東南アジアのフリマアプリ「Carousell」、不動産情報サイト「99.co」運営を1.5億米ドルで買収か

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オンラインクラシファイド大手 Carousell が、シンガポールのプロップテック企業 99 Group を現金と株式の取引で1億5,000万米ドルで買収する方向で交渉していると、この件に詳しい2人の関係者が Tech in Asia に語った。

Image crerdit: Carousell / 99.co

この買収は、Carousell白紙委任会社(特別目的買収会社)L Catterton Asia Acquisition Corp と合併し、アメリカに上場する計画の中で行われたものだ。合併後の企業価値は、15億米ドルになると報じられている。

The Business Timesは、 Carousell が 99 Group を買収するために交渉中であると最初に報じた。

Carousell は、早ければ現在の四半期中にも SPAC 合併により上場する可能性がある。一方、白紙委任会社は今後数週間にわたり、Carousell に対するデューデリジェンスを実施する予定だ。

99 Group は、この件に関するコメントを拒否している。一方、 Carousell は Tech in Asia に対し、永続的なマーケットプレイスを構築するために、あらゆる選択肢と機会を常に検討していると述べている。

Carousell と 99 Group には、Sequoia Capital India、500 Durians、Golden Gate Ventures、500 Global など、共通の投資家が多数存在する。99 Group の CEO Darius Cheung 氏も Carousell を支援しており、その他にも楽天ベンチャーズやモバイルメッセンジャーサービス「LINE』を所有する Naver といった大口投資家がいる。

Carousellと99の相性

Image credit: 99.co

今回の買収により、Carousell はシンガポールとインドネシアで展開する 99.co の不動産検索プラットフォームにアクセスすることができるようになる。99.co は、データサービスプロバイダの Singapore Real Estate Exchange と Rumah123 も買収している

また、Carousell は、シンガポールに独自の不動産リスティング部門を持っている

VentureCap Insights のデータによると、2020年初頭、Carousell の最終的な時価総額は10億6,000万米ドルで、99 Group の時価総額は8,360万米ドルだった。今回の取引が成立すれば、99 Group の時価総額額はこの数字を大きく上回ることになる。

この動きは、自動車や高級品といった高額商品を扱うカテゴリーを、一連の買収を通じて開拓しようとするCarousellの最近の取り組みの一環と思われる。Carousellはこれまで、Ox Street、Caarly、OneShift、OLX Philippines、701Searchといった企業を買収している。

Carousell Group の広告部門 Carousell Media Group も、Google と Facebook のこの分野での支配に対抗するため、独自の広告サービスプラットフォームを立ち上げた。

99 Group はシンガポールで大きな成長を遂げているが、東南アジア全域への拡大も視野に入れている。2020年、99 Group はシンガポールでの月間ユーザ数も1,980万人に倍増し、コロナ禍の挫折にもかかわらず、62%の収益急増を記録した。

Image credit: Carousell

今回の売却の可能性は、プロテック企業が昨年参入したマレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムといった市場での拡大計画に弾みをつけるのに役立つだろう。

99 Group は、Carousell がクラシファイド広告モデルから取引プラットフォームへと移行し、不動産業者と住宅所有者のマッチングだけでなく、不動産の売買においてより積極的な役割を果たそうとしていることから、Carousell にとっても良い賭けとなる可能性がある。

同社は以前、Tech in Asia の取材に対し、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティによる資金調達が必要な成長を目指していると語っていた。Carousell との取引で得た資金は、こうした計画を進めるのに役立つだろう。

また、99 Group は、同じ5つの市場で事業を展開し、Bridgetown 2 Holdings との SPAC 合併により6月に株式公開を予定している競合 PropertyGuru との競争を有利に進めることができる。

2020年、PropertyGuru の売上と時価総額は久しぶりに減少した。VentureCap Insights のデータによると、2020年に行われたシリーズ E と F ラウンドの間に、その時価総額は7億2,300万米ドルから6億9,200万米ドルに落ち込んだ。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

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