子供向け読書習い事「ヨンデミーオンライン」、プレシリーズAで1億円を調達——選書から読書習慣化へ力点シフト

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前列左から:
松尾豊氏(東京大学教授)、武川聖宗氏(Yondemy CTO)、笹沼颯太氏(Yondemy CEO)、飯田麻衣
氏(D4V)
後列左から:藤田圭介氏(個人投資家)、安岡浩太氏(
XTech Ventures)、両角将太氏(F Ventures)、早坂啓伸氏(F Ventures)、高津秀也氏(W Ventures)

Image credit: Yondemy

子供向け読書習い事サービス「ヨンデミーオンライン」を運営する Yondemy は9日、プレシリーズ A ラウンドで1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは XTech Ventures がリードし、D4V、W Ventures、F Ventures が参加した。これは、昨年12月に明らかになったシードラウンド(実施は昨年8月前後)に続くものだ。W ventures と F Ventures は今回、シードラウンドに続いてフォローオンでの参加。Yondemy では調達資金を使って、ヨンデミーオンラインへの開発投資と人材採用を促進する。

Yondemy は昨年4月、創業者で代表取締役の笹沼颯太氏をはじめ現役東大生数名で起業。笹沼氏らが通っていた筑波大学附属駒場中・高等学校で、教育に読書を取り入れる分野で第一人者の澤田英輔氏の指導を受けたこと、講師を務める塾で英語多読(extensive reading)を担当していたことなどから、児童教育の一環で読書に特化したサービスの開発を思い立った。ヨンデミーオンラインは5歳から14歳までの児童が対象で AI (司書)が次に読むべき本を推薦してくれるサービスだ。

ヨンデミーオンライン
Image credit: Yondemy

サービスローンチ当初は、さまざまな本のデータがタグづけされた情報集積力と、ユーザである児童の好みやそれまでに読んだ本の評価履歴(選択式回答)に基づいて最適な本を推薦できる機能を強調していたが、現在は読書の習慣化支援へと力点をシフトしつつあるという。このシフトは、月次継続率98.0%(2021年8月)、累計生徒数1,400人超(2021年9月末時点、無料ユーザを含む)という好成績からも受け入れられつつあることがわかる。

ヨンデミーオンラインを始めたお子さんにアンケートを取ってみたが、本も好きだけど YouTube の方が好きだという子が非常に多かった。本をお薦めすることも大事だが、お薦めした本を手に取ってもらうキッカケづくりをサポートする必要があるとわかった。(笹沼氏)

Yondemy では本の紹介動画や見どころの紹介を制作するなど読書習慣化につながる取り組みを始めている。本を読まない子供が増える中、保護者たちは子供が本を読まないことで学力面、言語面、情操面で子供の成長が遅れることを懸念しており、Yondemy では図書の推薦に先立ち読書の習慣化、ひいては、子育て全般を支援できるようサービスを進化させつつある。また、電子書籍も普及しつつある世の中だが、子供にとっては紙の本の方が都合いい、という側面もあるそうだ。

大人はまず本を読もうと思って、電子書籍のタブレットやアプリを開き、そこから読みたい図書を選ぶ。でも、子供は、まず「この本おもしろそう」という発想が先に来るので、電子書籍のタブレットやアプリを開く、という行為に結びつかないことも多い。また、本を読んでいて不明な箇所があった時、パラパラと少し前に戻って再読するという体験が電子書籍だと難しい。(笹沼氏)

明文堂書店 TSUTAYA レイクタウン
Image credit: Yondemy

ヨンデミーオンラインが届ける体験の最適解を探る試みも始まっている。同社は先週4日から、埼玉・越谷にある明文堂書店 TSUTAYA レイクタウンで展開されるポップアップストア「本のたからばこ」とコラボレーションし、ヨンデミーオンラインでも採用している児童個々人にあった読書指標「YL(ヨンデミーレベル)」に応じて児童書を展示、ユーザがどの本を読めばいいかを分かりやすく配置したことで、実店舗における児童書販売の向上支援を目指す。

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