脱Amazon、大手企業向けShopifyとして活躍する「Scalefast」/GB Tech Trend

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

Shopifyは、ECサイトビルダーとしてフロントからストア管理システムまで、一貫したサービスを提供しています。ただし、主な利用対象は個人や中小企業で、大手企業はAmazonのような大量の受発注を処理できるシステムを外部に依存している状況があります。

一方、この方法ではプラットフォーム側(Amazon)にデータを抜き取られてしまう問題が発生してしまいます。販売手数料を支払う上に、出品者には顧客データが限定的なものしか共有されません。かといって、自社で巨大なECサイトを構築すれば、運用コストなどリスクのバランスが悪くなるケースも出てきます。

Shopifyより強力でスケール感のあるECサイトを組みたいが、Amazonには依存したくない。自社ブランドサイトとして確立させたいというジレンマに応えたのが、EC向けクラウドインフラを提供する「Scalefast」です。

Scalefastはリリースと同時に大量の注文が舞い込んでくるゲームソフト大手向けにECサイトソリューションを提供(現在はゲーム業界以外にもサービス拡大)しているスタートアップです。大企業ECサイトのバックエンドシステムを卸しています。

すでにECサイトを持っているがインフラ側が全く追いついていない大企業を対象に、クラウドシステムを提供しており、各種API連携やメンテナンス、ホスティング、モニタリングなど、Amazonが持っている受発注システム並にリアルタイムに大量に注文をさばける、ECに特化したクラウドインフラを構築しているのです。

Shopifyの一秒間の注文最大数は133件だそうです。一方のScalefastは175件まで対応でき、顧客獲得を逃さないと謳っています。また、ページ表示スピードもebayやNike自社サイト、Amazonよりも高く、ほぼGoogleに匹敵するとし、エンタープライズ向けECインフラの需要に応えようとしています。

コロナ禍によってEC市場は急成長中です。思い立って表側のECサービスを独自に作ることができても、突然の大量同時注文を処理しきれない、そんなインフラ側のトラブルが今後予想されます。

商材が限定されるほど、企業がECサイト運営に対して抱える悩みはAmazonのような大手プラットフォームでは解消しきれない場合があるでしょう。ニッチである一方、大企業向けに巨大なインフラを卸す「Back-end EC」としての市場ポジション確立を目指すスタートアップが国内に出てきても不思議ではありません。

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