ゲーム開発ユニコーンHaegin、ペット尿検査アプリ開発FitPetが大型調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月2日~5月6日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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5月2日~5月6日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは16件で、資金総額は1,428億ウォン(約143億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • ゲーム会社 Haegin(해긴)が SK の ICT 関連会社各社から500億ウォン(約50億円)の戦略的投資を獲得した。Web3 時代を迎える中、両社は AI やメターバス分野で協力し、ゲームコンテンツを強化し、マルチバースの概念でも協力する見込みだ。
  • ペットヘルスケア FitPet(핏펫)が200億ウォン投資(約20億円)を調達した。今回の投資を受けて、動物病院のエコシステム構築とペット保険データベースを元に、ペット保険会社の設立を推進する。
  • ヘルスケアプラットフォーム「LemonCare(레몬케어)」が170億ウォン(約17億円)を調達した。病院と薬局・カード会社・決済ゲートウェイ会社などとシステム連携し、診療予約、簡便決済、電子処方箋の事前発行などのサービスを提供する。今回の投資を受けて、個人別健康情報サービスの開発を促進し、IPO を再び推進させる予定だ。
  • 超小型人工衛星総合ソリューション企業 Nara Space Technology
    (나라스페이스테크놀로지)が100億ウォン(約10億円)を調達した。来年上半期に、自社開発した衛星「Observer 1A」を発射し、性能を検証する計画だ。
  • 読書室ブランド「Ato Study(아토스터디)」が90億ウォン(約9億円)を調達した。現金のように利用可能なポイントを各種学習ミッションに応じて獲得できる、学習成果同期付与ポイントシステム「Green Lamp Library(린램프라이브러리)」を運営。調達した資金を使って事業拡大を図る。

トレンド分析

グローバル VC が自前のアクセラレータプログラムを開始する理由

世界的に有名な VC が初期のスタートアップを育てるアクセラレータプログラムを一つ二つ披露している。投資だけでなく、アーリースタートアップを発掘し、育成し、投資にまでつなげるわけだ。アーリースタートアップの潜在的成長の可能性を先に発見し、投資後に熾烈になる競争で優位を確保するという戦略的意図が込められたものと考えられる

まず、シリコンバレー投資家 Andreessen Horowitz(a16z) がアーリースタートアップのためのアクセラレータプログラム「a16z START」を最近公式発足した。昨年のβプログラムを通じて1,000以上の企業を支援し、このうち11社に投資した。先月β版で運営していたプログラムを公式に公開し、現在参加企業を募集している。 a16z は、選ばれたスタートアップに最大100万米ドルの資金と 1 on 1 サポート、そして a16z のネットワークを提供し、コンシューマ、エンタープライズ、フィンテック、ゲーム、その他など6分野で世界を対象にアーリースタートアップを発掘する予定だ。完全にチームが構成されていなくてもサポートが可能であり、投資形態は SAFE 方式かどうかはまだ公開されていない。

a16z はすでにシードファンドを通じてアーリースタートアップに積極的に投資を進めているが、会社の設立段階から創業者と協力するのは今回が初めてだ。プログラムを始めたのには、Y Combinator のようなアクセラレータを卒業したスタートアップに後続投資するよりも、さらにアーリー段階のチームを発掘するという意図が込められている。

Sequoia はヨーロッパとアメリカのアーリーステージの起業家を支援するアクセラレータプログラム「ARK」を発表した。8週間に渡って、毎週カリキュラムに沿って進行するプログラムで、Sequoia が持続可能な会社を構築・設計できるように支援する。選ばれたスタートアップは、Sequoia の創設者と運営者が共に集まるコミュニティと交流し、100万米ドルの投資を受けることになる。

Sequoia はこれまでの長期にわたる投資経験から、スタートアップの持続可能性のためには資本以上のものが必要だと考え、このようなプログラムを企画したという。スタートアップには金銭的サポートだけでなく、マインドセット、ネットワーク、コミュニティなどが必要だと考え、これらを長い経験を持つ VC が支援できると考えたのだ。このプログラムはヨーロッパで始まり、アメリカでのコホートは今年末に発足する予定だそうだ。ヨーロッパで始まる最初のプログラムは申請がクローズしており、5月23日からは Sequoia India を通じてインドと東南アジアスタートアップのための「Surge」というプログラムを運営している。

韓国国内でもグロースステージのスタートアップ投資に集中していた VC が、アクセラレータにまで拡大し、アーリースタートアップ発掘に積極的な態勢を取っている。Aju IB はアクセラレータ専任グループを作り、TIPS(韓国グローバル創業 R&D 事業)の運用会社に選定されるなどアーリーステージ投資にまで領域を拡大した。これにより、同社はアーリースタートアップ発掘のためのアクセラレータから PEF(PE ファンド)を通じたグロースステージまで、企業の全周期にわたる投資に参加できるようになった。

韓国金融持株も韓国投資アクセラレータを設立し、アーリースタートアップに毎年150億ウォン(約15億円)規模の投資を実行すると明らかにした。KB Investment もシリーズ A ラウンド以前の企業に投資する初期投資専門チームを新設した。これに加え、アーリーステージ特化 VC の Fast Ventures が最近、資金・人材・ネットワーキングまでを支援するプログラム「START」を開始した。

このようにアーリースタートアップのための多様な支援チャンネルが国内外で多く生まれていることは、創業者の立場から見れば良い話だ。アーリースタートアップは、成長に必要なものが何であるかを正確に把握し、それに合致するサポートを提供する VC を戦略的に選択することも成功確率を高める方法になる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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