K-POPコマース「KTOWN4U」が50億円、AI物流「Fassto」が80億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(4月11日~4月15日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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4月11日~4月15日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは16件で、資金総額は2,175億ウォン(約218億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • AI 物流プラットフォーム「Fassto(파스토)」がシリーズ C ラウンドで800億ウォン(約80億円)を調達した。自己構築 AI、ビッグデータベースのフルフィルメントシステム、物流センター制御システムの競争力を保有。昨年1.3万坪規模の龍仁(ヨンイン)第1センターをオープン後、下半期の売上が上半期比で2倍増。今年5月、龍仁第2センターのオープンを予定している。
  • K-POP コマース「Ktown4u(케이타운포유)」が500億ウォン(約50億円)を資金調達した。全世界にある5,200の K-POP ファンクラブをショッピングモールとつなげ、2億人のファンクラブ会員に到達可能なコミュニティを構築したグローバルファンダムビジネス企業。現在420万人の会員がいる。K-POP の他にも、Kドラマの商品ラインアップを強化している。
  • インテリア・リモデリング専門のプロップテックスタートアップ Apartmentary(아파트멘터리)が新韓キャピタルから100億ウォン(約10億円)の戦略的投資を受けた。新韓金融とインテリア需要者のための金融サービス、シニア顧客カスタムインテリアパッケージの開発などで協業する計画だ。
  • AI ベースのゲームコーチングプラットフォームを運営する GGQ Company(지지큐컴퍼니)が110億ウォン(約11億円)を調達した。ゲーマーにデータ収集、ユーザ分析、フィードバック生成、講義制作、カスタムトレーニングまで、ゲーマにパーソナライズされた学習コンテンツを提供する「GGQ サービス」を運営している。調達した資金を使って、ゲーマーのための利便性機能を拡張する予定だ。

トレンド分析

最近人気のブランドアグリゲーター(ロールアップ EC)に資金が殺到

海外で人気を博しているブランドアグリゲーター(ロールアップ EC)分野が国内でも投資家に関心を集めている。今年に入って毎月関連企業が資金調達のニュースを伝えている。シードラウンドで大規模額の調達はもちろん、グローバル VC から調達するなど成長可能性を高く評価されている。

ブランドアグリゲーターは Amazon、Shopify のような e コマースプラットフォームで製品を販売する小規模業者を買収した後、ブランドとプラットフォームに合った戦略的支援を通じて売上増大、グローバル拡大などブランド利益を極大化するビジネスだ。 このモデルは2018年に登場した Thrasio が成長を見せ、世界中で大きな人気を集め始めた。Amazon セラー約100社を買収した Thrasio は創業から2年でユニコーンの座に輝き、この分野の先駆者となった。Thrasio を追って昨年、Branded、Elevate Brands、Unybrands、Win Brands Group などが大きな投資を受けた。

海外に続き、韓国国内にも昨年からブランドアグリゲータースタートアップが登場し始め、今年だけでもすでに4社が投資のニュースを伝え、関連スタートアップが調達した金額合計は2,000億ウォン(200億円)を超える。全社共に、設立から3年足らずの新生スタートアップという点で注目を集めている。

ブランドアグリゲーターは、e コマースに対する理解はもちろん、買収を通じて成長するビジネスであるため、関連知識が必須スキルとして要求される。このような理由から、e コマースと金融分野の両方で専門性を獲得した者たちがブランドアグゲーター業界に飛び込んでいる。

韓国で一番先に調達のニュースを伝えた企業は NextChapter(넥스트챕터)だ。 NextChapter はアドテク企業 Buzzvil(버즈빌)出身の代表が立ち上げた会社で、シードラウンドでグローバル VC から資金調達した。

Boosters(부스터스)は D2C セールスノウハウを持つ専門家が設立した会社で、PB 企画、ソーシャルメディアインフォメーションを活用したプロモーションでブランド成長を支援している。

楽天、Coupang などでの勤務経験を経た e コマース専門家 と M&A 専門家が設立した New Vessel(뉴베슬)は、グローバルネットワークを構築する一方、Naver D2SF の投資を受けて Naver との協力に乗り出す予定だ。

最も多くの資金を調達したのは KlickBrands(클릭브랜즈)だ。金融業界出身者と創業者経験者が設立した KlickBrands は、アジア太平洋地域最大のアグリーゲーター UNA Brands(우나브랜즈)から戦略的投資を受け、世界進出の可能性が高い国内の優秀ブランドを買収して海外進出を支援する計画だ。

Wholesome(홀썸)も4月に大規模なグローバル資金を調達した。5つのブランドを所有する Wholesome は15から20ブランドを追加買収することを目標としている。

最近はブランドアグリゲーターを全面的に前面に出していないが、ブランドアグリゲーター事業に拡大するというスタートアップも出ている。そのほとんどが e コマースソリューションを提供する企業で、すでにあるケーパビリティを元に、e コマースブランドの成長を支援するというものだ。

ビッグデータマーケティングソリューションの StoreLink(스토어링크)は最近90億ウォン(約9億円)を調達し、ブランドアグリゲーターにサービスを拡張する計画を明らかにした、

また、e コマース分析会社 Moon River(문리버)もブランドアグリゲーター進出を計画している。麻薬枕で人気を博した Blank(블랭크)もブランドアグリゲーター事業モデルへの転換を推進している。

コロナ禍を追い風に e コマースが急成長し、Thrasio モデルを求めた全世界の多くのアグリゲーターが早くもユニコーンとなっているため、今後、より多くのアグリゲーターが市場に現れ競争が激しくなると予想される。こうして、投資家の関心も高まる見通しだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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