CES 2022: AIが推進するスマートテックのイノベーション(前編)

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新型コロナウイルスの感染者急増に伴い、大企業が CES 2022 から撤退するという話はよく聞くが、この家電見本市は、ロボット、自動運転車、スマートガジェット、そしてそれらの発明家にとって、依然として重要な場所であり、実用的な機械知能を消費財に組み込むために何が必要かを見極める機会となっている。

VentureBeat が事前説明会で聞いたイノベーションの一部を紹介する。

  • 自動車内のデータ統合を改善し、コンピューティング能力を統合する取り組み(Sonatus)、自動車コンピューティングのための共通のオペレーティングシステムまたはフレームワークを確立する取り組み(Apex.ai)。
  • 最先端の AI を排除し、決定論的なプログラムと車両が動作する場所の現実的な制約を採用したソフトウェアを搭載した、既存の車両用の自動運転レトロフィットキット(Perrone Robotics)。
  • 空港内や路上で使用する食品・小売店向け配送ロボット(Ottonomy)。
  • 運転手が居眠りをしていたり、道路を見ていなかったりすると警告を発する、自動車やトラック用のスマートな運転席カメラ。産業車両向け(SmartWitness)、消費者向け安全装置(Xperi)、あるいは強化ダッシュカム(NextBase)のいずれかとして、ロードレイジ事件や警察の強引な路上停車を記録できることが付加価値となる。
  • 電力に制限のある小型デバイスでディープニューラルネットワーク AI モデルを実行するためのソフトウェアフレームワーク(Deeplite)。
  • 音声 AI の専門家であるFluent.aiKnowles Corp. のオーディオ技術の専門家とのパートナーシップによる、小型で低消費電力のデバイス向けの音声コマンドアプリケーション。
  • 視覚障害者のためのコンパクトなデバイスに組み込まれたコンピュータビジョンは、一目で全ページのテキストを読み、そこから意味を抽出することができる。また、パーティーでリスナーが話している相手の唇を読むなどして、どの音を増幅すべきかを視覚的に判断する補聴器(OrCam)などもある。

OrCam と Sonatus は、ラスベガスへの出張や CES での製品発表を予定していない企業のひとつであり、VentureBeat が事前に取材した他のベンダーも、このイベントに参加しない可能性があるという。Microsoft、Google、Intel、Amazon、T-Mobile などの大企業がここ数週間で撤退している。拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、そしてメタバースは、Meta(旧 Facebook)抜きで進めなければならない話題だろう。自動車技術はこのイベントの大きなテーマだが、General Motors、BMW、Mercedes-Benz はドライブしないことを決めた(GM のオールデジタルプレゼンスでは、5日に CEO のMary Barra 氏によるビデオ基調講演が行われることになっている)。一方、Perrone Robotics のように、すでに車両を出荷し、テストコースを設置した企業もあり、彼らのコミットメントがうかがえる。

それでも、このイベントを主催する Consumer Technology Association(CTA、全米家電協会)は、ショーは続けなければならないと判断したのだ。大企業のドラマにもかかわらず、CES での展示とネットワーキングは、「展示の構築に投資を行い、ビジネス、インスピレーション、そして未来を CES に託している何千もの中小企業、起業家、革新者」にとっての機会であり続ける、と CTA の CEO Gary Shapiro 氏は Las Vegas Review-Journal の論説に寄稿している。

AI の進歩を促進する

CES の出展者たちは、VentureBeat にセクシャルウェルネス製品などあらゆるものを売りんだが、VentureBeat は読者が学べるデータと AI の用途に関連する説明を求めた。特に、コンシューマ機器メーカーは、ソフトウェアやデータの更新をクラウドに依存することなく、スマートデバイスの賢さを機器自体に常駐させて活用したいと考える傾向にある。そのため、エッジコンピューティングのパイオニアとして研究する価値がある。

エンタープライズテクノロジーはコンシューマーテクノロジーの世界から学ばなければならないかもしれないが、その逆もまた真なりである。例えば、Sonatus の CEO 兼創業者の Jeffrey Chou 氏は、自動車のコンピュータシステムを改善する方法の1つは、企業のデータセンターのモデルから学ぶことであると述べている。つまり、多くの小さなコンピュータ(自動車用語では ECU)上で動作するサイロ化したソフトウェアを単純化し、Sonatus が提供するミドルウェアで結びつける必要があるのだ。この連携は、自動車の安全システムのリアルタイム性能を維持し、自動車のサイバーセキュリティなどの新しい懸念に対処しながら行う必要がある。

短期的な解決策はない。長期的な解決策は、ソフトウェアを正しく運用することだ。(Chou 氏)

Apex.ai は、自動運転やその他のスマートビークル技術のためのソフトウェア基盤の改善について、やや似たような話をしている。同社の場合、オープンソースの Robotics Operating System(ROS、プログラミングフレームワークと考えられている)の一連の拡張と最適化が行われた。

自動車業界で ROS をプロトタイピングに使わない会社はない。当社の製品は、成功したプロトタイプを製品化するのに役立っている。(CEO の Jan Becker 氏)

Becker 氏によれば、自動車用プロセッサの統合は、より洗練されたソフトウェアへの道を開くものであるとのことだ。

現在見られる傾向として、Tesla が2年前に導入し、他のすべての企業が今後3年のうちに導入することが予想される、より強力な中央コンピュータが、ドライバーシステム用のインフォテインメントやゲートウェイ、さらには ESP やアンチロックブレーキなどの車両安全機能用にも搭載されるかもしれない。(Becker 氏)

一方、Becker 氏は、自動運転車の愛好家たちが、ロボットタクシーが街を走り回る日が近いと予言し始めてから、もう何年も経っていると指摘する。

実は、この問題は本当に難しいんだ。この2、3年で、我々の業界は、どのアプリケーションが商業的に合理的であるかをよりよく理解するようになった。(Becker 氏)

例えば、どこにでも行けることが必要な乗用車において、完全な自動運転が利用可能になり、価格も手頃になるずっと前に、よく知られた有益なルートをナビゲートする商用車では実用化される可能性があるのだ。

Perrone Robotics は、そのアプローチを貨物ヤードをナビゲートしたり、都市部やキャンパスのバス路線を循環する自動運転の商用車に適用している。Perrone は、GreenPower Motor などの電気自動車メーカーと提携しているが、従来の自動車のペダル、トランスミッション、ハンドルに取り付けて、既知のルートを低速で自動運転させるための後付けキットも販売している。

自動運転への道のりは非常に長い。私の関心は、今何ができるかを考えることだ。(Perrone Robotics の CEO Paul Perrone 氏)

実際、彼は逆張りで、最先端の AI アプリケーションを追いかけるよりも、「決定論的ソフトウェア」に傾倒しているのだそうで、そのロジックは自動車の運転に安全であると証明することが容易なのだそうだ。

目的地に着くまで、確率的な学習システムで訓練することはできない。(Perrone 氏)

一方、 Ottobot は、LiDAR 距離計などの自動車のイノベーションを生かして、配送ロボットに採用しており、2020年12月からクリーブランド国際空港のコンコースをナビゲートしている。また、Ottobot は最近、レストランテック企業 Presto と提携し、より少ない労働力で注文した料理のカウンターや駐車場へのデリバリを行うことを発表している。

Ottobot は、自動運転車の技術を活用する一方で、自動車と同様に GPS ナビゲーションに依存しているため、他の多くの配達ボットができない場所に行くことができるように、他の方向でもイノベーションを起こした。例えば、空港で働くために、Ottobot は間取り図のソフトウェア・シミュレーションを作成する。

デジタルツインを作成し、その中でナビゲートするんだ。(Ottobot CEO の Ritukar Vijay 氏)

人ごみの中を進んだり、ガラスの障壁を見たりするためには、センサーの配置も変える必要がある。

後編に続く)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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