新しいパラダイム、歴史に学ぶ

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2022年が始まりました。読者のみなさま明けましておめでとうございます。ここ数年は感染症拡大の影響が大きく、テクノロジーやスタートアップの話題も変化の激しい時期だったと思います。

ここに一枚のグラフがあります。とある方がソーシャル上で共有していた話題で、示唆に溢れた指摘だったので私たちが1月19日から開催するBRIDGE Tokyoのいくつかのセッションでもヒントにさせていただいて(お知らせ:無料チケット配布中)います。

示しているのはある人口です。ひとつはインターネット人口、もうひとつはイーサリアムのホルダー数です。ネットの人口数は1990年頃を境にティム・バーナーズ・リー氏らが提唱したワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の普及に伴って徐々に角度が上がっていき、2007年のiPhoneの登場からモバイル・インターネットの爆発的な普及で拍車がかかり、2020年には45億人の人類が何らかの方法でインターネットに繋がっている状況になっています。

一方のイーサリアムですが、ブロックチェーン上でのスマートコントラクトを実装し、プログラムによる契約行為の自動化を大きく推進した代表的なチェーンです。ビットコインに比較してアプリケーション的な要素が強く、現在話題になっているNFT(Non Fungible Token:代替不可トークン/イーサリアムERC721)などの用途を生み出しています。

1点ものの手塚治虫作品NFTは5300万円で落札された

このホルダー数が現在1.8億人ほどになっており、この数字をインターネット史に重ねるとちょうど、Windows98が出た頃になるようです。

ーーWindows98。1995年に発売され、社会現象にまでなったWindows95の後継バージョンです。これらのOSが出た時の熱狂を労働現役世代として覚えている層は、40代後半以上の方だと思います。それまでのMS-DOS/Windows3.1に比較してグラフィカルになったGUIは直感的な操作を可能にし、パソコンを一気にマス層に広げることに成功します。ちなみにAppleはスティーブ・ジョブズ氏が復帰した頃(1996年にNeXTをAppleに売却して暫定CEOに就任)で、ここから現在に続く「Mac」ブランドが立ち上がり、iPhoneという発明に繋がっていくターニングポイントとも言える年でした。

もし、この頃のMicrosoft、Appleの株式を買っていたらどうなっているでしょうか?

Microsoftの株価(分割等の調整済み)チャートがこちらです。1998年12月の株価が約22ドルで、2021年12月の株価が約340ドルです。一方のAppleは1998年12月が0.3ドルで、2021年12月が約174ドルです。Microsoftが15倍、Appleに至っては580倍です。伝説のiMac(ボンダイブルー)が発売された年で、Appleの復活劇はここから始まりました(ちなみにiPhoneが出た2007年には6ドルほどに上昇)。

同じようなことがおそらく、今、ブロックチェーンをインフラとする新しいパラダイムの中で起ころうとしているのかもしれません。時折、ICOの時もそうですし、NFTについても「怪しい」と訝る向きがいるようなのですが、そもそも新しいことが起こるタイミングというのは山っぽい人たちが集まるものなのです。

起業本の帯に自己破産や暴力団の文字が躍る2000年

日本のベンチャー投資を記した書物で個人的に好きな一冊に「荒海に独り行く(東洋経済新報社)」があります。野村證券から日本合同ファイナンス(現在のJAFCO)の初代社長として国内ベンチャー投資の先駆けとなった今原禎治さんの著書(絶版)で、1980年代昭和バブル絶頂期の荒々しいベンチャー投資創世記が記された歴史書です。

これぞ昭和、という記述に溢れているのですが、例えば「伸びる企業家(※)に向く資質と性格」ではこのように記しています。

第一に、ベンチャービジネスの社長はめちゃめちゃ「強い体力」がなければいけない。強い意志がなければつとまらない。体力の弱い者は社長にはなれない。強い意志がなければいけない。二番目、「過剰なぐらいの自信」(中略)三番目、「持続する能力」(中略)四番目「問題解決意欲」(中略)五番目・・・・

この後、10項目ぐらい続いているのですが、とにかく根性論が前に出ているのはさすが昭和。現在で起業家への資質を聞いてこれを真っ先に出すメンターはいないかもしれません(ある意味真実ではあるのですが)。

2000年に出版された「ネット起業!あのバカにやらせてみよう(岡本呻也著・文藝春秋社)」やビットバレーの鼓動(荒井久著・日経BP企画)の2冊(これらも絶版)はもし手に取る機会があれば特に若い20代の起業家の方々にご一読いただきたい逸品です。現在のスマートで綺麗な起業とは地球一周分ぐらいかけ離れたネットバブルの破天荒ぶりが描かれています。ちなみにベンチャーキャピタルの「ANOBAKA」はあのバカにやらせてみよう、から生まれた名称だったと思います。

それ以外にも東証マザーズに上場した1号案件がどうなったか、など(興味ある方はネットで調べてみてください)2010年までのスマホシフト前夜、そしてこの10年のスタートアップ・ブーム(2010年にOpen Network Labが日本版のY Combinator、アクセラレーションブログラム方式を初めて開催)という流れに繋がっていくわけです。

そして2020年。まさかの感染症拡大という未曾有の事態を経験し、2年目となる今年はいよいよ長いトンネルから抜け出そうというところまでやってきました。

Web3やNFTなどのトレンドをバズワードと揶揄する人もいるかもしれませんが、こうして振り返ってみると、ベンチャー・スタートアップの始まりというのはいつの時代も子供のような目をした大人たちが集まって花火が上がるものなのかもしれません。時代が進むにつれ、CPU性能もエコシステムも全てのバージョンが上がっています。その中で無邪気にいい意味で空気を読まず、暴れ回る起業家にまた出会えることを期待したいと思います。

最後にお知らせ:年明け1月19日から開催するBRIDG TokyoではNFTのユースケースとして最右翼、GameFiの話題など多くのメタバース・NFTの話題をお送りします。現在無料の視聴チケットを配布しておりますので、お早めにゲットしてください。

※誤字ではなく今原さんは彼らのことをこう記していました

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