法人向けカード事業のUPSIDER、シリーズCでデット含め150億円を調達——DST Global、WiLなどから

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創業者で代表取締役の宮城徹氏
Image credit: Upsider

法人カードを提供する UPSIDER がシリーズ C ラウンドで資金調達した。調達金額は、エクイティで約54億円、デットで約100億円となる見込み。今回の調達は約7ヶ月前のシリーズ B ラウンド(B1 および B2)に続くもので、累積調達額は約200億円となる。今回のシリーズ C ラウンドは DST Global と WiL(World Innovation Lab)が共同リードし、Arena Holdings、Tyboune Capital Management、三菱 UFJ キャピタル、セゾン・ベンチャーズ、ANRI、グローバル・ブレインが参加した。

このうち、WiL、ANRI、グローバル・ブレインは、過去のラウンドに続くフォローオンでの参加だ。また、同社の調達には海外ファンドが多く参加しているのが目立つ。DST Global は Facebook、Spotify、Alibaba、Slack へ、Arena Holdings は SmartHR や CADDi へ、Tybourne Capital Management は Paidy や CADDi へ投資実績があることで知られる。前回ラウンドでは、Brex、Robinhood、Stripe といったフィンテックスタートアップへの投資で知られる Greenoaks が参加していた。

UPSIDER は、スタートアップなどこれまで十分に法人カードを利用してこなかった企業に対して、企業のステージや規模に関わらず高い利用限度額を提供。また、カード決済後、即日で管理画面から利用明細を確認できるほか、会計 SaaS などとの連携により、会計処理や支払管理などの財務や業務の課題を包括的に解決できるサービスを提供する。先週には、クレジットカードでは通常支払えない取引先に対し、クレジットカードの与信枠を使って支払ができる新サービス「支払い.com」をクレディセゾン(東証:8253)と立ち上げた。

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創業者で代表取締役の宮城徹氏は、前回調達からの約7月を振り返り、顧客数・取扱高共にが3ヶ月で2倍程度のペースで成長を続けていると語った。以前は、法人カードを使って経費支払を効率化したいユーザは、半ばアーリーアダプター的にスタートアップからの利用が多かったそうだが、機能のアップデートを続けたことで、エンタープライズユーザの利用が増え、取引やユーザ単位の単価も大きくなってきているという。顧客満足度の高さと成長カーブの再現性が強みとなり、海外投資家からの調達につながった。

UPSIDER が追加してきた機能は、会社で経費を取り扱う経理部門の視点から見て、痒いところに手が届くものだ。法人カードは会社の役員や社員に持ってもらい、経費で製品やサービスを購入する際に使ってもらうわけだが、人によって用途が異なるため、それにあわせて決済金額の上限、支払先などに制限をかけ、意図しない経費支払が発生するリスクを下げられるようになっている。また、Web で確認できる支払明細画面では、何を買ったのかのメモの記入、購入時の領収書や明細書の画像データを添付できる機能を備えている。

経費精算の分野は、にわかにレッドオーシャン化しつつある。Visa プリペイドカードを使った経費精算ソリューションを提供するクラウドキャストは、モバイルコンテンツ等大手エムティーアイ(東証:9438)傘下で IPO を目指している。法人カード「paild」を展開する Handii は先月 GMO あおぞらネット銀行と提携し、ネオバンク的な戦略を明らかにした。「経済活動のデジタル化」を標榜する Layer X は法人支出管理に参入、「バクラク」に経費精算機能の追加と法人カードの発行を始めると明らかにした。経費精算などの TOKIUM は先月、35億円の資金調達を発表した

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