VC 各社が新ファンドの組成を発表【Canvas 5月号(5月7日〜5月13日)】

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VC 各社が新ファンドの組成を発表

今週の話題(5月7日〜5月13日): East Ventures、新ファンドに5.5億米ドルを調達DIMENSION、MBO後初となる2号ファンドを100億円規模で組成——産業革新投資機構、上場企業創業者らが出資  アカツキがWeb3の25億円ファンド「Emoote」発表、STEPNなどへ出資

East Ventures のチーム。
Photo credit: East Ventures

East Ventures は日本とインドネシアを中心に投資事業を行っていて、それぞれ、ファンドや投資を担当するチームも市場によって分かれています。インドネシアでの好調ぶりはコロナ禍の前後を問わずに報じられており、若年層人口の多さから来る旺盛な消費力を背景に、上場(ジャカルタ証取も海外でも)やユニコーン輩出のニュースが相次いでいます。そんな中での大型ファンド組成の発表でした。日本の Z ホールディングスなども新ファンドの LP として名前を連ねているようです。

DIMENSION の皆さん。中央が CEO の宮宗孝光氏。
Image credit: Dimension

DIMENSION は、DI(ドリームインキュベータ)のファンドだとばかり思っていましたが、昨年、MBO(経営陣買収)を果たし、完全なる独立系ファンドとなっていたのですね。若干、特徴は見えづらいですが、新ファンドに関して言えば、多くの起業家イグジット組や事業経営者が LP に名前を連ねていることは、投資の相談に行く起業家の目には好印象に映ると思います。スタートアップ創成期から10年経って一巡した中で、ファンド各社は特にディールソースに、あの手やこの手で戦略を練っているようです。

そして、アカツキから新たな Web3 特化ファンドの発表。東南アジアにも集中的に投資を行っていく旨が報じられました。一般論として日本の法人からはエクイティ投資に限られてしまいますが、アカツキの場合、シンガポール法人を介して、トークンやトークンワラントに出資するスキームを準備しました。いくつかの理由から(BRIDGE の過去記事などで詳述しています)、Web3 は特にアジアと相性がいいと言われており、新ファンド周辺で面白い Web3 プロジェクトが次々とお目見えすることに期待しています。

今月の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

1.2億米ドル調達しユニコーンクラブ入りした Opn の CEO 長谷川潤氏(右)と COO Ezra Don Harinsut 氏(左)
Image credit: Opn

仕事の依頼者とプロをマッチングするZehitomo、海外投資家複数らから大型調達——社員は100名を突破(5月17日)

  • Zehitomo(ゼヒトモ)」を運営する Zehitomo は、新たなラウンドで資金調達したことを明らかにした。同社はラウンド単体での調達額を明らかにしていないが、累計調達額が26億円を超えたと明らかにしていること、前回ラウンド(シリーズ B ラウンド)までの累計調達額が13.7億円だったことを考えると、今回ラウンドの調達額は12億円以上と推定される。

iBuyerモデル展開のすむたす、シリーズBでデット含め12億円調達——日本橋に移転した意外な理由とは?(5月16日)

  • すむたすは、シリーズ B ラウンドで12億円を調達したと発表した。このラウンドには、WiL(World Innovation Lab)、モバイル・インターネットキャピタル、農林中金イノベーションファンド(グローバル・ブレインによる運営) 、マーキュリアインベストメントと伊藤忠商事が共同運営するファンド、CARTA VENTURES、きらぼしキャピタル、名前非開示の個人投資家が参加した。累計調達額は20億円超に達した。

ダイナミックプライシングのメトロエンジン、4億円をシリーズC調達——博報堂DY、東急不動産HDらから(5月11日)

  • メトロエンジンは、シリーズ C ラウンドで約4億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、博報堂 DY ベンチャーズ、東急不動産ホールディングス(東証:3289)の CVC、BEENOS など。

法人向けカード事業のUPSIDER、シリーズCでデット含め150億円を調達——DST Global、WiLなどから(5月11日)

  • UPSIDER がシリーズ C ラウンドで資金調達した。調達金額は、エクイティで約54億円、デットで約100億円となる見込み。今回の調達は約7ヶ月前のシリーズ B ラウンド(B1 および B2)に続くもので、累積調達額は約200億円となる。今回のシリーズ C ラウンドは DST Global と WiL(World Innovation Lab)が共同リードし、Arena Holdings、Tyboune Capital Management、三菱 UFJ キャピタル、セゾン・ベンチャーズ、ANRI、グローバル・ブレインが参加した。

長谷川潤氏率いるフィンテックスタートアップOpn、シリーズC+ラウンドで1.2億米ドル調達しユニコーンクラブ入り(5月10日)

  • Opn(旧 Omise、旧 Synqa)は、シリーズ C+ ラウンドで1億2,000万米ドルを調達したことを明らかにした。ロイターは、この調達を受けて、同社がユニコーン(時価総額10億米ドル以上)となったと伝えている。日本では5社目のユニコーンとなる。

施工会社向け建設部材調達効率化のBALLAS、1億円をシード調達——ANOBAKA、mint、SBIらから(5月10日)

  • BALLAS」を開発する BALLAS は、シードラウンドで約1億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、ANOBAKA、mint(Apricot Venture Fund)、SBI インベストメント。なお、調達金額には金融機関からのデットが含まれる。

キャラクター制作やマーケのMinto、カカオピッコマなどから6.6億円を調達——ウェブトゥーン、Web3事業拡大へ(5月10日)

  • Minto は、カカオピッコマ、三井住友海上キャピタル、みずほキャピタル、オー・エル・エム・ベンチャーズ(IMAGICA GROUP の投資子会社)から約6.6億円を調達したと発表した。三井住友海上キャピタル、みずほキャピタル、オー・エル・エム・ベンチャーズは、2019年2月に実施したラウンド(シリーズ B ラウンド相当と推定)に続くものだ。今回のラウンドを受けて、累計調達額は約14.6億円に達したことになる。

看護師向けメンタルサポート「Nurse-be」開発、Yazawa Venturesと西木隆氏からシード資金を調達(5月9日)

  • Plusbase は、シードラウンドで資金調達したことを明らかにした。調達金額は非開示。このラウンドに参加したのは、Yazawa Ventures と西木隆氏(Stream Capital Partners Japan 取締役会長)。

知育玩具サブスク「トイサブ!」運営のトラーナ、住友商事と資本提携——VC各社らから合計3.7億円を調達(5月7日)

  • トラーナは、住友商事と資本提携したことを明らかにした。このラウンド(シリーズ B の 1st クローズ)には、AG キャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル、三菱 UFJ キャピタル、サムライインキュベート、創発の莟ファンド(鎌倉投信とフューチャーベンチャーキャピタルによる運営)も参加した。調達金額の合計は3.7億円。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

仮想通貨取引所KuCoinが1.5億米ドルを調達、デカコーンに(5月12日)

  • 世界的仮想通貨取引所 KuCoin は、プレシリーズ B ラウンドで1億5,000万米ドルを調達した。このラウンドは Jump Crypto がリードし、Circle Ventures、IDG Capital、Matrix Partners が参加した。この調達を受けて、KuCoin の時価総額は100億米ドルに達した。

東南アジアのフリマアプリ「Carousell」、シンガポールの女性向け古着買取・再販チェーン「Refash」を買収(5月12日)

  • シンガポールに拠点を置くオンラインクラシファイド大手の Carousell は、シンガポールのオムニチャネル・ファッション・リコマース小売業者 Refash を非公開金額で買収する契約を締結した。

米SEC、JD(京東)やPinduoduo(拼多多)など80社を上場廃止対象に追加——中国スタートアップシーン週間振り返り(5月9日)

  • アメリカ証券取引委員会(SEC)は、中国企業を対象とした暫定的な上場廃止リストに対象社を追加した。JD(京東)、Pinduoduo(拼多多)、Bilibili(嗶哩嗶哩)、NetEase(網易)などの著名な企業を含む80以上のアメリカ上場中国テック企業がリストに追加された。

ゲーム開発ユニコーンHaegin、ペット尿検査アプリ開発FitPetが大型調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月9日)

  • ゲーム会社 Haegin(해긴)が SK の ICT 関連会社各社から500億ウォン(約50億円)の戦略的投資を獲得した。Web3 時代を迎える中、両社は AI やメターバス分野で協力し、ゲームコンテンツを強化し、マルチバースの概念でも協力する見込みだ。
  • ペットヘルスケア FitPet(핏펫)が200億ウォン投資(約20億円)を調達した。今回の投資を受けて、動物病院のエコシステム構築とペット保険データベースを元に、ペット保険会社の設立を推進する。

インドで100社目のユニコーンが誕生、ネオバンク「Open」が推定5,000万米ドルをシリーズD調達(5月8日)

  • インド・バンガロールに拠点を置くネオバンク「Open」は、シリーズ D ラウンドで資金調達を実施したことを発表した。調達金額は明らかにされていないが、関係者の話によれば5,000万米ドル。
  • このラウンドは、インドの金融グループ IIFL(India Infoline Group)がリードし、既存投資家の Tiger Global、Temasek、3one4 Capital らが参加した。時価総額は10億米ドルに。

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