
<ピックアップ> As more VC money floods into fertility, some startups are feeling left out
重要なポイント:不妊治療領域のスタートアップの資金調達は活況を呈しており、2021年は全世界で90件の案件に8億2310万ドルが投資された。PitchBook のデータによると、この数字は5年前と比較し案件数は約2.7倍、投資額は約1.1倍となっている。
- 一方、新しい生殖治療や診断ツールを開発するスタートアップに対しては、依然として投資が見過ごされている。
詳細:不妊治療領域に取り組むスタートアップは増えているが、特に診断や新たな治療に関する企業については、すべての企業が投資家の関心を集めているわけではない現状がある。
- 子宮内膜症は女性の子宮の内膜に似た組織が他の場所で増殖し始める疾患で、不妊の原因となる可能性も指摘されている。
- パリに拠点を置く、子宮内膜症の診断テストを開発するスタートアップ EndoGene.Bio は現在資金調達中であるが、共同創業者の María Teresa Pérez Zaballos 氏は VC との関係でハードルに直面し、次のように述べている。
私たちの事業はタブーテックと呼ばれたり、市場が十分に大きくないと言われたりしたこともあります。一般的にスタートアップへの投資は増加傾向にありますが、投資家たちは手っ取り早く簡単な解決策を求めており、誰もリスクを取りたがらないように感じます。しかし不妊の問題を解決するためには、予防医療にももっと力を入れる必要があると考えています。
- Octopus Ventures の投資家 Matthieu Vallin 氏によると、不妊治療領域への投資の多くは、卵子凍結や IVF(体外受精)の改良など、よく知られた医療技術にあてられる傾向にあるという。同氏は次のようにコメントしている。
これからは体外受精の先を見据える必要があるでしょう。現状多くの投資家が不妊治療のホットスポットに集中し、予防医療や家庭での診断への投資が遅れています。後者に注力することで、人々はより早く治療を受けることができ、不妊治療の費用を節約できるだけでなく成功率を向上させることにもつながるでしょう。
- どの分野においても医療系スタートアップを支援するのはリスクが高い上、アプリや金融商品とは異なり、不妊治療のスタートアップはより大きな規制負担に直面し、時間と資本の両面で大きな投資が必要となる。スタートアップがプロダクトを市場に出すまでに10年かかることもあり、それが投資家の足かせになりかねない。
- 不妊の課題を解決するには、予防医療や新たな治療法への投資のほか、不妊治療へのアクセスを広げることも早急に必要である。
- この分野に目を向ける VC は増えており、成果ベースの価格設定で不妊治療に関する保険商品を提供するイギリスの Gaiaや、雇用者向けに従業員の不妊治療給付金を提供するアメリカの Carrot などのスタートアップに投資が集まっている。
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背景:2020年の UCLA Health の調査結果によると、不妊は生殖年齢にある夫婦の15%が向き合う深刻な問題となっている。
- 体外受精は何十年も前から行われているが、生殖補助医療技術協会(Society for Assisted Reproductive Technology)のレポートによれば、35歳以下の女性の成功率は55%程度とされている。
執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:池田 将
via Pitchbook
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