サブスク動画配信サイトを自前で作れる「mish」が正式ローンチ——デライトV、ANRI、千葉道場らからシード調達も

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Image credit: Mish

自前で動画配信サイトを作るのは骨の折れる作業だ。MPEG4 や AVI 形式のファイルを配置しておくだけならまだしも、デスクトップやモバイル、ひいては、テレビで見られるようにするために、Amazon の Fire TV Stick、Google の Chromecast、Apple TV にも対応させるのは結構大変である。結局、多くの人は YouTube を使うことになる。コロナ禍でオンラインイベントが増えているが、結局、多くのオンラインイベントプラットフォームでも、コンテンツ配信には YouTube を埋め込んでいることが多い。

しかし、YouTube で動画配信する場合、不便なこともある。コンテンツを無料で不特定多数に配信するなら問題は無いのだが、会員管理や権限管理をすることができない。ニコニコミュニティを使うと言う手もあるが、動画配信だけやりたい人にコミュニティ運営は煩わしい。適したプラットフォームの不在が、YouTuber が広告料以外の収入を目当てに、自前で会費制の動画配信サイトを展開するのが難しい理由の一つと言ってもいいだろう。DaiGo 氏のような有名人は、自前の動画サイトをスクラッチ開発しているほどだ。

mish は15日、オリジナルの月額会員制動画サイトを作れるサービス「mish(ミッシュ)」をローンチした。サイトオーナーは初期費用・月額料金は無料で利用でき、売上に対してプラットフォーム手数料20%+決済手数料3.6%が適用される完全成功報酬型を採用し、導入ハードルを下げた。自前ブランドの NetFlix や Hulu を持てる感覚だ。Amazon や楽天に出店するのに代え、中小小売事業者が Shopify で自前のオンライン店舗を持つトレンドになぞらえ、「動画配信サイトの Shopify 化」と見ることもできる。

mish を開発するのは、DeNA のライブコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」に関わっていたメンバーなどだ。DeNA の社員の起業促進を念頭にしたデライト・ベンチャーズ(のちに、DeNA 外部の案件への投資やベンチャービルダー事業も開始している)の設立に携わった別府泰典氏が今年2月に起業した。mish では、独自ブランディングが可能で、顧客データがサイトオーナーのものになり、個別マーケティングが最適に行える環境づくりを目指す。

この種の独自配信サイトを構築すると、インフラ面での投資コストがネックにならないのか、と懸念してしまう。YouTube が Google に買収されたのは、動画コンテンツの増加とともに同社の利益を圧迫したインフラコストに理由があったのは有名な話だ。別府氏は、コストの多くを占めるインフラには、大きくは、コンテンツを保存するストレージ、ファイルフォーマットの変換機能、負荷分散のための CDN があると説明。mish では有償コンテンツが特定のユーザに閲覧されるため、大きな問題にはならないとした。

自前の動画配信サイトを作るためのサービスは海外でも需要が高い。Uscreen が成長を見せているほか、Vimeo は上場後に Vimeo OTT にピボットした。mish で動画配信されたコンテンツは、現時点で Web ブラウザ(デスクトップ、タブレット、モバイル、TV のブラウザアプリなどは問わない)でのみ閲覧可能だが、将来は、モバイルアプリやタブレットアプリのほか、Fire TV Stick、Chromecast、Apple TV のアプリへの対応なども前向きに検討する考えだ。

同社はまた、デライト・ベンチャーズ、ANRI、千葉道場ファンド、原田明典氏(DeNA 常務執行役員)、中島真氏(CAMPFIRE 取締役副社⻑)からシード資金を調達したことを明らかにした。調達金額は明らかにされていない。

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