物流テックのCBcloudが60億円をシリーズC調達、アプリで即配頼める個人向けサービスをローンチ

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Image credit: CBcloud

CBcloud は17日、シリーズ C ラウンドで約60億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加した投資家名は明らかになっていないが、国内外の機関投資家2社と事業会社1社とされる。調達額には国内金融機関からのデットファイナンスを含む。同社は2017年9月にシリーズ A ラウンドで3.4億円、2019年8月にシリーズ B ラウンドで約12億3,900万円をそれぞれ調達、2019年10月に調達額非開示のシリーズ B のエクステンションラウンドを実施しており、累計調達額は約80億円に達した。

Cbcloud は2013年10月の創業。2016年9月に開催された KDDI ∞ LABO のデモデイで、小口運送を改革する「軽 town」というサービスで最優秀賞を獲得。このサービスはその後、荷主と配送パートナーをマッチングする「PickGo」へと進化した。現在は、運送会社や宅配事業者向けの業務支援 SaaS「SmaRyu」なども提供する。PickGo の二輪車・軽貨物を配送する個人パートナーはあわせて4万人を超え、一般貨物の協力運行会社は1,000社を超えた。

2016年9月、KDDI ∞ LABO のデモデイでピッチする松本隆一氏
Image credit: Takeshi Hirano

個人パートナーの数は前回ラウンドを実施した2019年には1万人超程度だったことから、この2年ほどで3倍以上に増えたことになる。軽貨物分野で個人経営の配送事業者が多く加入する全国の軽自動車運送協同組合、いわゆる「赤帽」の組合員数は約8,000人、業界最大手の佐川急便が保有する車両台数は約27,000台というから(それぞれ、赤帽と佐川急便がホームページで公表している値による)、CBcloud の規模がいかに大きなものになったかがわかるだろう。

最近では、JAL カーゴサービスや ANA Cargo と連携した長距離輸送サービス、JR 東日本と連携した鉄道による手荷物配送サービス(CBcloud は2019年11月の「JR EAST STARTUP PROGRAM」の第3期デモデイで優勝しており、協業内容についてはこの記事に詳述されている)、SmaRyu ポストの全国の郵便局への導入など、物流や運送各社との協業も加速させている。創業者で代表取締役の松本隆一氏は、今回の調達が物流インフラとして広く世の中に認知してもらうべく、本格的にギアを入れていくためのものだと語った。

PickGo の強みはオンデマンド配送。以前は緊急的に必要となる現場で使われるようなイメージがあったが、今では配送のボラティリティが高い現場(配送需要の多忙期と閑散期の変動が激しい業種)で、自前だけではカバーしきれないところを補う輸送力として、恒常的なインフラとして捉えてもらっている。需要が急に増えてもクルマが出せる。だから、企業がサービスを作る際に、一緒にサービスを作り上げるインフラパートナーとして評価されるようになってきた。(松本氏)

例えば、CBcloud は今年6月、セブン‐イレブン・ジャパンと連携し、「セブン‐イレブンネットコンビニ」の商品を PickGo のパートナーが配送する業務を始めた。このネットコンビニは消費者がセブン‐イレブンのモバイルアプリを使って注文すると、物流大手セイノーホールディングス(東証:9076)が設立した専門会社 GENie のドライバが30分以内に家まで商品を届けてくれるサービスだ。注文が集中したタイミングには、時間内で届けられない可能性があるが、PickGo のドライバがこのボラティリティをカバーできるわけだ。

Image credit: CBcloud

CBcloud ではまた、PickGo のブランドカテゴリを再定義したことも明らかにした。個人向けの買い物/受け取り代行「PickGo ショッピング」、法人・個人向けの緊急・即日配送「PickGo エクスプレス」、法人向けに物流面からビジネスを支援する「PickGo エンタープライズ」、軽貨物・二輪パートナーと一般貨物運送会社をマッチングする「PickGo パートナー」だ。なお、個人向けの PickGo エクスプレスは今日から提供が開始され、全国のユーザはモバイルアプリを使って緊急・即日配送を依頼できるようになる。

Image credit: CBcloud

CBcloud には現在、業務委託なども含めると総勢150人程度の社員がいるが、同社では今回調達した資金を使って、今後1年間で100人以上を増やす考えだ。

CBcloud は物流テックにどっぷり入っている会社で、多くのビッグデータが集まる環境。インフラとして機能するためにさらにサービスを増やしていく必要があり、一緒にサービスを作る仲間を全方位的に募集していきたい。(執行役員 経営企画本部長 久保田弦氏)

来週23日には、松本氏や久保田氏、先月、執行役員に就任した小原健氏らも交えたオンライン採用イベントを開催するそうだ。

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