AI活用の製品マスタSaaS開発Lazuli、5億円をシリーズA調達——Carbide Ventures、Coral Capital、インフォマートから

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Image credit: Lazuli

AI を活用したクラウド製品マスタ「Lazuli PDP(Product Data Platform)」を開発する Lazuli は21日、シリーズ A ラウンドで約5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは Carbide Ventures がリードし、Coral Capital とインフォマート(東証:2492)が参加した。Carbide Ventures は、トレジャーデータの創業者らがアメリカで立ち上げたファンドだ。Coral Capital は、2020年11月のシードラウンドに続くフォローオンでの参加。

e コマース、POS データなど多数の商品を効率よく扱うには製品マスタが必要になる。製品マスタはメーカーで定められていることが多いが、当然ながら、あるメーカーの製品マスタには自社製品の情報しか含まれていない。小売業などにとっては複数メーカーの商品を扱うことなるわけだが、採番ルールや情報フォーマットについても各社各様である。Lazuli では、こうしたコード形態が曖昧な業界で、製品マスタの正規化や最適化を AI を使って行っている。

ユースケースはさまざまだが、例えば、ホームセンター大手のカインズでは、e コマース向けの商品データを整えるのに Lazuli PDP を使っている。店頭で商品を販売する場合は、陳列表示の情報に不足があっても店員が口頭で答えるなど臨機応変な対応ができるが、e コマースではストアフロント上に表示される情報が客にとっての全てなので、商品情報は店頭販売よりも精緻なものが求められる。マスタが整っていれば、さまざまな情報を補いやすくなり、その結果、客の商品認知も上がり e コマースの売上が上がることが期待できる。

また、飲料大手のアサヒ飲料では、POS データを使った販売分析に Lazuli PDP を使っている。飲料メーカー各社はスーパー、ドラッグストア、コンビニなどから POS データを入手し、それを売上分析や販売時の棚割提案などに利用しているが、分析に先立ちデータのグルーピングが必要になる。飲料では1商品に対し、多い場合で数百種類の SKU が存在する場合があり、アサヒ飲料では分析前に担当者がデータの商品毎グルーピングを行っていたが、Lazuli PDP により自動化されレポーティングが迅速化された。

今回参加した投資家のうち、インフォマートもデータ整備が求められる業界を代表する企業だ。同社は外食産業や飲食店向けに、食材や備品の発注ができる B2B プラットフォームを運営しているが、一般消費者向けの加工商品などと異なり、この分野では JAN コードや商品コードが付与されていないことも多い。一次産品である農作物、魚、肉などはその典型だ。インフォマートが今回出資したことで、Lazuli は製品マスタ関連でより強固な連携を図ると考えられる。

Lazuli では今回の資金調達を受けて、さらなる事業拡大に向けた PoC の実施や本格導入を加速させるとしている。

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