ジェネシア・ベンチャーズ、150億円規模を目指す3号ファンドを組成——ESG投資促進に向けPRIに署名

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ジェネシア・ベンチャーズのパートナーの皆さん。左から、鈴木隆宏氏、河合将文氏、田島聡一氏。
Image credit: Genesia Ventures

シード・アーリー向け VC のジェネシア・ベンチャーズは、3号ファンドを組成したことを明らかにした。ファーストクローズで既に100億円の資金がコミットされており、最終的には150億円規模を目指す。3号ファンドは、ジェネシア・ベンチャーズにとって、40億円規模の1号ファンド(2017年8月ファーストクローズ発表2017年12月最終クローズ)、80億円規模の2号ファンド(2018年12月ファーストクローズ、2020年10月最終クローズ)に続くものだ。

3号ファンドの LP(投資家)の多くは、これまでの1号や2号ファンドに出資してきた LP が占めているが、新たに産業革新投資機構(JIC)が出資参加した。また、ジェネシア・ベンチャーズには、昨年9月から元 DBJ キャピタルの河合将文氏が参画し、パートナー兼 ESG オフィサーを務めているが、同ファンドではいわゆる ESG 投資の促進に向け、国連責任投資原則(PRI)に署名したことも明らかした。国内 VC ではこれまでに、ブラッククローキャピタル、ユニバーサルマテリアルズインキュベーター、エー・アイ・キャピタルなどが PRI に署名している。

ファンド の LP(1号、2号、3号)
Image credit: Genesia Ventures

ジェネシア・ベンチャーズのこれまでの投資実績を見てみると、1号ファンドからは47社、2号ファンドからは58社に投資を実行。うち、3社についてはイグジット果たしている(2020年4月に DMM.com が買収した「終活ねっと」と、M&A された非開示の2社)。2018年12月に鈴木隆宏氏が参画したことを契機に、2号ファンド以降に東南アジア向けの出資も増えている。地域別の出資数を見てみると(イグジット分)、国内78社に対し、アメリカ3社、ケニア2社、インドネシア14社、ベトナム7社となっており、4分の1程度を海外案件が占めている。

ジェネシア・ベンチャーズの投資領域は、3号ファンドについても従来ファンドのそれを維持し、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、ニューエコノミー、メディア・エンターテインメント、フロンティアテックを中心に出資していく。なかでも DX に関しては、BRIDGE にも転載させていただいているが、ジェネシア・ベンチャーズでは有望なビジネスモデルの発掘に際し、「DX の型」という概念を提起している。今後、日本や東南アジアなど、経済特性的に相互に補完関係にある複数の市場で投資活動の多様化を図り、シード出資したスタートアップへのフォローオン出資などにも力を入れる。

ジェネシア・ベンチャーズの皆さん。
Image credit: Genesia Ventures

3号ファンドの最終目標規模は150億円で、ジェネシア・ベンチャーズからは60社程度への出資を計画している。単純に割り算すると、チケットサイズの平均値は2.5億円ということなるが、ポテンシャルの高いスタートアップに対しては、最大で5億円程度となる出資も見込んでおり、シードラウンドやプレシリーズ A ラウンドで積極的にリードインベスターのポジションを取る考えだ。また、ジェネシア・ベンチャーズの出資先の一つ ACALL は、スマートオフィスプラットフォーム「WorkstyleOS」を国内に加えシンガポールでも展開しているが、同様に Day 1 からのグローバルチャレンジするスタートアップも積極的に支援していきたい、としている。

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