妊産婦死亡率低下に向けAIとデータでアプローチする米Delfina、シードラウンドで530万米ドルを調達

Image credit: Delfina

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重要なポイント:妊産婦ケアのための AI データプラットフォームを提供する Delfina は9日、Story Venturesが主導する530万米ドルのシードラウンドでの資金調達を発表した。

  • このラウンドには、SemperVirens VC、Bread & Butter Ventures、Goodwater Capital、MIT E14 Fund、Metrodora VC、SpringTime Venturesのほか、元 Reddit CEOのEllen Pao 氏や元 Facebook VR 部長の Hugo Barra 氏などのエンジェル投資家が参加した。同社はこれまでに合計645万米ドルを調達している。

詳細:アメリカ・サンフランシスコ発の Delfina は、AI と機械学習技術による包括的なデータプラットフォーム「Delfina Care」によって、妊産婦死亡率を減らすことを目指す。同社のプラットフォームでは独自のアルゴリズムを用いて妊娠リスクを予測したうえで、患者のデータを管理し、パーソナライズされたケアを提供する。

  • 同社設立のきっかけは、創設者兼 CEO の Senan Ebrahim 博士が病院で死産を目撃したことだったという。設立直後に CTO として元 Google テックリーダーの Ali Ebrahim博士、CPO(最高製品責任者)として長年医療技術リーダーを務めてきた Priyanka Vaidya 氏が参画した。
  • Ebrahim 博士は、今回の資金調達に際し次のようにコメントしている。

妊婦の治療におけるデータはかなり断片的にしか集まっておらず、過去数十年間にわたってデータの活用法も限定的でした。私は神経科学の博士課程で予測モデルを作成した経験から、データを新しい方法で活用することで妊産婦ケアを改善できることを信じています。妊産婦のデータを統合し、積極的に分析する私たちのアプローチにより、お母さんと赤ちゃんの健康状態改善の進歩が見られるでしょう。

  • 今回調達した資金は、同社プラットフォームを導入する産婦人科病院 A&A Women’s Health での臨床試験と、引き続き導入拡大を継続するために使用される予定。また今後同社のプラットフォームには、ウェアラブル端末からのデータも追加され、妊産婦向けの予防医療をより良いものに改善していく計画だ。

背景:アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が発表したデータによると、2020年の妊産婦死亡率は10万人出生あたり23.8人と、2019年の20.1人に対して上昇を続けている。また黒人女性の妊産婦死亡率は白人女性に比べ2.9倍高く、人種間での健康格差も依然として顕著であることが明らかとなっている。

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執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:池田 将

via Femtech Insider

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