水産養殖技術のウミトロン、NECネッツエスアイや林養魚場と協業——陸上養殖向けスマート自動給餌機で生育管理に成功

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

水産養殖技術のウミトロンは、AI 技術を活用した陸上養殖向けスマート給餌機を開発し、福島・西郷村の林養魚場、NEC ネッツエスアイと共同で、サーモンの生育試験を行い、AI による自動判断での生育管理に成功したと発表した。これは、福島県の令和3年度「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」への採択を受け、3社が共同で陸上養殖プラントでの餌やりを自動化・効率化する AI システムを開発、2021年9月からの実証でその有効性を確認したものだ。

陸上養殖事業のプラント運営において、餌やりはコストや作業時間の約半分を占める。ウミトロンらが開発した給餌機により、陸上養殖事業に携わる作業者の負荷軽減と事業運営の合理化を実現する。


3社の協業は、林養魚場の養殖ノウハウと養殖プラントと、ウミトロンの摂餌解析技術、NEC グループの魚体測システムとデータ統合技術を組み合わせて開発を進められてきたもの。今回の実証結果を受けて、スマート給餌機は今後、NEC ネッツエスアイと林養魚場のジョイントベンチャーであるネッツフォレスト陸上養殖が展開するフランチャイズ型の循環式陸上養殖場に実装される見込みだ。

NEC ネッツエスアイは2019年、世界的に需要が高まるサーモンの陸上養殖事業に参入。ICT や AI を活用した陸上養殖の開発に取り組んでいる。養殖槽の環境を管理することで抗生物質や成長剤などの薬を使わず、水をろ過し循環利用することで山間部や砂漠でも養殖ができる。今回のスマート給餌機を使った実証では、事前設定した給餌量の約20%を無駄餌と判断し給餌停止し、その有効性を確認しました。必要以上の給餌を抑えることで養殖槽の環境が良好に保たれ、環境負荷の軽減にも寄与する。

陸上養殖の普及により、日本では海や川の有無に関わらず、地産地消の推進や地域活性化につながる水産事業の醸成が期待できる。ネッツフォレスト陸上養殖では、国内では10拠点程度、1拠点当たり500トン程度の生産を想定している。NEC ネッツエスアイでは、拠点データを集約し分析、改善点などを共有する陸上養殖クラウドも整備する計画。また、水産物の消費が著しいアジア圏でもフランチャイズパートナーを募集しており、3社が開発した陸上養殖の仕組みは、台湾、ミャンマー、ベトナムなどでの導入が期待される。

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