住居や自動車をeコマースで買う時代の到来【Canvas 12月号(11月27日〜12月3日)】

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住居や自動車をeコマースで買う時代の到来

今週の話題(11月27日〜12月3日):販売開始2カ月で40億円ほぼ完売、NOT A HOTELが切り開く「カートで別荘買う時代」と次の課題

今週は、住居やホテルなど柔軟な利用ができる不動産を販売する「NOT A HOTEL」の物件完売の記事がよく読まれました。サービスローンチから約2ヶ月、合計40億円に及ぶ物件がほぼ完売しているそうです。購入したと見られる方々のツイートを見ていると、不動産を e コマース完結で買ってしまうという体験をアーリーアダプタの感覚で楽しんでおられるようです。

高価な物件を現金で購入できる層は一定数おられますが、この価格は初めから高級志向を標榜したものではなく、浜渦氏(NOT A HOTEL 代表取締役)が実現したいことを積み上げていったところ、この金額になったということのようです。より多くの人々の手の届くものにするため、NOT A HOTEL ではさらなる戦略を画策しています。詳しくは、先週行った公開インタビューの記事をお読みください。

NOT A HOTEL
  • 不動産を e コマースで買うという感覚、何かに似ているな、と思いを巡らしてみたら、5年ほど前にアメリカで現れた中古車の自動販売機「CARVANA」の記憶でした。当時は半分冗談だと思っていましたが、2017年の SXSW(サウスバイサウスウエスト)で実機が展示されていて、人気の高さを目の当たりにしたのを覚えています。その後ニューヨーク証取に上場、時価総額は228億米ドルに達しました。
  • 先月、中古自動車をオンライン完結で買える「カババ」のシリーズ A 調達のニュースをお伝えしました。不動産にせよ、自動車にせよ、Web サイト上での取引は問い合わせまでがほとんどで、確定金額を表示して成約まで自動で至る仕組みは多くありません。これは細かい付帯条件によって価格にブレが生じるためです。カババでは、独自の知見で価格提示&注文確定までの自動化を実現したとのことでした。
  • これまでオフラインで購入することが前提だったものがオンライン主流に、また、その逆も増えていくでしょう。企業の中で、セールスとマーケティングは、互いに連携しながらも部署や役割が分かれていることが多いですが、カスタマーサクセスのような新しい役割が顕在化してきたことも手伝って、この辺りは再編されていくのかもしれません。

今月の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

取り扱いカテゴリを拡大中のスニーカーダンク(スニダン)

創業3年で評価額380億円、SoftBank Vision Fund 2がスニダン投資ーーアジア制覇に向け着実に成長(12月2日)

  • SODAは、第三者割当増資の実施を公表した。引受先になったのはSoftBank Vision Fund 2。シリーズDラウンドで調達額は非公開。企業評価額は380億円となる。 同社は7月末にシリーズCラウンドを公表しており、その時の調達額は62億円。評価額は240億円で、実に4カ月で株価を約1.6倍に引き上げたことになる。前回ラウンドではNAVER子会社のKREAMがリードし、Altos、SoftBank Ventures Asia、JAFCO Group、および既存投資家のbasepartners、コロプラネクスト、THE GUILDなどが参加した。

大学の資金調達と卒業生ネットワーク活性化を支援するAlumnote、UTECと東大IPCからシード資金を調達(12月1日)

  • Alumnote は、シードラウンドで東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)と東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)から資金調達したと発表した。なお、調達金額は明らかになっていない。

ペットD2Cブランド「PETOKOTO」運営、シリーズAで5億円を調達——ペットの総合サービスに事業拡大へ(12月1日)

  • PETOKOTO は、シリーズ A ラウンドで約5億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、ベガコーポレーション(東証:3542)、楽天キャピタル、ABC ドリームベンチャーズ、DG ベンチャーズ、Headline、15th Rock Ventures、ニッセイキャピタルと名前非開示の個人投資家。金額にはデットを含む。これは、同社にとって今年3月に実施したプレシリーズ A ラウンド(2億円を調達)に続くものだ。ニッセイキャピタルはフォローオン参加。累積調達額は約10億円。

介護福祉プラットフォームサービス提供のウェルモ、シリーズCで20.4億円を調達——累計調達額は41.2億円に

  • ウェルモは、シリーズ C ラウンドで20.4億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは DG Ventures がリードし、東京海上日動火災や凸版印刷(東証:7911)ほかが参加した。2018年6月に実施したシリーズ A ラウンド、2020年3月にクローズしたシリーズ B ラウンド(1回目2回目)などと合わせると、2013年創業以来の累計調達額は41.2億円となる。

ブロックチェーンスタートアップのGinco、5.7億円を調達——みやこキャピタル、DBJキャピタル、三菱UFJキャピタルから(11月30日)

  • Ginco は、直近のラウンドで5.7億円を調達したと発表した。ラウンドステージは不明だが、シリーズ A ラウンド相当と推定される。このラウンドに参加したのは、みやこキャピタル、DBJ キャピタル、三菱 UFJ キャピタル。Ginco にとっては、2020年に実施したプレシリーズ A ラウンドに続くものだ。DBJ キャピタルは、前回プレシリーズ A ラウンドに続くフォローオンでの参加。

ブライダルDXのTAIAN、Yazawa Venturesやエンジェル6名からプレシード調達(11月30日)

  • TAIAN はプレシードラウンドで資金を調達したと明らかにした。調達金額は非開示。このラウンドに参加したのは、Yazawa Ventures、柄沢聡太郎氏(スターフェスティバル CTO)、鶴田浩之氏(LABOT 代表取締役CEO、Labit および ゲームエイト Founder)と、名前非開示のエンジェル投資家4名。なお、調達は2021年10月に実施された。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

上海市が新データ規制を発表、中国初のブロックチェーン融資など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(12月1日)

  • 上海市人民政府は、来年発効予定の新しいデータ規制を発表した。個人データを保護し、「自由で秩序あるデータ交換」を促進し、ビッグデータ分析、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、AI などのハイテク分野の発展を支援することを目的としている。
  • 中国の雄安新区は、国内初のブロックチェーンによる640万人民元(約1億1,000万円)の融資を発行した。上海浦東発展銀行の現地支店が、新区を建設した建設会社3社に融資を発行した。

シンガポールのウェルステックスタートアップ、ZVCや現地経済開発庁系ファンドらから29億円を調達(12月1日)

  • Endowus.com」は、Prosus Ventures とシンガポール経済開発庁の投資部門 EDBI が共同でリードしたラウンドで、3,500万シンガポールドル(約29億円)を調達したことを発表した。このラウンドには、新規投資家として Z Venture Capital と、既存投資家の UBS、Singtel Innov8、Lightspeed Venture Partners が参加した。また、K3 Ventures と Wee Teng Wen 氏も参加している。

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