令和トラベルの「NEWT」ついに予約開始ーー篠塚氏が語る「かんたん」海外ツアー体験はじまる

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2度のサービスリリース延期を乗り越え、ついに予約開始したNEWT

ニュースサマリ:デジタル旅行代理店の令和トラベルは4月5日、海外旅行ツアーパッケージが購入できる「NEWT(ニュート)」のツアー予約開始を伝えている。NEWTはデジタル版ツアーパッケージ購入サービスで、ユーザーはパスポートさえあれば、航空券の手配からホテル滞在までパッケージ化された海外旅行商品をスマートフォンから購入し、旅行を楽しむことができる。アプリのみでツアー予約が完了し、365日の最低価格保証を特徴としている。昨年12月にサービス自体は公表していたが、現在も続く感染症拡大に対する海外帰国後の隔離措置が0日になった段階でサービスインするとしていた。

サービス開始時点でハワイツアーから予約販売を開始する。300以上のパッケージツアーを用意しており、一例として「成田発、ハワイアン航空利用の2つ星ホテルに泊まる5日間・2名1室利用」は1名13万9,000円から提供される。ツアーの対象となる地域は今後、順次拡大される。

なお、ここで言われる隔離措置0日は、今年3月1日に厚生労働省から発表された「入国後の自宅等待機期間の変更等について」に基づくもので、指定国・地域以外から帰国・入国する人で、かつ、ワクチンを3回接種していることができる証明書を保持していることを条件に、入国後の自宅待機期間が0日になったことを指している。同社では今回の予約開始に伴いキャンペーンなども開始する。

話題のポイント:令和トラベルの代表取締役、篠塚孝哉さんに今回の予約開始についてお話を伺ってきました。詳しくはこちらのポッドキャストで直接、篠塚さんの声をお聞きいただきたいのですが、他の旅行サービスとの差別化ポイントとして「かんたん」をかなり強調していたのが印象的でした。篠塚さん曰く、これまで人気を博してきたテックサービスの全てにおいてこの「かんたん」という体験が共通しており、これを軽視できないというのです。この辺りは実際に予約する機会があればぜひ一度体験してみたいと思います。

それと今回、私もやや誤解していたのですが、彼らの提供するサービスは「ツアーパッケージ」です。よく似たサービスとして、ExpediaやBooking.comといったオンライン・トラベル・エージェンシー(OTA)のサービスがあるのですが、これらはあくまで自分で航空券とホテルを一緒に予約できるサービスです。例えばサービスのインターフェースも似ているのですが、希望する日付やエリアを選んだ場合、OTAではホテルが中心にリストされていきます。他方、NEWTでは当然ですが、パッケージされたツアーが並びます。

私が普段、このツアーパッケージを利用していない人だったため「ん?OTAサービスと何が違うんだ」と直感的に理解できていなかったのですが、彼らが体験を変えようとしている対象は、あくまで既存のツアーパッケージのサービスです。街中で見かける、ラック一面にずらりと並んだ海外旅行ツアーのチラシ、あれです。

あれがスマホ一発で(しかもお得に)買えるようになった、とイメージするのが正しいです。

NEWTが企画するヨーロッパアートをめぐるツアー

さて、一方であのラック一面のチラシが旅行心をくすぐるのも事実です(買ったことないけど確かに手に取ったことはあります)。スマホの画面であの楽しさをどうやって表現するのか、その点について篠塚さんは二つの可能性についてアイデアを教えてくれました。一つはこの「ART TOUR(アートツアー)」に見られるようなツアーサイトのリッチ化です。あのチラシから感じたわくわく感をロングレターの形式で表現しようとしています。こちらのページはまだ予約開始前ということだったのでLINEでの予約対応となっていますが、今後、これがNEWTに紐付けされ、「ここ行きたいわ」となったら即そこからスマホで予約できるようになるというお話でした。

そしてもうひとつがリアル店舗の可能性です。篠塚さんはデジタルエージェンシーだからとデジタルに閉じこもる必要はなく、リアルでの展開もオペレーションが可能になれば検討したいとされていました。ポッドキャストではそのほかにも予定している機能や、リリースが延期された際にどうやってチームのモチベーションを保ったのかなどについてもお話いただいています。

ポッドキャスト全文

NEWTが差別化できているポイントは

篠塚:一つ目は簡単なところ、二つ目はお得なところ、この2つに集約されると思ってまして、(どうしても)選べるに関してはツアー対ツアーで見ると似たようなものが並んできちゃいます。ただ簡単とお得は相当差別化できたポイントで、僕らの一番の強みだと思ってます。1つ目の簡単に関しては、世の中は結局どこに向かってるんだっけと考えるとやっぱり簡単なものが常に支持されているし、簡単なものがイノベーションと呼ばれるものなんだという、「真理」と言うとちょっと大袈裟ですけど、それに気が付いたんですよね。

全て結局、簡単に繋がっていて、簡単ということを過小評価してはならんなとずっと考えてたんです。今回一番の推しポイントはそこで、本当にどこよりも簡単に予約が取れるという状況は、最低品質は満たせたのでそれをMVPに乗っけたというのが非常に重要なポイントです。まだ全機能やりたいことは全然、載っていないので、半年から一年間で作っていきたいなと思っているポイントですね。

ただ、簡単だったらばんばん売れるかって言うと当然そんなことはなくて、お得という概念も本当にクロスして重要だなと思っていて、今回それも実現してます。お得を実現するために必要なものはビジネス的に言うと仕入れをどれだけ安くできるかってことなんですが、そこに関しては今回のコロナ渦が実は仕入れという観点では追い風になるんですが、旅行者が少ないので安く仕入れやすい状況があったので、価格面も他社さんだと人件費なり家賃なり、色々乗っけて販売しているところを、僕らは調達した資金を販促費に寄せてあげてとにかくお得に旅ができるようなアプリになっています。

ツアー商品に関しては、旅行代理店がやられているような店頭でのチラシといった訴求がすごく重要になってくるかなと思うんですけれどもその点はいかがですか

篠塚:NEWTは究極的には予約装置というか。予約管理までを含めたアプリにしていきたいですよね。定番のパッケージとかはさっと予約ができる。それと販促によってワクワクとか需要を創出しなきゃいけないと思っていて、例えばこの前出したアートツアーはランディングページを個別に作って、ワクワク感を作ってあげるみたいなことは考えてますね。(中略)今回、三カ国を巡るアートツアーは10年に1度の機会で、なんで10年かというとドイツのドクメンタ(documenta /※ドイツで開催される大型展示会)が5年に1度で、ヴェネチア・ビエンナーレが2年に1度で偶然同じ年になるんですね。

そのあたりを全部説明し切るのはツアーのアプリ上だけでは結構厳しいのでLPを作りました。

今回はまだNEWTが出てなかったので、LINEで相談して受けて1個1個対応してます。チラシのワクワクとか本で見るワクワクをLPに詰めて、気になった人がいたら相談して取ってあげるとかっていうのを今作ったところです。1カ国だけ行くプラン、2カ国のツアー、3カ国行くツアーみたいな仕切りで一通り作成した感じです。

(既存旅行代理店では)店頭での営業活動が印象に残っているんですけれども、リアル展開の考え方は

篠塚:ありますね。インターネット業界の人の特徴だと思うんですが、リアル店舗のマーケット・サイズを過少に評価しているケースが非常に多いなと感じます。実際ユニクロとかセブン&アイとか、それこそスターバックスとかを考えればリアルは物凄い市場規模があって、旅行代理店も同様で元はといえばリアルがものすごい大きくて、いまだに半数近くがリアルでブッキングされてるという状況です。

スターバックスがたくさんあるのにブルーボトルコーヒー流行ってきてるよねとか、ユニクロもそうですけど後発にして大手のスーパーで売ってたものなどが大手の洋服屋さんを越えていったような、革新的でモダンな店舗の旅行代理店はあってしかるべきじゃないかなと考えているので、ある程度僕らもオペレーションが整ったらやりたいと思っています。

ありがとうございます。もう一点、コロナ渦で海外に出ていく手続きだったりが混迷を極めた訳なんですけれども、この辺のこの体験の悪さについてNEWTととして考えていることありますか

篠塚:手続き上の大変さは、今まだローンチ初期には載っていない機能なんですけど、やることリストという機能を開発していてほぼほぼできてます。メルカリのやることリストと実はほとんど機能的意味は全く一緒なんですけど、予約をした後に出発日までを考えた時、もっと言うと帰国日までを考えた時にやることって一瞬で決まってるんですよ。

パスポートありますかとか、パスポートの期限6カ月前大丈夫ですかとか、アメリカだったらESTA申請しましたかとか、さらにコロナ渦の特殊な事例で言うとワクチンパスポート日本政府発行のを取りましたかとか、オフィシャル検査出発前の72時間前にやらなきゃいけないですけどやりましたか、指定期間ここですよとか、一式ちゃんと出してあげるサービスって今、存在してないんですよ。

それを今は大使館に自分で連絡したりとか、飛行機の会社のサイト見に行ってチェックしたりとかバラバラしちゃってるので、一元管理させてあげるのはやりたいと思っている機能ですね。

最後に。リリースまで延期だったりとか苦しい道のりだったと思うんですけれども、チームのみなさんどのようにしてモチベーションを保ちましたか

篠塚:チームとして瞬間風速的にやる気が落ちた瞬間とかはあったなと思ってます。なぜならエンジニアとかプロダクトメンバーってマラソンのゴールが決まってるからそこまでやり切ろうみたいな空気で走るわけですよね。例えば秋にリリースしようとした時は、2週間前ぐらいにオミクロンが流行りだして出すか出さないかっていう議論があったんですよ。流行ってるけども出しちゃうっていう派と、いやいや待った方が良いという意見。両方プロコンあったんですよ。

最後は僕が出さないと当然決めるんですけど、その時はマラソン40キロまで来てあと2キロで一旦走り終わるぞみたいな感じだったのに、リリースを無期延期した訳ですよね。オミクロンなんて分かんないので、その時は12月とか1月とか言わずに未定にしたんですよ。ゴール近かったのにもう一回マラソンあるの?みたいな空気はありました。組織マネジメントで一番重要なポイントだと思ってるんですけど、もうWHYを言い続けるしかないですよね。

リリース延期しましたって「WHAT」はぶっちゃけどうでも良くて、なぜしたか、なぜこのタイミングじゃないか、今出すことには意味がないと言って、もう一回仕切り直しました。みんな納得してくれて、組織の大きなトラブルにはならずに今を迎えられています。今は士気がスタートアップのアドレナリン全開期間なのでリリース来週でドタバタしてますが、祭りを楽しんでる感じがありますよ。

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