初号ファンド組成から1年、Yazawa Venturesが女性の起業を後押しするインキュベータを始動

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ベンチャーキャピタリストの矢澤麻理子氏が、シード特化ファンド「Yazawa Ventures」を立ち上げたのを報じたのは約1年前のことだ。Yazawa Ventures は16日、女性起業家に特化したインキュベーションプログラム「アントレジェネレーター」をローンチすると発表した。創業前または創業後半年以内資金み調達の女性 CEO(CEO 以外の性別は問わない)か CEO 候補のいるチームが対象で、エントリは今日から12月5日まで受け付けられる。プログラムは来年1月14日から開始の予定。

初号ファンド規模7億円以上を目標に始まった Yazawa Ventures は、まもなく4つ目の投資を完了する見込みだ。Yazawa Ventures とその投資先の多くは具体名を明らかにしていないが、唯一、先月シードラウンドを発表した不妊治療可視化アプリ開発の ninpath(ニンパス)だけが Yazawa Ventures からの調達を明らかにしている。女性起業家の支援を差別化要素の一つに掲げる Yazawa Ventures だが、矢澤氏によると、投資先4社のうち女性が CEO を務めるのはまだ1社にとどまっているそうだ。

ミドルステージ対象だった VC がアーリーへ、シリーズ A 対象だった VC がシードへ、など、VC 各社はより創業まもない段階でスタートアップへ投資実行しようとする流れが生まれており、Yazawa Ventures のようなシード VC にとっても、どこ吹く風という訳にはいかない。また、矢澤氏が自らの独立シード VC を1年間回したことから導き出したのは、起業した起業家に出資するだけでなく、起業前の潜在起業家、あるいは、潜在起業家以前の段階から、女性たちに起業を鼓舞する必要があるという結論だった。

矢澤氏は、何が女性起業家を生み出す方法として最も機能するかは PDCA を回しながらアジャストしていくとしながらも、彼女らが2017年に参加した、シリコンバレーの「Women’s Startup Lab」を訪問しての合宿ツアーで学んだ体験を振り返り、同じ高みを目指す人たちが集まることで、互いに鼓舞し合える環境が作り出せるのではないか、と語った。メンタリングに力を入れ、隔週でのプロジェクト進捗の確認、定期的なランチ会などで、初期起業家や潜在起業家同士の親睦を深めることにも注力したいとしている。

今まで数々のアクセラレーションに携わってきたが、プログラムの充実したコンテンツだけが目立ち過ぎると、コンテンツ目当ての人が集まってしまい、実際の起業には繋がらないことがあるのも事実。むしろ、熱量がある人こそ起業すると思っていて、彼らを同じ志を持つ人同士でいかに鼓舞し合うようにしていくか。そのためにワークショップなども積極的に開催していく。(矢澤氏)

アントレジェネレーターの運営には、活動の場となる会場提供で Cambridge Innovation Center の日本拠点である CIC Japan、コミュニティ連携で Yazawa Ventures の LP の一人でもある奥田浩美氏がボードメンバーを務める WOMB Business Incubator、クラウドの優待利用や技術開発面で Amazon Web Services(AWS)がそれぞれパートナーとして協力する。Yazawa Ventures では11月22日と12月1日の17時30分から、プログラムに関するオンライン説明会を開催する予定だ。

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