アクセルスペース、汎用バス+カスタマイズで小型衛星の量産体制確立へ——ミスミや由紀HDらとアライアンスも

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「AxelLiner」を紹介する アクセルスペース CEO の中村友哉氏
Image credit: Masaru Ikeda

小型衛星を開発するアクセルスペースは26日、衛星開発の量産化を実現し、ユーザの運用を包括支援するサービス「AxelLiner」をローンチすると発表した。アクセルスペースはこれまで、フルスクラッチでの衛星受託製造、自社衛星を使って複数のユーザ企業にデータを提供する「AxelGlobe」などを提供してきた。衛星の性能向上により小型衛星の需要が増えたこと、コンステレーション(複数基による衛星群)を前提としたミッションが増えたことから、衛星製造の量産体制の確立を決めたという。

アクセルスペースでは、中分解能衛星、高分解能衛星、合成開口レーダー(SAR) 衛星、複数機器実証衛星など、基本的な衛星の枠組みに合わせて汎用バスを開発。顧客のニーズや求めるデータなどに合わせ、最小限のカスタマイズにより、納期短縮やコスト削減を実現する。具体的には、ユーザから衛星を受注し、その衛星を開発し軌道に上げるまでに要する期間について最短で1年未満を目指す。AxelLiner の実現にあたり、輸送、調達、製造、データ連携基盤において、それぞれを専門とする企業とも連携する。

Image credit: Masaru Ikeda

衛星の輸送では、特殊輸送を得意とするキャリムエンジニアリング、製造では精密機器を得意とする由紀ホールディングス、調達ではオンデマンド部品製造サービス「meviy(メビー)」を運営するミスミグループ(東証:9962)が連携する。衛星製造に必要な設計工程のみならず、物理的なハードウェア製造や調達も効率化・デジタル化を図ることで迅速な衛星開発を実現する。また、AxelLiner には「Green Spacecraft」というコンセプトを導入、製造・軌道上運用・廃棄までの衛星ライフサイクル全体のサステナビリティも向上させる。

創業から13年目を迎えるアクセルスペースは現在130人体制。AxelLiner のミッション実現チームを増強する観点から、2021年12月から2022年5月までには、これまでで最も多いペースとなる20人超を採用する見込みだ。衛星を受注ベースでフルスクラッチ開発するのではなく、汎用バスとミッションを実現するカスタマイズの組み合わせた開発に移行することで、よりスケーラブルなビジネスの進展が可能になるという。同社の累計調達額は公開分だけで約70億円以上で、これまでに9基の超小型・小型衛星を打ち上げ・運用している。

宇宙機製造アライアンスメンバーを紹介するアクセルスペース CTO の宮下直己氏
Image credit: Masaru Ikeda

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