道路点検AI開発のUrbanX、4億円を調達——20以上の自治体が利用、電線・電柱・標識のメンテ支援も視野

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Image credit: UrbanX Technologies

道路点検 AI ソリューション「RoadManager」を開発するアーバンエックステクノロジー(以下、UrbanX)は28日、直近のラウンドで4億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ANRI、東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)、三井住友海上。ラウンドステージは不明。今回出資に参加した ANRI と東大 IPC は、2020年10月に実施されたシードラウンドに続くフォローオン。

UrbanX は、東京大学生産技術研究所特任研究員の前田紘弥氏が2020年4月に設立したスタートアップ。車載スマートフォンやドライブレコーダー(ドラレコ)にコンピュータビジョンや振動検知を備えたエッジ AI を搭載し、道路の損傷検出を行い、必要に応じてクラウドへ該当箇所の画像をアップロードし、道路の所轄官庁や自治体へ報告するサービスを展開している。前回 BRIDGE で報じた際には実証実験段階だったが、その後30以上の自治体が実証実験に参加し、現在では20以上の自治体で利用されているという。

兵庫・尼崎市では、ポットホール(舗装道路に開いた穴)の発見を職員の目視に頼っていた。RoadManager 導入前は年間100件程度の発見に留まっていたが、導入後は発見を RoadManager に委ねたことで職員のリソースを補修作業に振り向けることができ、2020年5月〜2021年7月で329件の補修が完了したという。また、滋賀・大津市ではポットホールの発見を外部業者に委託していたが、RoadManager を搭載した市の車を活用することで、より多くの生活道路をチェックできるようになったという。

今回出資した三井住友海上は、2020年10月から UrbanX と実証実験で協業を開始、2021年12月からは全国自治体や道路修繕事業者に対し、道路メンテナンスを支援するサービス「ドラレコ・ロードマネージャー」として販売を開始した。人手と予算が限られる現場で、住民への行き届いたサービスが求められる中、多くの自治体から問い合わせが寄せられている。最近では、データ利用を事前了解した法人ユーザのデータも活用されるようになり、より多くの道路や地点の損傷個所の検知に寄与している。

UrbanX のビジョンは、「しなやかな都市インフラを支えるデジタル基盤を作る」こと。従って、彼らが目指すのは道路点検の分野だけにとどまらない。今回調達した資金を使って、同社では車載スマホやドラレコで撮影されている道路以外の画像解析も進める計画だ。具体的には、電線や電柱、標識、マンホールなどの道路付属物の状況を検知するシステムを搭載することで、通信や電気等のメンテナンス支援を目指すとしている。

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