インキュベイトF、〝ファンド・オブ・ファンズ〟の2号ファンドを組成——最終規模は100億円を目指す

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Image credit: Incubate Fund

インキュベイトファンドは12日、独立系シードファンドへの LP 出資に特化したファンド(通称:IFLP)の2号ファンドを組成したと発表した。IFLP としては、2018年に組成さえた1号ファンドに続く2つ目のファンドとなる。このファンドは、インキュベイトファンドがエコシステム醸成を主眼として、若手投資家や新しいシードファンドへの出資を目的に組成されたものだ。ファンドに投資するファンドであることから、その種の投資信託になぞらえ、「ファンド・オブ・ファンズ(FoF)」の俗称で呼ばれることもある。

IFLP 1号ファンドの振り返り

Image credit: Incubate Fund

2018年に組成された IFLP 1号ファンドの最終規模は69億円に達した。出資先はソラシード、プライマルキャピタル、ライフタイムベンチャーズ、Full Commit Partners、DRG Fund、ゼロイチキャピタル、Incubate Fund India、Incubate Fund US、Incubate Fund Brasil、POLAR SHORTCUT など17のファンド。これら全てのファンドの投資先の総和は3月末現在で259社、最終的には300社前後に達する見込みだ。

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BRIDGE にも何度か取り上げているように、これら17のファンドの運営者にはインキュベイトファンドの出身者も多い。インキュベイトファンドが若手投資家輩出機関として機能する上で IFLP は重要な役割を占めている。インキュベイトファンドの代表パートナーの一人である和田圭祐氏は BRIDGE に対し、これら投資先の17のファンドにはそれぞれ特色があり、また、東京にあるシードスタートアップに投資しているファンドが多いが、投資金額により産業の棲み分けが始まっている気がする、と印象を語ってくれた。

また、インキュベイトファンドには、スタートアップに直接投資するフラッグシップファンドが存在するが(現在は、2010年に設立した1号ファンド以来6つ目のファンドとなるグロースファンド=通称:IFGO を運用している)、フラッグシップファンドには金融的リターンを追求する機関投資家や金融機関が多く出資しているのに対し、IFLP ファンドにはオープンイノベーションを念頭に置いた事業会社や CVC からの出資が多かったという。ファンド出資元9社と間接投資先スタートアップとで36件の協業が生まれたそうだ。

IFLP 2号ファンドの展望

さて、最終的に100億円規模を目指す IFLP 2号ファンドだが、政府系金融機関や事業会社からの出資が多くを占めている。現在はファーストクローズの状態なので、投資家や金額規模はここから増えるとみられるが、現時点で参加を表明している IFLP 2号ファンドの投資家(LP)のうち、名前が明らかにされているのは次の通りだ。

  • 中小企業基盤整備機構
  • 三井住友銀行
  • 山口フィナンシャルグループ(東証:8418)
  • サントリーホールディングス
  • 鈴與
  • グリー(東証:3632)
  • キャナルベンチャーズ(BIPROGY=旧 日本ユニシス の CVC)
  • ディー・エヌ・エー(東証:2432)
  • ミクシィ(東証:2121)
  • RPA ホールディングス(東証:6572)
  • CARTA HOLDINGS(東証:3688)
  • TBS イノベーション・パートナーズ(TBS の CVC)
  • 三菱 UFJ キャピタル

IFLP の2号ファンドについては投資先数の目標値は明らかになっていないが、1号ファンドの時とチケットサイズが同等と仮定するなら、ファンドの最終的な金額規模は1号ファンドの約1.4倍となるため、投資先のスタートアップは400社を超える可能性がある。インキュベイトファンドでは2号ファンドからの出資を概ね、国内向けシードファンド(既存)30%、海外向けシードファンド(既存)12%、国内向けシードファンド(新規)50%、海外向けシードファンド(新規)8%の割合で割り当てる計画だ。

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