スタートアップとVCをつなぐSNSが登場、請求書受領サービスはどこまで進化できるか?【Canvas 4月号(4月16日〜4月22日)】

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スタートアップとVCをつなぐSNSが登場、請求書受領サービスはどこまで進化できるか?

今週の話題(4月16日〜4月22日):スタートアップとキーパーソンをつなぐSNS「STORIUM」公開、トップティアVC中心に200社集う経費精算サービスなどのBearTailがTOKIUMにリブランド、請求書受領・処理サービス強化へ——35億円の調達も

起業家と投資家を繋ぐというテーマは、BRIDGE がまだ Startup Dating と名乗っていった頃に掲げたテーマの一つでした。その後十数年の間にミートアップが増え、メディアが充実し、従来の BRIDGE の役割はひとまず終えた気になっていましたが、ここへ来て、起業家と投資家を繋ぐ SNS が生まれたということは、まだまだ解決すべきペインがあるということなのでしょう。コミュニティに身を投じつつ、どう自分のエッジをどう際立たせるかが、投資家にも起業家にもより求められることになりそうです。

社名とサービス名のリブランド、35億円の調達を発表した TOKIUM の皆さん。
Image credit: Tokium

一方、BearTail 改め TOKIUM が大型調達です。代表の黒﨑賢一さんは、学生時代から IT 系メディアに記事を執筆していた経験を持ち、BearTail を始めると聞いた時には、我々の同業から起業の星が現れた、というのが率直な印象でした。競合となるであろう各社の中は、請求書の受領・処理のみならず、そこから実際に支払を完了し、会計に取り込むところまでを一気通貫でできるサービスが現れており、TOKIUM が今後、サービスをここからさらにどこまでエンハンスしていくのか、興味深いです。

今週の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

AI活用の製品マスタSaaS開発Lazuli、5億円をシリーズA調達——Carbide Ventures、Coral Capital、インフォマートから(4月21日)

  • Lazuli は、シリーズ A ラウンドで約5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは Carbide Ventures がリードし、Coral Capital とインフォマート(東証:2492)が参加した。Carbide Ventures は、トレジャーデータの創業者らがアメリカで立ち上げたファンドだ。Coral Capital は、2020年11月のシードラウンドに続くフォローオンでの参加。

営業の生産性強化支援SaaS「ナレッジワーク」が正式ローンチ、GCPやDNXらから10億円をシリーズA1調達(4月20日)

  • ナレッジワークは、シリーズ A ラウンドの 1st クローズで10億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、グロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、ANRI、X Tech Ventures。また、これらの投資家からは、シードラウンドとプレシリーズ A ラウンドで4.2億円を調達していたことも明らかにされた。累計調達額は14.2億円。

成長期に入ったサービスEC「MOSH」8億円調達、クリエイター同士の分配機能も(4月20日)

  • MOSH は、第三者割当増資の実施を報告している。ラウンドはシリーズBで、リードはグローバル・ブレインが担当した。このラウンドに参加したのは千葉道場ファンド、KDDI Open Innovation Fund、DBJキャピタルで、調達した資金は8億円。同社の累計調達額は12億円となった。同社は調達した資金でマーケティングや開発への投資を実施する。

日本やアジアで教育DXプラットフォーム展開のManabie、15億円をシリーズA調達——GCP、千葉道場、ジェネシアから(4月20日)

  • Manabie は、シリーズ A ラウンドで約15億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、千葉道場ファンド、ジェネシア・ベンチャーズ。

経費精算サービスなどのBearTailがTOKIUMにリブランド、請求書受領・処理サービス強化へ——35億円の調達も(4月19日)

  • TOKIUM は新たに約35億円を調達したことを明らかにした。ラウンドステージは不明。このラウンドに参加したのは、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ、インキュベイトファンド、ジャフコ グループ(東証:8595)、SMBC ベンチャーキャピタル、SMBC 日興証券、Axiom Asia Private Capital。インキュベイトファンドと SMBC ベンチャーキャピタルは、BRIDGE が2013年12月に報じた以前のラウンドにも参加している。

エンジニアスキル可視化「Findy」が15億円調達、海外エンジニア採用も強化へ(4月19日)

  • ファインディは、第三者割当増資の実施を公表している。シリーズCラウンドで引受先になったのは既存投資家のグロ ーバル・ブレイン、SMBCベンチャーキャピタル、JA三井リース、みずほキャピタル、KDDI Open Innovation Fund(3号ファンド)と、新たにCarbide Ventures(カーバイド・ベンチャーズ)が参加している。
  • 調達した資金は15億円で、調達した資金でプロダクト開発を進め、現在正社員で70名ほどの体制を年内に倍近く、来年には200から300名体制に拡大させる。なお、今回新規投資家として参加したCarbide Venturesはトレジャーデータの創業者らが設立した投資会社。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

韓国のメタバーススタートアップDoubleMe、2,500万米ドルをシリーズA調達——サムスン電子らが出資(4月21日)

  • 韓国のメタバーススタートアップである DoubleMe(더블미)が、Coentry Investment と NH Investment の共同リードによるシリーズ A ラウンドで2,500万米ドルを調達し、Samsung Electronics が参加した。Albert Kim 氏、Michael Kuczynski 氏、Heeyoung Kim 氏によって2015年に設立された DoubleMe は、2次元の動画を3次元モデルに変換できるソリューションからスタートした。2020年11月には、あらゆる物理的な場所で人工現実(AR)体験を構築できるメタバースプラットフォーム「TwinWorld」を発表した。

Ant Group(螞蟻集団)、東南アジアの決済プラットフォーム「2C2P」の過半数株主に(4月20日)

  • フィンテック大手 Ant Group(螞蟻集団)、は、東南アジアでのデジタル決済の普及を促進するために、シンガポールを拠点とする決済プラットフォーム「2C2P」の大株主となる予定だ。今回の提携により、2C2P の加盟店は Alipay+ に接続され、現在250ある Alipay+ の決済オプションに、より多くの電子ウォレットや現地決済手段が追加されることになる。これにより、加盟店はより広い地域で、世界中の10億人以上の消費者とつながることができる。

アジアから世界のゲーム内決済を担うCoda Payments、6.9億米ドルを調達——代替アプリストア事業強化へ(4月19日)

  • Coda Payments は、ゲームやその他のデジタル製品の越境決済や、代替アプリストアを実現するため、6億9,000万米ドルを資金調達した。この資金調達額は素晴らしいものだが、既存の長年の株主が新しい投資家に株式売却するため、Coda Payments にお金が入るわけではない。

CACとVIC Partners、ベトナムのプロップテックスタートアップRetiに出資(4月19日)

  • ベトナムのプロップテック(不動産テック)系スタートアップ Reti は、シードラウンドで投資ファンドのサイバーエージェント・キャピタル(CAC)と VIC Partners から資金調達した。2019年に設立された Reti は、オンラインからオフラインへの流通モデルに従い、従来の不動産流通と現代の不動産流通のギャップを埋め、販売代理店の効率と専門性を向上させ、顧客の全体的な体験を強化することを目的としている。また、Reti は不動産デベロッパと提携し、技術や販売代理店のネットワークを通じて、質の高い物件を顧客に提供している。

クレディセゾン、インドネシアのデジタルレンダーJuloに8,000万米ドルを出資

  • インドネシアに拠点を置く Julo は、日本の金融会社クレディセゾン(東証:8253)から新たに8,000万米ドルの資金を調達した。この取引には、デットと3,000万米ドルの株式投資が含まれており、クレディセゾンが地元以外の市場を開拓する取り組みの一環となっている。

K-POPコマース「KTOWN4U」が50億円、AI物流「Fassto」が80億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(4月18日)

  • K-POP コマース「Ktown4u(케이타운포유)」が500億ウォン(約50億円)を資金調達した。全世界にある5,200の K-POP ファンクラブをショッピングモールとつなげ、2億人のファンクラブ会員に到達可能なコミュニティを構築したグローバルファンダムビジネス企業。現在420万人の会員がいる。K-POP の他にも、Kドラマの商品ラインアップを強化している。
  • AI 物流プラットフォーム「Fassto(파스토)」がシリーズ C ラウンドで800億ウォン(約80億円)を調達した。自己構築 AI、ビッグデータベースのフルフィルメントシステム、物流センター制御システムの競争力を保有。昨年1.3万坪規模の龍仁(ヨンイン)第1センターをオープン後、下半期の売上が上半期比で2倍増。今年5月、龍仁第2センターのオープンを予定している。

政府がゲームの実況動画配信で規制強化、金融業界3団体がNFTで警告を発表など——中国スタートアップシーン週間振り返り(4月18日)

  • 中国当局は、「Douyu(斗魚)」や「Douyin(抖音)」などのストリーミングプラットフォームにおける無許可のゲーム配信をさらに制限する計画を発表した。国家ラジオテレビ総局(国家広播電視総局)を含む国家機関が15日に発表した声明によると、未承認の対人戦やその他の非ライセンスタイトルがストリーミングチャンネルに出現してはならないと強調されている。
  • 中国インターネット金融協会(互連網金融協会)、中国银行業協会、中国証券業協会は13日、ブロックチェーンベースのデジタルトークンや非代替トークン(NFT)に関わる金融リスクを警告する通知を発表した。声明では、関係者がリアル経済の発展を可能にする上で同技術を適用するよう呼びかけた。また、これらの業界団体は、NFT 商品を証券化するような取り組みは禁止されるべきだとした。

中国の人民日報、絵画NFTをローンチか(4月17日)

  • 中国共産党の機関紙「人民日報」が、中国の伝統的な絵画や現代的な絵画を題材にした NFT の制作を計画していると、Forkast が報じた。人民日報は CAEG(中国対外文化集団)と提携、中国画家による作品を宣伝する予定だ。人民日報は、NFT をトークンの編集、校閲、出版プロセスを検討のために発行すると述べている。

Axie Infinityサイドチェーンからの6.2億米ドル盗難、北朝鮮が関与とFBI発表(4月17日)

  • FBI は、Axie Infinity の Ethereum サイドチェーン「Ronin Network」で発生した6億2,000万米ドルのハッキング被害の犯人として、北朝鮮の関与を明らかにした。

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