セグメントの拡大
(前回からのつづき)パンデミック時に加速したデジタルトランスフォーメーションに後押しされ、特にマーケティングにおいて、コピーライティングを自動的に提案してくれたり、調整したりするAI技術を導入する企業の割合が増えると予想される。Phraseeの調査によると、マーケティングチームの63%が広告コピーの生成と最適化のためにAIへの投資を検討していると答えている。
また、65%が望ましいブランド向けの「ことば」をAIが生成できると信頼しており、82%がそのことばに対する消費者の反響データの恩恵を受けているという調査結果が出ている。
Grammarlyは、営業部門など特定の編集ニーズを持つ市場での訴求力を高めるため、企業が既存のウェブベースのアプリケーションにGrammarlyを活用したレコメンデーションを追加できる開発キット「Grammarly for Developers」を発表した。現在クローズドベータ版として提供されているGrammarly for Developersは、アプリとGrammarlyのクラウドサービス間の通信、下線やサジェスチョンカードの描画、テキスト変換の適用、個人辞書の提供などを実現する。Roy-Chaudhury氏は次のようにコメントしている。
「Grammarly for Developersでは、開発者が独自のテクノロジーを開発するために必要な時間とリソースを節約しつつ、ユーザーにより良いライティング体験を提供しようというものです。私たちの最初の製品であるテキストエディタSDKは、Grammarlyのコミュニケーション支援をあらゆるウェブベースのアプリケーションにももたらしてくれるはずです」。
6月にGrammarlyは最大50のスタイルガイド、スニペット、ブランドトーン、分析ダッシュボードのサポートなど、企業のコミュニケーションに焦点を当てた追加機能を発表した。スニペットは迅速なコミュニケーションのためにあらかじめ用意された回答テンプレートだ。ブランドトーンは、チームメンバーが使うべきトーンと避けるべきトーンを指定する「トーンプロファイル」になる。アナリティクス・ダッシュボードは、リーダーがコミュニケーションの傾向や強みを把握しやすくするための指標を表示してくれる。
GrammarlyにはWriter、Ginger、ProWritingAid、Slick Writeといった競合製品があり、これらの製品も同様にさまざまなユースケースに対応したAI搭載のライティングアシスタントを提供している。Fast Company誌に寄稿したある英語教授は、Grammarlyの修正提案は「ニュアンスへの理解を欠いている」と指摘し、例えば冗長性を過剰に排除しがちだと述べている。
しかし、600人以上のチームメンバーを擁し利益を上げているGrammarlyは、これまでに3,000万人のユーザーと3万のチームを魅了してきたそうだ。新規および既存の顧客には、Frost & Sullivan、HackerOne、Lucid、Zoom、Cisco、Expediaなどが名を連ねている。
今回の資金調達により、同社の総資本は4億ドル以上に達した。
「2020年だけで、1兆2,000億のライティング提案を全世界のユーザーベースに届けました。 フォーブス・グローバル2000企業の68%がGrammarlyのユーザーを少なくとも1人抱えており、今後数年で大幅に増加すると予想しています。Grammarly Businessの大口契約のお客様の数は、この1年だけで250%以上増加しています。また、150カ国以上の6,800以上の非営利団体や非政府組織を無料でサポートしており、Grammarlyの教育部門では2,500以上の教育機関にそれぞれのニーズに合わせた機能を提供しています」(Roy-Chaudhury氏)。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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