新時代の検索「You.com」のアイデアとは/GB Tech Trend

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2,000万ドルを調達した検索サービス「You.com」(Image Credit:You.com)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

数年に一度の消費者向け(To C)サービス・トレンドが来ていると言われている昨今、新たな検索サービス誕生の機運が高まっています。ということで、今回ご紹介するのは「You.com」です。11月9日、2,000万ドルの資金調達を発表しています。

You.comの特徴は2つほど挙げられます、「ホライズン表示」と「アプリ連携」です。Googleを筆頭とする従来の検索サービスは、大半が縦スクロールで検索結果を表示させていました。テキスト記事やウェブサイトの検索結果を多く表示する上では適切な手法であったためです。

しかし、バーティカル表示(縦長表示)は20年以上前のUXに囚われている表示手法とも言えます。今ではテキスト以外に動画やニュースなどのカテゴリー別の結果も細かく求められていますし、RedditやMedium、TikTokのような大手コンテンツプラットフォームの結果表示もあります。こういったあらゆるサービスから統一的に情報検索したいというニーズに答えるべく登場したのがYou.comです。

You.comではサービス別・カテゴリー別に綺麗に分類した結果を表示させるUIを採用しています。その上で各トピックがホライズン表示(横スクロール)することで網羅性を高めました。コンテンツから別アプリに飛ばすことも重視しています。これはGoogleのように自社サービスに「閉じた」利用を求める大手企業の戦略の裏をかいたUXとも言えるでしょう。ユーザーからすれば様々な検索ソースを集めることができるメリットが生まれます。

ユーザーは一覧化された各検索結果カテゴリーの好みの優先度を付けることもできます。たとえば動画結果を優先して表示したい場合は、動画セクションを一番に持っていくことで今後利用する際のトップ画面に結果表示することができるようになります。

You.comは、検索結果のソース別にあらゆるカテゴリーを網羅的に表示することに秀でたサービスです。ただ闇雲に結果を表示するのではなく、そこにホライズン表示を採用することで見やすくなるように設計しており、ユーザー自身による結果表示のパーソナライズ化にも取り組んでいます。

以前、このコラムでは各種検索窓口と連携するAdd-on型の検索サービス「Neeva」をご紹介しました。創業者は元Googleで検索広告事業部にいたSridhar Ramaswamy氏であり、同氏はGoogleの検索結果は広告が優先的に表示され、ユーザーがほんとうに求めるコンテンツがなかなか探し出せないアルゴリズムに疑念を呈し、Neeva開発を手がけることになっています。

今回のYou.comが2,000万ドル、Neevaは4,000万ドル(記事掲載時)を調達しており、検索市場にも新たなトレンドとして次のGoogle誕生を期待する声が聞こえてくるようになりました。

今週(11月9日〜11月15日)の主要ニュース

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