垣屋美智子氏、日本から世界のゲームスタートアップに投資するファンド「EnFi」を組成

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垣屋美智子氏

垣屋美智子氏は、2001年からソニー・コンピュータエンタテインメント(現在のソニー・インタラクティブエンタテインメント)で、PlayStation の VC 機能「Tools&MiddlewareProgram」を担当、その後、10年間にわたり投資銀行などでアナリストを勤めた人物だ。e スポーツへの投資をはじめスタートアップも支援しており、BRIDGE でも以前、生活の困りごとを一括解決できるサービス「オコマリ」を運営する modecas の CFO として紹介している

垣屋氏は先ごろ、ゲーム特化型ファンド「EnFi グローバルイノベーティブテクノロジーファンド」を組成したことを明らかにした。ファンド規模は明らかにされていない。LP についても開示されていないが、多くは日本の上場するゲーム会社だと見られる。EnFi が集めた資金は、その全てがフィンランドを拠点とするゲーム業界向けプレシード及びシードファンド Sisu Game Ventures に出資される。Sisu は先ごろ、5,000万米ドル調達し3号ファンドのファーストクローズを迎えたことを明らかにしている。

Sisu 創業者の Paul Bragiel 氏 が TechCrunch に語ったところでは、Sisu の3号ファンドの LP は、Supercell、ソニー、Ubisoft などのプラットフォームホルダーやパブリッシャー、スタジオの個人創業者など、ほぼゲーム業界に限られている模様だが、EnFi はこのリストに日本からマイノリティ投資家として加わる模様だ。Sisu 3号ファンドからは既に14件の出資が実行され、日本ではメタバース開発の Thirdverse やダウンロード要らずのゲームを開発する Playco が投資先に含まれる。

2015年くらいからゲームに特化したファンドが出てきて、その中でも Sisu は最も早かったファンドの一つだ。日本の場合、コンソールはコンソール、モバイルはモバイルでプレーヤーが分かれているが、海外では、ブランドは違えど、実際は同じ資本系のプレーヤーがプラットフォーム横断で展開する戦略を取っているところが多い。

中でも顕著なのは、Tencent(騰訊)や Microsoft だ。Tencent は M&A でゲームと e スポーツプラットフォームを構築し、複数の世界的ゲーム会社を傘下に収め、売上高ベースでは世界最大級のゲーム会社になっている。Microsoft は早い段階で MineCraft に出資し、過去に実施した M&A で最も買収額が高かったのもゲーム会社(2020年の ZeniMax Media)だった。(垣屋氏)

Sisu の LP はゲーム業界に詳しい企業や人々で構成され、プロダクトはあるがバリュエーションが確立されていない段階で投資を開始する、スタジオビルダーとして同社は機能している。これまでに組成したファンドからは、Zynga による Small Giant Games の買収(7億米ドル)、King による Hatrabbit の買収(買収額非開示)など、これまでに8件のイグジットを出している。

Sisu はゲームビジネスで成功し財を成した人が中心となっていて、ゲームのことがよくわかっているから、ソーシングもインキュベーションもやりやすい。EnFi を通じて、ゲーム特化の海外ファンドへの入口を日本に持ってくることで、日本からゲームデベロッパへの投資機会、日本のゲーム業界に生のいい情報、M&A の機会などを提供できる、と思っている。(垣屋氏)

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