施工会社向け建設部材調達効率化のBALLAS、1億円をシード調達——ANOBAKA、mint、SBIらから

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BALLAS のメンバーと今回ラウンドに参加した投資家の皆さん。
木村将之氏(代表取締役)は前列左から3番目、大川嘉雄氏(取締役)は前列最右。
Image credit: Ballas

施工会社向け特注建設部材の調達サービス「BALLAS」を開発する BALLAS は10日、シードラウンドで約1億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、ANOBAKA、mint(Apricot Venture Fund)、SBI インベストメント。なお、調達金額には金融機関からのデットが含まれる。

BALLAS は、双日出身で金属加工 B2B プラットフォーム「Mitsuri」を運営する Catallaxy では経営
企画責任者を務めた木村将之氏(代表取締役)と、家業の大川板金で取締役を務める大川嘉雄氏(取締役)により創業。労働生産性成長率が著しく低いとされる建設業界で、部材調達の面から現場の効率向上を支援しようとするスタートアップだ。

そのために BALLAS が取り組んでいるのが、建設部材におけるファブレスなサービス、いわば、建設業界向けの「ラクスル」「meviy(メビー)」「CADDi(キャディ)」のようなサービスだ。既製品が多くを占める住宅建材と異なり、ビル、ホテル、商業施設などでは、特注建材が多用されている。つまり、図面から一つ一つオリジナルな製品を制作する工程が必要になるわけだ。

Image credit: Ballas

通常、こういった建物の建設は、ゼネコンが発注主から請け負い(元請)、部分に応じて施工会社がゼネコンから受注し、施工会社が部材を調達することになるが、この部材調達が非常に煩雑で時間を要する作業となっている。BALLAS では、施工会社が作成した施工図をデータ形式でアップロードすると、そこから必要な部材の製作図を作成し、適切な工場へ発注してくれる。

前述した他業界のファブレスなサービスと違って、この施工図から部材の製作図を起こす(バラす)プロセスが BALLAS の持つ建設業界特有の機能だ。従来の場合、部材の製作図は施工会社からのヒアリングをもとに工場側で作成することが多く、意図した部材が出来上がらなかったり、想定以上の納期がかかってしまったりする原因となっていたが、BALLAS を使えば問題を極小化できる。

将来的にはこのバラすプロセスも完全自動化する計画があるようだが、当面は、BALLAS の社内にいるプロフェッショナルがその機能を人力で担い、施工会社と工場を繋ぐ時間とコストの効率化メリットをアピールすることで、ユーザとしての施工会社を集めたい考えだ。全国に施工会社は2万社あるとされ、大川板金が持つ施工会社のネットワークを足がかりに、ユーザ獲得へ向けたマーケティングに注力する。

Image credit: Ballas

BALLAS では、建設部材の中でも、当面は比較的加工や運用がしやすい金属加工に特化する。部材の製作図を全て CAD で製図し、精緻にカテゴリ整理を行うことで、類似形状の部材作成時の作業効率化、セミオーダーのように発注できる汎用的な部材の開発が可能になるいう。BALLAS が介在することで施工会社と工場間のコミュニケーションコストが下がり、調達の時間や原価が下がることが期待できる。

BALLAS が製造・発注に関わった建設部材はすでに使われ始めている。銀座に完成予定のあるホテルの入口では、スチール製のパネルに BALLAS が取り次いだ建設部材が採用された。

同社では今回調達した資金を使って、システムの機能拡充、営業活動の促進、人材採用を拡大するとしている

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