本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載
全産業デジタル化の流れが不可避と認識される中、大きな構造の変化がいろいろな場所で発生しています。MUGENLABO Magazine編集部では業界のダイナミックな変化をゲームチェンジャーたちの解説と共に紐解くシリーズを開始しています。前半では、世界や日本の宇宙産業の全貌について伺いました。後半では、宇宙スタートアップの活躍について、お話を伺います。
日本の中でもこうした分野での事業を目指して、さまざまな宇宙ベンチャーが現れてきました。宇宙データ利活用とかインフラ、宇宙旅行、ロケットである輸送、それから軌道上のさまざまなサービスとか、あるいは月や小惑星の資源を探査しようというさらに先のビジネスなんかも出てきています。
今、日本ではスタートアップが合計54社、投資家が120社ですね。累計投資額は677億円といったところです(いずれも2020年現在)。アメリカに比べると一桁以上小さいですけれども、それなりの投資が起こっているという点からもわかる通り、宇宙への投資熱は非常に強いです。

それから宇宙にたくさん打ちあがる衛星が、死んでしまったらゴミになるので、これを除去するサービスが必要になります。デブリ除去サービスを提供するAstroscale(アストロスケール)は、100億円以上の資金調達をしています。
また、日本でもロケットのベンチャー会社が出てきました。来年打ち上げる予定のスペースワンは、自分たちで射場を和歌山県に作り、ここから150kgぐらいのペイロードを打ち上げられるロケットを打ち上げます。
それから宇宙旅行ですね。宇宙まで行くというのではなくて、たとえば100kmぐらいの高度まで行って数分の無重力を体験して帰ってくるようなビジネスも相当な勢いで動いています。日本でも大分空港がスペースポートに名乗りを上げており、来年、747ぐらいのロケットの翼の下にロケットを付けて、そこから衛星を打ち上げる空中発射のビジネスがスタートします。

2014年に打ち上げた60kgの衛星は、大体3億円以下ぐらいでできました。これまでの200〜300億円に比べると百分の一ぐらいの値段になりました。6m分解能だと田畑が1枚ずつ見える。1機だけだと勝負できないが、たくさん打ち上げることによって頻繁に見れるようになり、そこから新しいビジネスを展開しようという動きが、今ベンチャーの中では起こっています。

さらに合成開口レーダーも小さな衛星で実現できる時代になってきました。我々が衛星のバスという基本部分を作りビジネスを展開するSynspective(シンスペクティブ)が生まれました。Synspective は去年の12月に初号機を打ち上げ、すでに雨でも夜でも撮影可能なので、撮影した画像をを使った災害の監視など、いろんなビジネスをスタートしているところです。

宇宙産業の動向や、そこで活躍する宇宙スタートアップの動向を知ることができました。この分野から新しいビジネスが生まれることを楽しみにしています。
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