注目の数字とトレンド
今月特に注目を集めた数字やキーワードをお伝えします。

100万米ドル超をシード調達のスタートアップ、イグジットや後続調達の成功率が高くなるとの調査結果
- シードステージのスタートアップが、後続の資金調達を成功させる確率は、2017年の33%から2018年には28%に低下した。Crunchbase によると、シードラウンドで100万米ドル超を調達したスタートアップは著しくチャンスに恵まれ、後続の資金調達に成功する確率は50%以上だった。シードラウンド後、後続のラウンドに成功する確率は年々低下している、後続の調達に時間をかけられるようになったこと、後続ラウンドでよりハイレベルの投資家からの注目を集められるようになったことなどがその理由だ。
- 機関投資家からのシード投資を受けたスタートアップは、よりイグジットがしやすいこともわかっている。2011年にシード資金を調達したスタートアップのイグジット成功率は35%で、シード資金を調達していないスタートアップのイグジット率は15%だった。またイグジット手段の割合は、IPOが 1 に対して、買収が 10 である。アメリカでは、シード以降の資金調達を行うスタートアップが1,000社程度であるのに対し、それを実施しないスタートアップが2,000社以上存在することもわかっている。
仮想通貨を使った金融以外のスタートアップへの投資、昨年の26倍に
- 今年、仮想通貨を使ったゲーム、コマース、ショッピングのスタートアップは合計で37億米ドルを資金調達し、前年同期比で26倍に増加した。The Information が Crunchbase のデータに基づいて実施した分析によると、同時期の VC 投資全体では500%の増加だったのに対し、仮想通貨スタートアップへの投資はそのさらに5倍以上となっている。この変化は、ブロックチェーンが次世代の消費者向けスタートアップの基盤を構成することに気付いた、消費者重視の VC によって推進されている。
- 仮想通貨関連スタートアップに投じられた37億米ドルは、ゲームやコマースのスタートアップに投資された資金ののまだ3%に過ぎない。また、金融サービス関連の仮想通貨スタートアップに出資された190億米ドルに比べれても小さな金額だ。しかし、出資件数を見ると、2020年の81件から、2021年には183件へと2倍以上の増加が見られた。件数がまだ少ないのは、仮想通貨系のスタートアップのほとんどがアーリーステージであるため、巨額の資金を効率的に調達できないことも一因である。
今週の調達ニュース
今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。
トレカ特化ライブコマース「ミニッツ」が正式ローンチ、ANRI・堀井翔太氏・takejune氏から5,000万円をシード調達(12月29日)
- ミニッツは、トレーディングカード(トレカ)に特化したライブコマースサービス「ミニッツ」を正式ローンチした。同社はまた、シードラウンドで ANRI、堀井翔太氏、takejune 氏から5,000万円を調達したことを明らかにした。
コオロギで食糧問題の解決を目指すエコロギー、ウエルインベストメントやリバネスキャピタルらからシード資金を調達(12月28日)
- コオロギを活用した食糧問題の解決を目指すエコロギーは、早稲田大学の提携ベンチャーキャピタルであるウエルインベストメントやリバネスキャピタルと、名前非開示の個人投資家から資金調達したことを明らかにした。ラウンドステージはシードラウンドで、調達金額は明らかにされていない。
スマホで社債投資できるSiiibo証券、シリーズBで5.5億円を調達——DNX Venturesがリード(12月24日)
- 社債を購入できるオンライン証券サービス「Siiibo」を展開する Siiibo 証券は24日、シリーズ B ラウンドで約5.5億円を調達したと発表した。このラウンドは DNX Ventures がリードし、Angel Bridge と千葉道場ファンドが参加した。今回の調達を受けて、Siiibo 証券の累計調達額は約10億円に達した。
運送業界向けプラットフォーム「トラッカーズ」運営、モノフルらから9億円をシリーズB1調達(12月24日)
- 運送業界向けプラットフォーム「トラッカーズ」シリーズを運営する Azoop(アズープ)は30日、シリーズ B ラウンドのファーストクローズで約9億円の調達を発表した。このラウンドは、物流世界大手 GLP の日本法人の子会社モノフルがリードし、ジャフコ(東証:8595)が参加した。累計調達額が約18億円に達する予定だとした。
観光レジャー産業DXに舵を切ったアソビュー、シリーズEで30億円を調達——フィデリティ、三井不動産らから(12月24日)
- 週末の遊びやアクティビティの予約サイト「asoview!(アソビュー)」や観光・レジャー産業向け SaaS を開発・運営するアソビューは24日、シリーズ E ラウンドで30億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、フィデリティ・インターナショナル、三井不動産とグローバル・ブレインが共同運用するファンド。今回ラウンドの調達を受けて、同社の累積調達金額は約55億円に達した。
企業年金導入支援・福祉業界向けシステム開発のベター・プレイス、5.4億円を調達(12月22日)
- 企業型確定拠出年金の導入設計、福祉業界向け IT システムを開発・販売するベター・プレイスは、直近のラウンドで5.4億円を調達したと明らかにした。ラウンドステージは不明。このラウンドには、東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)、LITALICO(東証:7366)、みずほキャピタル、Chatwork(東証:4448)と、それ以外の名前非開示の投資家が参加した。
フレッシュペットフードD2C「CoCo Gourmet」運営、5.6億円をシリーズA調達——会員数は5万人、猫用も開発へ(12月22日)
- 〝犬用完全栄養食〟を標榜するフレッシュペットフード「CoCo Gourmet(ココグルメ)」を開発・運営する D2C スタートアップのバイオフィリアは、シリーズ A ラウンドで5.6億円を調達したと明らかにした。このラウンドは DIMENSION がリードし、SBI インベストメント、三菱 UFJ キャピタル、ギークス(東証:7060)、ユナイテッド(東証:2497)、AG キャピタルと、名前非開示の企業と個人投資家が参加した。
人工土壌で土づくりの期間を短縮する「宙農(そらのう)」開発、名大発TOWINGが1.4億円をプレシリーズA調達(12月20日)
- 名古屋を拠点とする TOWING は、プレシリーズ A ラウンドで約1.4億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、Beyond Next Ventures、epiST Ventures(産学連携事業 epiST の投資専門子会社)、NOBUNAGA キャピタルビレッジ(十六銀行の出資により設立された投資専門会社)。今回調達を受けて、TOWING の累計調達金額は約1.8億円に達した。
電子トレカのventus、2.75億円を調達——スポーツ・エンタメ業界で、ファン開拓のデジタルツールとして成長(12月20日)
- スポーツ・エンタメ事業者向けに、電子トレカを︎用いたファンシステム「ORICAL」︎を展開する ventus は、直近のラウンドで2.75億円を調達していたことを発表した。調達完了は今年9月前後。このラウンドに参加したのは、ANOBAKA、サムライインキュベート、ユナイテッド(東証:2497)、ソニー・ミュージックエンタテインメント、IMAGICA GROUP 系のオー・エル・エム・ベンチャーズ、VOYAGE VENTURES、SMBC ベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、グロービスの G-STARTUPファンド(VOYAGE VENTURES は9月に発表済)。
記憶定着支援「Monoxer(モノグサ)」、18.1億円をシリーズB調達——生涯にわたり支援するプラットフォーム目指す(12月20日)
- AI を活用し記憶を定着させる e ラーニングシステム「Monoxer(モノグサ)」を開発・提供するモノグサは、シリーズ B ラウンドで18.1億円を調達したと発表した。このラウンドはグローバル・ブレインがリードし、Z Venture Capital、Salesforce Ventures、WiL、UB Ventures が参加した。累積調達額は明らかになっているものだけで約23.5億円。
ロケット開発のインターステラテクノロジズ、17.7億円をシリーズD調達——サイバーエージェントらが参加(12月19日)
- 北海道大樹町を拠点に、観測ロケット「MOMO」と超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」を開発するインターステラテクノロジズは、シリーズ D ラウンドで17億円を調達したことを明らかにした。累計調達額は公開されているものだけで34億円を超えるとみられる。今回ラウンドに参加した投資家は、藤田誠氏(INCLUSIVE 代表取締役社長)、INCLUSIVE、サイバーエージェント(東証:4751)、シリアルインキュベート、セブンスターズキャピタル、サンコーインダストリー、中島瑞木氏(coly 代表取締役社長)、中島杏奈氏(coly 代表取締役副社長)、山本博士氏(スマレジ 代表取締役)。
留学メディア・エージェント「School With」運営、サムライインキュベートらから1億円超を調達(12月19日)
- 留学メディア・留学エージェントサービス「School With」を運営するスクールウィズは17日、直近のラウンドでサムライインキュベートらから資金調達したと発表した。ラウンドステージは不明。調達額は1億円を超えデットを含む。サムライインキュベート以外に参加した投資家名は非開示だが、同社はフォローオンで1社と個人投資家1名が参加したことを明らかにしている。
台湾・中華圏でインフルエンサーマーケティング展開、CAPSULEがGxPartnersとふくおかFGから資金調達(12月18日)
- 台湾などを拠点に、YouTuber などのクリエイター関連ビジネスを展開するカプセルジャパンは16日、GxPartners とふくおかフィナンシャルグループ(東証:8354)傘下の FFG ベンチャービジネスパートナーズから資金調達したと発表した。調達金額は明らかにされていない。また、日本政策金融公庫の新型コロナ対策資本性劣後ローンによるデットでも資金を獲得した。
アジアのニュース
今月のアジアのニュースをお届けします。
「Market Kurly」「Luxrobo」がプレIPO調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(12月31日)
- 「Market Kurly(마켓컬리)」運営会社 Kulry(컬리)が、来年の IPO を前に2,500億ウォン(約240億円)のプレ IPO 調達。7月以来5ヶ月ぶりの追加調達で、時価総額はは4兆ウォン(約3,900億円)と評価。累積調達金額は、9,000億ウォン(約870億円)を突破した。ロボット融合教育・IoT「Luxrobo(럭스로보)」が185億ウォン(約18億円)をプレ IPO 調達。資金は IoT 新事業の推進と既存教育事業強化のための技術開発と製品生産に活用する予定。
インドネシアのコーヒーチェーンスタートアップKopi Kenangan、105億円をシリーズC1調達しユニコーンに(12月31日)
- Kopi Kenangan は、シリーズ C ラウンドのファーストクローズで1兆3,000億ルピア(約105億円)の資金調達を完了した。また、今回の調達とともに、評価額が10億米ドルを超える「ユニコーン」であることを発表した。Kopi Kenangan は、新規小売事業としては初のユニコーンとなる。
「ロールアップ型EC」のインドGlobalBees、1.15億米ドルをシリーズB調達しユニコーンに(12月31日)
- インドを拠点とするロールアップ型 e コマース企業 GlobalBees は、Premji Invest がリードしたシリーズ B ラウンドで1億1,150万米ドルを調達した。このラウンドで GlobalBees の時価総額は11億米ドルに達し、ユニコーンクラブに仲間入りしたことを意味する。
音楽権利投資・買収のBeyond Musicが190億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(12月29日)
- 音楽権利専門投資会社 Beyond Music Company(비욘드뮤직컴퍼니)が2,000億ウォン(約190億円)以上を調達。音源著作権、隣接権への投資、買収、マネジメントを専門とする企業で、調達した資金で韓国内外で検証された音源 IP の確保を加速する計画。
ストックフォト大手がNFT的なプラットフォームをローンチなど——中国ブロックチェーン界週間振り返り(12月29日)
- ストックフォトとメディアエージェンシーの Visual China Group(VCG、視覚中国)は、「Yuan Shijue(元視覚)」というデジタル収蔵プラットフォームを立ち上げた。このプラットフォームはブロックチェーン技術を搭載し、非代替トークン(NFT)に似たデジタルアート作品を販売する。
アジアの総合格闘技興業ユニコーンOne Championship、リアリティショーやeスポーツにも進出(12月28日)
- アジアの総合格闘技(MMA)プロモーターで、スポーツメディアを所有する One Championship は、1億5,000万米ドルの資金調達ラウンドをクローズした。カタール投資庁と、Guggenheim Partners の資産管理・投資顧問子会社 Guggenheim Investments がこのラウンドを共同リードした。
「Axie Infinity」ユーザに奨学金提供「Cosmic Guild」、Binance(幣安)リードで150万米ドルをシード調達(12月27日)
- ゲーマーの Play-to-earn(P2E)コミュニティ「Cosmic Guild」は、 Binance の VC 兼 インキュベーション部門「Binance Labs(幣安実験室)」がリードしたシードラウンドで150万米ドルを調達した。共同投資家には、DeFiance Capital、Alameda Research、Play Ventures などがいる。
JD(京東)がNFT参入、Meituan(美団)の名を語る偽仮想通貨など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(12月22日)
- 中国の e コマースプラットフォーム大手 JD(京東)が、非代替トークン(NFT)のポータルを開設し、この分野で国内3番目のインターネット大手となった。Meituan(美団)が、同社ブランドを利用した仮想通貨プロジェクトの詐欺に反論。内モンゴル自治区が、仮想通貨マイニングの掃討を完了。北京の裁判所は、ビジネス上の紛争で仮想通貨マイニング契約を無効と判断した。
2021年の世界ユニコーンランキングが発表、ByteDance(字節跳動)が時価総額3,530億米ドルでトップに(12月22日)
- Hurun Research Institute(胡潤研究院)が20日に発表したユニコーンランキングリストによると、TikTok を所有するByteDance(字節跳動)は、市場評価額が3,530億米ドルに達し、世界最大のユニコーンであることがわかった。Alibaba(阿里巴巴)傘下の Ant Financial(螞蟻金融)と Cainiao(菜鳥)がそれぞれ2位と9位を占め、評価額はそれぞれ1,500億米ドルと340億米ドルだった。
貿易立国の日本に照準、ブロックチェーンでL/Cをデジタル化「Concuer」がTISらから資金調達(12月21日)
- シンガポールに拠点を置くデジタル貿易金融ネットワーク「Contour」は、日本の TIS インテック・グループが同社に出資したと発表した。この取引の他の詳細は未公表だ。しかし、DealStreetAsia のレポートによると、Citi Ventures やバンコク銀行を含む複数の地域および世界の貿易銀行もこのシリーズ A エクステンションラウンドに参加し、その金額は490万米ドルとされている。
デジタルアート収蔵サービス「Fantico」運営、Animoca Brandsから資金調達——インド向けメタバース構築へ(12月21日)
- プレミアムライセンスデジタルコレクタブルプラットフォーム「Fantico」は、香港に拠点を置くテックユニコーン Animoca Brands から非公開のラウンドで資金調達した。調達金額には明らかにされていない。このラウンドには、シンガポール銀行のテクノプレナー分野責任者兼市場責任者(南アジア・中東担当)の Hemant Tucker 氏などの個人も参加している。
シンガポールの女性向けソーシャルメディア「Eve World」、月経管理アプリ「Femcy」を買収(12月21日)
- シンガポールを拠点とする女性向けソーシャルプラットフォーム「Eve World」は、フェムテック企業 Femcy を買収したと発表した。買収金額は非公開となっている。Femcy は2019年にシンガポールで設立された月経トラッキングアプリ。ユーザの月経周期に合わせた栄養、運動、睡眠、心と体の健康などの健康改善にまつわるガイダンスを提供する。
東南アジアのeコマースイネイブラーaCommerce、タイ証取へのIPOを申請(12月20日)
- e コマースイネイブラーの aCommerce が、本国タイで新規株式公開(IPO)を申請したと、複数の報道機関が伝えている。同社は、タイ証券取引所(SET)のメインボードに株式を上場する予定で、最大で40%の株式を売却する予定だ。上場すれば、aCommerce はタイで株式公開する最初のテックスタートアップとなる。
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