10月に実施したシードラウンド(静岡キャピタル、OKB キャピタル、ニッセイ・キャピタルから1.1億円を調達。調達額に日本政策金融公庫からの資本性ローンによるデットを含む)に続くものだ。

「madree」
Image credit: Studio Unbuilt

注文住宅は建売住宅と異なり、外観や内装に個性があるだけでなく、住む人が求める機能を備えられっる点がメリットだ。しかし、日本で注文住宅を建てた人の約95%が間取りに満足していないとのデータがある。その原因の一つは、間取りの作成を建築家やデザイナーではなく、工務店やハウスメーカーの営業担当者が作成しているからだ。これは工務店やハウスメーカーに建築家やデザイナーが多数在籍していないことから生じる問題で、間取り作成を建築家やデザイナーが手がける件数は全需要の4%に過ぎない。

STUDIO UNBUILT には、全国の7,000人以上の建築家が登録していて、進行に時間のかかる大きな案件の合間や、働きには出られないが子育ての合間に、間取り作成の仕事を引き受けることができる。他方、注文住宅を検討している人は madree を使って、家族情報、ライフスタイル、現地の測量図、周辺写真、各部屋の要望などを入力すると、STUDIO UNBUILT 登録の建築家から間取りの提案を受けることができる。現場ヒアリングや対面インタビューなどがなく、オンライン完結であるため双方にとって効率が良い。

「madree」の依頼で出来上がった間取りの例
Image credit: Studio Unbuilt

madree には4万人以上のユーザが登録していて、間取り閲覧を楽しむファンである Instagram のフォロワーは14万人以上。ユーザは1人の建築家に間取りを単発で提案依頼することも、また、複数の建築家にコンペ形式で依頼することもできる。ユーザは提案された間取りを元に任意の工務店に依頼できるが、STUDIO UNBUILT が提携する全国の工務店200社から選ぶこともできる。STUDIO UNBUILT は間取り作成の料金の大部分を建築家に還元していて、工務店からの広告出稿やマッチングで収益を確保しているという。

今回調達した資金を使って、STUDIO UNBUILT ではこれまでオーガニック流入に依存してきた madree のテストマーケティングと、STUDIO UNBUILT と madree の機能増強に向けた開発チームの採用を強化する。また、これまでに1,000人以上から依頼を受け3,000件以上作成した間取りのデータを元に、AI を使った、より建築家が効率的に設計できるような仕組みを構築する計画だ。現在85%の madree ユーザがアウトプットに満足しているとのことだが、新たな仕組みでより精度の高い設計が目指せるという。

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