
本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載
GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
今週の注目テックトレンド
Spotifyが大手Podcast企業「Gimlet Medit」とPodcast配信アプリ「Anchor」を買収してから2年ほど経ちました。この買収劇以来、急速にPodcast市場に注目が集まり、多数のスタートアップも参入しています。
今回紹介する「Knowable」も同じくPodcastのトレンドに乗り成長をしてきたスタートアップです。そして同社は11月16日、大手ブログ記事プラットフォーム「Medium」によって買収されたことを発表しました。
Knowableは選りすぐりのPodcastコンテンツを月額課金制で提供するサブスクプラットフォームです。業界で有名な人を連れてきてコンテンツ制作を行っており、コンテンツの質に関しては非常に高いのが特徴です。出資者にはAndreessen HorowitzやFirst Round Capital、Initialized Capitalなどが並びます。
競争激しいPodcast市場で、Knowableがこうした著名VCから調達できた理由の1つに「スーパーアプリ志向」のコンセプトが挙げられます。同社は特定トピックのPodcastコンテンツと合わせ売りの形で、コマース領域にまで進出しようと考えていました。
たとえばスタートアップ講座の購読者は、比較的高い確率で起業を検討していることが多いため、購読者にAWSのクレジットを販売することで、ある種のターゲティング・コマースを実現しようとしていたのです。関連性の高い商品を提示することで、音声コンテンツを基軸に、様々な商品や情報も一元的に提供するプラットフォームへの成長を志望していたのがKnowableです。
さて、そんなKnowableがMediumに買収されるメリットはなんでしょうか。真っ先に考えられるのがMediumのサブスク強化戦略です。Mediumは月額メンバーシップ制を導入しており、月額5ドルから購読できます。今回Knowableの上質なコンテンツが提供されることによって、この購読対象にPodcastも入り込んでくることでしょう。
元々、Mediumはプロフェッショナル志向のライターとの相性が良いプラットフォームです。この点、同じく業界のプロを招いたコンテンツを揃えるKnowableのコンテンツを、そのままMediumのブランドコンテンツとして吸収したとしても遜色ないと予想されます。またKnowableの購読者も、Mediumの顧客層と被ることが予想されるでしょうから、メディア買収の連携性も高そうです。
冒頭で話した通り、サブスク強化のために音楽市場はPodcastコンテンツ企業を買い占めるようになりました。Mediumも同様に、教育系・ビジネス系Podcastコンテンツの領域においてKnowable買収を行い、サブスク戦略を推し進めていくことが伺えます。
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