表情をリアルタイムスキャン、顔を置き換えられる「xpression camera」が正式ローンチ——1.5億円の調達も

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「xpression camera」
Image credit: EmbodyMe

東京を拠点とする EmbodyMe は、リアルタイムに顔の動きをスキャンし、顔を置き換えられる「xpression camera」を正式リリースした。2020年9月にリリースしていたバージョンのコンセプトをそのままに、正式版では大幅な機能改善と機能追加を施した。

主な機能改善や機能追加は次の通りだ。

  • コアエンジンが入れ替えられ、リアルタイムのレンダリングがスムーズになった。
  • 元になる顔イメージを取り込んでからの前処理がいらなくなった(ダウンロードするやいなや利用できる)。
  • バーチャルバックグラウンドが設定できるようになった。

xpression camera では、Teams、Zoom、Skype など数あるテレカンツールと連携し、xpression camera をバーチャルカメラとして認識させることで、自分の代わりの誰か、あるいは、今の自分とは違う自分に成り代わって、対話相手と話をすることが可能だ。アプリの複数常駐やバーチャルカメラを実装できない技術的な制約から、xpression camera はモバイルアプリ版は提供されないが、Windows と Mac の両方で利用が可能だ。

正式版のローンチに伴い、有料メニュー(Pro)も提供される。無料メニュー(Free)では、xpression camera の利用開始から7日後には機能が制限される。制限される機能としては、変化させる先のを顔やバーチャルバックグラウンドを自由に選べなくなる(予め xpression camera にプリセットされているもののみ選択可)、録画機能が利用できなくなるなど。有料版の料金は月額8米ドル、または年額84米ドルで、クレジットカードで支払が可能だ。

EmbodyMe は2016年6月、ヤフー出身で、いわゆる〝未踏クリエータ〟の吉田一星氏により創業(当初の社名は Paneo)。今まで VR や 3D に関連するサービスを複数ローンチしてきたが、有料サービスのローンチは今回が初めてだ。これまでは市場ニーズや技術開発の探求に注力してきた同社だが、それが今回ようやく〝売れる商品〟として日の目を見る形になった。コロナ禍も影響し、xpression camera は〝遊び〟の利用以外に、エンタープライズ領域での採用も積極的に考えられるようになったという。

コロナ禍でテレカンが増え、ユーザは常に自分のセルフビューをスクリーンで見続けるようになった。これは自意識過剰を招くし、小さな画面を凝視しながらテレカンを続けるのはしんどい。(中略)

対面に比べると感情を伝えにくいシーンで、xpression camera のような技術を使うことで、より円滑なコミュニケーションを促せるかもしれない。(中略)

また、動画制作への活用も考えられる。モデルを使わなくても、誰かの顔をはめることで VTuber のような使い方もできるので、新しい映像表現の可能性が期待できる。(吉田氏)

EmbodyMe では、xpression camera のエンタープライズのユースケースを検証すべく、協業する企業の募集を開始する。

EmbodyMe では数ヶ月以内をめどに、xpression camera 上で自分の表情を自由に変えられる機能も追加する計画だ。また、何より面白いのは、もはやカメラを設置しなくても自分の表情を相手に届けられるようにするという構想。例えば、ジョギング中などカメラが近くに設置できない状況でも(現状、xpression camera はモバイルで使えないが)、発声された音声から顔の表情をリアルタイムレンダリングし、通話相手に対面で話しているかのような表情を届ける機能を検討している。フェイク動画対策として、電子透かしの導入なども予定している。

なお、今回の xpression camera の正式ローンチと合わせ、EmbodyMe は昨年、新たな資金調達を実施していたことを明らかにした。ラウンドは不明だが、この1.5億円の調達には、FreakOut Shinsei Fund、DEEPCORE、キャナルベンチャーズ、山口キャピタルが参加した。EmbodyMe にとっては2019年3月に実施した約2.3億円の調達に続くものだ。DEEPCORE は今回、フォローオンでの参加となる。今回の調達を受けて、EmbodyMe の累計調達額は明らかになっている範囲で5億円程度となった。

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