インドネシアのコーヒーチェーンスタートアップKopi Kenangan、105億円をシリーズC1調達しユニコーンに

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Photo Credit: Kopi Kenangan

Kopi Kenangan は、シリーズ C ラウンドのファーストクローズで1兆3,000億ルピア(約105億円)の資金調達を完了した。また、今回の調達とともに、評価額が10億米ドルを超える「ユニコーン」であることを発表した。Kopi Kenangan は、新規小売事業としては初のユニコーンとなる。

今回のラウンドは、Tybourne Capital Management がリードし、Horizons Ventures、Kunlun、B Capital などの既存投資家、そして新規投資家として Falcon Edge Capital が参加した。今回の資金調達により、同社はインドネシアの新たな都市での飲食店ブランドの展開に注力する予定だ。さらに、地域市場の開拓にも着手している。

Kopi Kenangan の共同創業者兼 CEO Edward Tirtanata 氏は、次のように述べている。

投資家の皆様からのご支援は、すべてのお客様に最高の体験を提供するために技術を活用し、店舗の生産性に注力し続けるための証明でありモチベーションとなっている … 我々は、東南アジアの数千店舗へのリーチを急速に拡大し、当社のポートフォリオを補完し、市場のニーズを満たす製品を提供していく。

我々の観測によると、Kopi Kenangan は投資家から総額2億4千万ドルを調達しており、その詳細は以下の通りだ。

年月 ステージ 調達額 投資家
2018年10月 シード 800万米ドル Alpha JWC Ventures
2019年6月 シリーズA 2,000万米ドル Sequoia Capital India, Alpha JWC Ventures
2019年12月 シリーズA+ 150万米ドル Arrive, Serena Ventures, Caris LeVert, Jonathan Neman, Sequoia Capital India
2020年5月 シリーズB 1億900万米ドル Sequoia Capital India, B Capital, Horizons Ventures, Verlinvest, Kunlun, Sofina, Alpha JWC Ventures
2021年12月 シリーズC 9,600万米ドル Tybourne Capital Management, Horizons Ventures, Kunlun, B Capital

これまでの旅路

Tirtanata 氏は2017年、James Prananto 氏(CBDO)、Cynthia Chaerunnisa 氏(CMO)と共に Kopi Kenangan を共同で設立した。彼らは、国際的なコーヒーチェーンで提供される高価なコーヒーと、屋台(ワルン)で販売される安価なインスタントコーヒーの間にある、インドネシア市場のギャップをターゲットにしている。

また、Kopi Kenangan は、テクノロジーを活用してユーザ体験を向上させるとともに、O2O(Online to Offline)戦略でビジネスの俊敏性を高めている。顧客はアプリを通じて簡単にコーヒーを注文でき、宅配やインドネシア国内の Kopi Kenangan 店舗での直接受け取りが可能だ。

このビジネスモデルにより、Kopi Kenangan は 急成長を遂げた。過去12カ月間で4.000万杯を提供しており、2022年第1四半期には月間550万杯の提供を目標としている。同社は現在、インドネシアの45都市にある600以上の店舗で、3,000人のスタッフをマネージメントしている。

新型コロナウイルスの感染拡大時、Kopi Kenangan は変化するビジネス環境と課題への適応力を証明した。非接触型予約システムなどの新しい戦略を導入することで、収益の拡大とユーザ数の増加を実現したからだ。

ローカルのコーヒーチェーン・ビジネス

テイクアウトをコンセプトとしたコーヒー製品は、地域からの好評を得て、この業界を賑わせている。DailySocial のデータによると、2021年11月現在、インドネシア全土に4,500を超えるコーヒーチェーンが分布している

その中には、最近資金調達を発表した Kopi Kenangan、Fore Coffee、JIWA Group など、デジタルプラットフォームを最適化し、ビジネスと顧客体験を向上させている事業者も出てきている。

調査(2020年、MIX による)によると、インドネシアではコーヒーを求める客の40%がテイクアウトに切り替え始めているそうだ。その理由は、消費者がより質の高い飲み物を求めてインスタントコーヒーから移行していること、スナックと組み合わせてコーヒーを飲むようになったことだ。

テイクアウトのコンセプトは店舗に大きく依存するが、中には生産拠点としてのみ利用されている店舗もある(店舗内飲食無し)。このため、Kopi Kenangan のようなスタートアップは、経営する上で非常に資産が重くのしかかり、ビジネスを大きく加速させるためには、大きな投資が必要となる。

アプリケーションは、消費者と店舗を結びつけ、オンラインからオフラインへ、あるいはその逆を行うように設計されている。このモデルは非常に効率的で、企業はアプリケーションに記録された消費者の習慣から得られるデータを活用することもできるため、市場シェアに応じた商品やサービスを提供することができる。また、消費者にとっても、利便性と付加価値により、積極的にアプリケーションを利用することができる。

順位(2021年11月) アプリダウンロード数 評価
6 Kopi Kenangan 100万回以上 4.6
13 Boba Ceria 10万回以上 4.3
17 Chatime Indonesia 50万回以上 4.5
21 JIWA+ 10万回以上 4.7
22 ISMAYA 10万回以上 4.4
24 Fore Coffee 10万回以上 4.6
61 Flash Coffee 5万回以上 4.6
92 KULO 1万回以上 1.7

Statista がまとめたレポートによると、ビジネスの観点では、今年のコーヒービジネス(ローストコーヒー)の売上は95億米ドルに達する見込みだ。2025年まで CAGR(年平均成長率)9.76%の成長が見込まれる。

【via DailySocial】 @DailySocial

【原文】

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