カジュアル面談プラットフォーム「Meety」、1.9億円を調達——スタートアップ的採用アプローチは、大企業にも波及の様相

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Meety の経営メンバーと、今回ラウンドに参加した投資家の皆さん。中央が CEO 中村拓哉氏。
Image credit: Meety

カジュアル面談プラットフォーム「Meety」を運営する Meety は2日、直近のラウンドで1.9億円を調達したことを明らかにした。プレシリーズ A ラウンド相当とみられる。このラウンドは HIRAC FUND がリードし、ANOBAKA と XTech Ventures が参加した。XTech Ventures は2019年11月のシードラウンドに続くフォローオン。同社はこれまで Meety 無料サービスとして提供してきたが、年内にも新機能を実装し、有料プランを発表する予定としている。

Meety は2019年5月、以前 Speee で人事採用などを担当していた中村拓哉氏(現 CEO)らにより設立。当初は企業の人材採用に特化したミートアップ掲載プラットフォームとしてローンチしたたが、2020年10月、カジュアル面談プラットフォームへとピボットした。コロナ禍で直接対面でのミートアップが抑制される中で余儀なくされたピボットだったが、売り手市場の人材採用の分野で、このカジュアルさがウケて成長を続けている。

採用においても、企業はコマースの自前化(モールに頼らず、インスタント EC プラットフォームなどを使った、自前ショップを集客・運営)に近い状況になってきたかもしれない。媒体の力に頼らず、自分の力を最大限に発揮することで人を集め始めた。そんなニーズに、Meety がうまくフィットして利用してもらえている。(中村氏)

Image credit: Meety

ペライチのような、あるいは、シャットダウンはしてしまったが bosyu.me のような、シンプルな紹介ページが企業にも、潜在的な採用対象となる候補者にも受け入れられた。Meety のユーザでもある LayerX で人事を担当する石黒卓弥氏は、2021年の採用経路についてツイッターに投稿している。それによれば、社員らによるリファラル採用や自社 Web サイトを除いて、プラットフォーム経由で入社してきた社員の流入チャネルのトップが Meety だった。

LayerXUbie が Meety 上に投稿しているコンテンツを見ると、事業の裏側を垣間見せてくれ、カジュアル面談ができる「ウラ側へ突撃」シリーズ、通称「#ウラ凸」が人気を集めているだ。カジュアル面談をとことんカジュアルにするため、求人・求職だけにフォーカスしない話題の場を提供する工夫が功を奏した形だ。中村氏によれば、面談に入ってきた人に、いきなり「志望動機はなんですか?」と聞くような〝変な面談〟は決してやらないよう、企業側にはプラットフォームのサービス規約で縛りを入れているという。

今はまだ無料サービス(今風に言えば、PLG=Product-led Growth )ということを考えれば、Meety はある意味まだ Product Market Fit(PMF)の途中だし、エンタープライズが使うにはまだ少し早いかもしれないのだが、このフェーズには珍しく、エンタープライズユーザ、特に、大企業のオープンイノベーションやインターネットビジネスの出島部門などが積極的に使い始めているようだ。エンタープライズがスタートアップ的な人材採用のアプローチを追随するという、興味深いトレンドとして注目したい。

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