美容業界をShopify化する「Fresha」にみる、業界特化SaaSトレンド/GB Tech Trend

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5,250万ドルの調達を発表した「Fresha」(Image Credit:Fresha)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

美容業界にSaaSのトレンドがきています。コロナ禍の世界的な不安は取り除かれたことから徐々に需要は戻りつつある一方、予約システムなどオンラインで代替できる箇所にはSaaSの採用が進んでいるようです。

今回、美容業界版Shopifyを謳う「Fresha」が新たに5,250万ドルの調達を発表しました。同社は6月に1億ドルの調達を発表したばかりで、急速に投資家の注目を集めています。現在6万人の顧客を抱えているサブスクリプション・モデルのサービスです。

美容室などを営む個人事業主が、Freshaのサイト上に予約及び決済システムを構築して集客できる一連の機能を提供しています。今後はShopifyのような自社サイト独立式のSaaS構築を目指していくそうです。詳細は明かされていませんが、ウェブサイト・ビルダー機能を強化し、各々の事業者がFreshaが提供する美容事業向け機能を組み合わせることで手軽に予約サービスを展開できる「ビジネス・イン・ザ・ボックス」を実現させると予想されています。

Freshaの競合には11月に1,640万ドルの調達を行っている「GlossGenius」が挙げられます。同社のエンジェル投資家には、Shopify共同創業者兼CEOであるTobias Lütke氏、ToastのCEOであるChris Comparato氏、共同創業者であるAman Narang氏らが名を連ねています。

GlossGeniusもB2B向けのサロン予約・決済・分析プラットフォームです。サロン特化のカードリーダーも販売しており、美容室運営に必要な機能を一式用意している印象です。

ここまで紹介してきたサービスはいずれも2B向けの予約システムです。元々、美容市場の中でも2C領域では美容師と顧客のマッチングサービス、2B領域ではバックエンドを支援する予約管理系サービスが多く登場していました。ただ、C向けではネットワークを構築する必要があり、サービス確立するまで時間がかかります。そのため、急成長を目指すスタートアップにとって2B向け予約管理領域は相性がよいのです。

また、今年上場を果たしたレストラン店舗向けの決済プラットフォーム「Toast」の上場ニュースも後押しをしています。レストラン業界特化サービスが上場にまで漕ぎ付けられたことから、世界中の投資家が美容業界に同じような流れが起きるのでは、と見ているようです。

Freshaはサイトビルダーの方向性に、GlossGeniusはToastのような決済システムを提供する方向に成長戦略を取り始めています。市場感としてはどちらにも商機はありそうな印象ですが、調達額で一歩進んでいるのは今のところFreshaと言ったところでしょう。

今週(12月14日〜12月20日)の主要ニュース

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