元Paidyのエンジニアら、手数料・利子不要のBNPL「Smartpay」をローンチ——SMBC VCらから資金調達も

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Image credit: Smartpay

2021年のスタートアップシーンを特徴づけたビジネスモデルの一つが BNPL(Buy Now, Pay Later)だろう。スウェーデンの Klarna やアメリカの Affirm といった欧米勢は軒並み増収増益、Square はオーストラリアの Afterpay を買収し BNPL サービスに進出した。売上を数倍以上に押し上げる効果があることから、小売業を営むプレーヤーが BNPL スタートアップを買収するケースも出てきた。日本では、ユニコーンとなった PaidyPayPal が買収、ネットプロテクションズの年内上場も発表された。

BNPL の注釈書きとして、単に「後払サービス」と書くには課題が残る。後払サービスは、これまでも従来型のクレジットカード会社や割賦販売会社が提供してきたからだ。独自の与信評価システムで自らリスクを取り、これまで対象ではなかった未成年やクレジットカードを持ちたくない人などに購買機会を提供、ある種の金融包摂(Financial Inclusion)を生み出しているのが BNPL と言えるだろう。先週の IVS LaunchPad では、アフリカで車を買えないタクシードライバーに BNPL を提供するスタートアップがいて興味深かった。

ところでこの BNPL だが、消費者には、高価な買い物を後払や分割払によってハードルを下げてもらえる一方、手数料や分割手数料が発生する。クレジットカードを持っていなくても利用できるのは便利だが、ユーザには利用の都度、個人情報を入力してもらい(いわゆる eKYC のプロセスだ)、それを与信情報会社(日本ではシー・アイ・シー、アメリカでは Equifax、Experian、TransUnion などが有名)に照会する必要がある。このプロセスは一定の時間が必要となるため、ショッピングカートの一連のステップの中で完結するのは難しかった。

取材に応じてくれた経営陣の3人。左上から反時計回りに:大坪直哉氏(カントリーマネージャー)、Pieterjan Vandaele 氏(共同創業者)、Sam Ahmed 氏(共同創業者)、筆者

Stripe でアジア太平洋地域のプロダクトヘッドを務め、Paidy やコイニー(現在は hey 傘下 STORES の一部)のエンジニアリングを担当した Pieterjan Vandaele 氏と、Facebook のアジア太平洋地域における決済及びフィンテック部門長やマスターカードでデジタルおよび e コマースエンジンの構築に従事した Sam Ahmed 氏は新たな BNPL サービスを開発した。ショッピングカートにコードを1行挿入するだけで BNPL をウィジェットで実装できるサービス「Smartpay」だ。

この Smartpay が面白いのは、クレジットカードを持つユーザを対象にしている点。クレジットカードを持っていれば、契約次第で分割払やリボルビング払を選ぶこともできるが、金利や手数料がかかってしまう。e コマース店舗がカートに Smartpay を実装していれば、ユーザはクレジットカード番号を入力した後、金利や手数料がかからない後払・分割払手段として Smartpay を選ぶことができる。Smartpay は本人認証や購買内容に関する情報を店舗から引き継ぐので、入力内容は最低限で済み30秒でチェックアウトが完了する。

ところで、BNPL 利用に際しユーザから金利や手数料を取らない Smartpay はどうやってマネタイズするのだろう。その答えは、Smartpay の圧倒的な UI/UX の良さと店舗に対するコンバージョン貢献にある。一般的に、消費者がクレジットカードを使って買い物をすると、店舗はカード会社(アクワイアラ)に数%の手数料を支払っている。Smartpay にとってもこれが原資だ。金利や手数料を排除することで店舗へのコンバージョンをさらに上げ、Google Pay や Apple Pay にも対応することで利便性を向上させた。

ショッピングカートで「Smartpay」が選択肢に表示された例。
Image credit: Smartpay

クレジットカードを持たないユーザが BNPL サービスを利用した場合、支払にはコンビニ店頭や金融機関に出向いたり、振込をしたりする必要があるが、Smartpay では支払時に選んだクレジットカードに後払や分割払の相当額が都度請求されるだけだ。言ってみれば、Smartpay は加盟店開拓やユーザ開拓といったマーケティングコストを最小限に抑え(Smartpay のブランドを認知させる必要はあるが)、独自の与信アルゴリズムを武器に、後払や分割払の与信枠を提供するビジネス、と見ることができるだろう。

Smartpay はまた、シード資金を調達したことも明らかにした。このラウンドには、SMBC ベンチャーキャピタル、Rocket Internet 創業者が創設した Global Founders CapitalBRIDGE にも頻繁に寄稿してくれている Mark Bivens 氏率いる Shizen Capital、あすかホールディングス会長で個人投資家の谷家衛氏が参加した。財務的な需要よりは各社(者)とのパートナーシップを重視したものであるため、Smartpay は現時点で調達金額は開示しない、としている。

サービスのローンチと資金調達の発表とあわせ、Yahoo Japan のグローバルセールスマネージャー、Criteo のアジア太平洋地域ディレクター、AppsFlyer で日本のカントリーマネージャーを務めた大坪直哉氏が、Smartpay の日本市場カントリーマネージャーに就任したことも明らかになった。

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