#WebSummit 2021のピッチ・コンペティションは、AIで生地メーカーの繊維ロスを防ぐ「Smartex」が優勝

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本稿は、WebSummit 2021 の取材の一部である。

リスボンで開催されていた WebSummit 2021 で、3日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティション「PITCH」で、生地メーカーが不良品を限りなく0%に近づけられるソリューションを開発するポルトガルの Smartex が優勝した。本稿では優勝した Smartex を含む、ファイナリスト3チームを紹介する。

コンペティションには、世界中から千社に及ぶスタートアップがエントリし75社が参加を許され、や準決勝を経て決勝では勝ち残った3社が戦いに挑んだ。ピッチの審査条件は、プロダクトの可能性、ディスラプティブかどうか、財務面での評価、チーム構成、ピッチの品質の5点。聴衆の投票も25%の割合で(つまり4人目の審査員として)加算された。決勝はの審査員を務めたのは次の方々だ。

  • Reshma Sohoni 氏 —— Managing Partner, Seedcamp(イギリス・ロンドン)
  • Hanna Hennig 氏 —— CIO Simens(ドイツ・ミュンヘン)
  • Juan Pablo Ortega 氏 —— Co-founder, Rappi(メキシコ・メキシコシティ)

Smartex(ポルトガル・ポルト、中国・深圳、アメリカ・サンフランシスコ)

生地の丸編みの工程においては、繊維の歪み、縫い目が一定でないなどの不具合が生じることがある。通常は一連の工程が終わってから人の目による検査を行うため、不具合が見つかった時には修正ができず、そのピースを丸ごと廃棄に回さざるを得ない。Smartex では編機にカメラをつけ生地を編んでいる状態を常にモニタし、画像解析と人工知能により不具合が確認できた時、即座に編機を止めることができる。人が状態を修正し、そこから編機を再稼働巣るので、繊維ロスを最小限にとどめることができる。

従来の方法では、生地を編み上げた後、染色や仕上げの段階まで進んでから不具合が見つかることもあり、この場合、時間や水など多くの資源を浪費することになる。ポルトガルの Tintex Textiles での事例では、Smartex が初期段階で直接介入して不良品の生産を回避したことで、最大21,613リットルの水を節約できることがわかった。同社では、顧客が Smartex の技術を取り入れたことで、これまでに合計750万リットルの水と670億トンの生地を節約できたとしている。

LiSA(ドイツ)

LiSA は、企業がライブコマースを実施するのを支援するプラットフォームだ。ライブビデオ、リアルタイムの顧客交流、シームレスなオンラインショッピングを組み合わせ、ライブ配信中の商品購入、グループチャット、2人のモデレーターによる遠隔操作などの機能が搭載されている。スタッフやインフルエンサーが発信するライブストリームを、オンラインショップ形式に変換し、客は通常のオンラインショップのように、動画の中から欲しい商品を選び、ショッピングカートに入れることができる。

同社によると、中国ではすでに e コマースの売上の17%がライブストリームで行われており、アメリカではすでに250億米ドルの売上を上げているという。LiSA は、消費者のプロセスを簡素化することで、画面の向こう側にいるアシスタントに質問したり、情報を収集したりした瞬間に購入することができるようになる、といった体験で差別化しようとしている。小売業者にとっては、視聴者を収益化し、消費者との直接的な関係を築くことができるメリットが得られる。

Okra Solar(オーストラリア)

Okra Solar のミッションは、いまだに十分な電力供給を受けられない世界の11億人の人々に、クリーンで安価な信頼できる電気へのアクセスを提供することだ。同社のスマート・ソーラー・マイクログリッドとソフトウェアは、カンボジア、インドネシア、フィリピンなどの未電化地域に電力を供給してきた。マイクログリッドで最もコストがかかるのは太陽電池や蓄電池ではなく、配電と電力調整であることから、スマート IoT デバイスと連携させることで、発電された電力がその場所で消費されるよう工夫した。

電力が余ったときや、ある家が一定期間大きな電力を必要としたときだけ、ネットワークを通じてメッシュ内の近隣システム間で電力を共有する。同社では電力消費を管理するためのデバイスを作り、地元の電力会社にそのデバイスを販売し、需要家の家に設置してもらっている。Okra Solar のソフトウェアは、ソーラーシステムを制御するだけでなく、モニタリングシステムや請求書作成も行う。プラットフォームでは、ユーザは電力料金をいくら支払わなければならないのかがリアルタイムでわかるようになっている。

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