千葉道場ファンド、最大60億円規模の3号ファンドを組成——イグジット起業家がLP参画、「ファンドまたぎ投資」が可能に

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左から:千葉功太郎氏(代表取締役 GP)、廣田航輝氏(キャピタリスト)、石井貴基氏(パートナー)、坂入翔一朗氏(ファイナンスマネジャー)
Image credit: Chiba Dojo Fund

起業家コミュニティ「千葉道場」が運営する千葉道場ファンドは1日、新ファンドの組成を発表した。千葉道場の代表である千葉功太郎氏がエンジェルとして出資していた頃を1号ファンドと数え、2019年10月に発表した2号ファンド(当初50億円規模を想定、最終的にオーバーサブスクライブで59億円)に続く3号目のファンドとなる。3号ファンドはすでに募集のファーストクローズを迎えており、これまでの調達金額は約50億円。最終的には60億円規模を目指す計画だ。

千葉道場は2015年に発足した起業家コミュニティで、現在参加する起業家は75名。年に2回開催される合宿には起業家が一同に集まり、他所では相談できない悩みや課題を共有し相互研鑽している。ここでしか披露されない起業家の内面的な思いや機密情報などが含まれるため、合宿で話された内容は他言無用、メディアが取材したこともない。イグジットした起業家や先輩起業家が後進を育てるという観点から、数多くのユニコーン創業者を輩出した「PayPal マフィア」的な側面もあると千葉氏は言う。

Image credit: Chiba Dojo Fund

コミュニティのファンド機能として始まり、その後、ベンチャーキャピタルとなった2号ファンドは、運用開始からの約2年半で42社に出資し、ウェルスナビが IPOSmartNews がダブルユニコーンになるなど大きな実績が出ている。千葉道場ファンドによれば、チケットサイズは平均3,000万円で最大3億円、約4割がリード投資家を務めたという。また、3号からは、ファンドを跨いでの出資が可能になるとのことで、結果的に、シード、ミドル、レイターとステージを横断しての投資が可能になる。

シードに対しては今も積極的だ。起業家とは、そこから長い付き合いになる。仮に1%のシェアであっても、3%のシェアであっても、起業家に対する支援や労力はあまり変わらない。だったら、リードをしっかり取った上でやろうということで、そういう結果になっている。

今回からは複数ファンドを跨いで投資することが可能になったので、今後は、早めの段階で出資して、じっくり大きくなるまで成長を支援する、ということが名実共に可能になる。(千葉氏)

3号ファンドは LP も特徴的だ。上場企業などに加え、千葉道場の出身で1号や2号ファンドから出資を受け、イグジット(IPO および M&A)を果たした起業家も LP に加わっている。千葉氏が PayPal マフィア的な側面があると語った理由の一端はここにもあるのだろう。起業家が LP に加わることで、彼らはメンターとしても後進の起業家の育成に力を注いでくれることになる。この種のスキームは、アメリカの Founders Fund、日本では HIRAC FUND や最近新ファンドを組成した DIMENSION などにも見られる。

<参考文献>

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